第68話:突破口の模索
炎龍は悠然と翼を広げ、オレを見下ろすように旋回していた。
その動きには、獲物を弄ぶような余裕がある。真正面から挑めば、膨大な魔力を盾にしたとしても削り負ける。
(こいつの呼吸——いや、心臓の鼓動と連動している)
ラグナのセンサーが、炎龍の全身から発せられる熱波と微細な振動を解析し、脈動のリズムを可視化する。
炎を吐く直前、必ず呼吸が深くなり、胸郭が大きく膨らむ。その瞬間、鱗の一部がわずかに開き、内部の脆い組織が露出する。
〈部位特定完了:首元左側、第三鱗板の継ぎ目〉
システムの冷静な声が、戦況の中で異様なほど静かに響いた。
「……そこまで見えたら、あとはどう当てるかだ」
だが問題は、そのタイミングがあまりにも短いことだ。
一度の攻撃で外せば、反撃は確実——そしてその一撃は、魔力防御すら打ち破るだろう。
炎龍が再び巨体をひねり、熱波を溜め込む動作に入った。
(動きは読めた……だが、もう一つ足りない)
オレは地形に視線を走らせる。崩れかけた岩棚、溶岩の流れ、尖った玄武岩の柱——。
それらを利用すれば、一瞬でも奴の注意を逸らせるかもしれない。
「よし……」
オレはラグナの推進ユニットを低出力で起動、熱波を避けつつ炎龍の死角へと回り込む。
炎龍の黄金の眼がわずかにこちらを見失った、その瞬間——オレは地表を蹴り、宙へと飛び上がった。
〈ブレードエネルギー充填、七十パーセント〉
(次だ……この一撃で流れを変える)




