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第71話:庇う者の覚悟
炎龍の爪が弾き返された衝撃で、ラグナのフィールドは限界近くまで削られていた。
HUDに赤い文字が踊る。〈残存率 19%〉——あと一撃、防ぎ切れない。
炎龍が喉奥に紅蓮を灯す。
空気が焼ける音と共に、溶岩のような熱が押し寄せる。
(次は——直撃だ)
その瞬間、視界の端を影が横切った。
「——っ!」
オレの前に躍り出たのは、ファルクだった。
彼は大盾を構え、魔力障壁を重ね張りする。
炎龍の咆哮と共に吐き出された火炎が、大地を白く灼き、盾を叩く轟音が鼓膜を破りそうになる。
障壁がひび割れ、盾の表面が赤熱化する。
「下がれ! あんたまで——!」
叫んだ声は、炎の轟きに呑まれた。
だがファルクの背中は揺るがない。
長年の戦場で培った構えが、その場を揺るぎない防壁に変えていた。
——人の肉体では、数秒が限界だ。
その数秒の間に、オレは横へと大きく跳び、炎龍の死角へ滑り込む。
ファルクの盾が砕ける音が響き、同時に火炎が爆発音と共に霧散した。
「……助かった」
息を荒げながら呟くと、ファルクは振り返りもせず短く笑った。
「お前が炎龍を倒せば、それでいい」
彼の声に、胸の奥が熱くなる。
——この戦いは、オレ一人のためじゃない。
ラグナのHUDに再び警告が点滅する。
まだ終わらせるわけにはいかない。




