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第65話:立ち向かう決意

 粉塵が晴れることはなかった。

 むしろ炎龍の咆哮がその度に風圧となって舞い上がり、谷間全体を赤い霧のように覆っている。

 灼熱と轟音が五感を削り取り、視界の端が白く滲んだ。


 ——退ける道はない。

 仲間たちを退避させた時点で、この戦場はオレ一人のものになった。

 それはゲーム上の演出ではなく、現実として突きつけられた一線だった。


 ラグナのインターフェースが耳元で警告音を鳴らす。

 〈魔力循環率80%超過、持続稼働時間は推定6分〉

 「……十分だ」

 オレは低く呟き、右腕の魔装シールドを展開する。

 銀青色の魔力が装甲を駆け巡り、全身に脈打つ鼓動が加速する。


 炎龍の黄金の瞳がこちらを捉えた。

 その瞬間、視線と視線が火花のようにぶつかる。

 恐怖は確かにあった。だが、それ以上に——この瞬間を逃せば、全てが無に帰すという確信があった。


 (お前を倒す。それが、この地に残された唯一の道だ)


 足裏のマギ・ブースターに魔力を集中する。

 岩を砕く反動と共に、オレの身体は宙へと跳躍し、炎龍の眼前へ突き進む。

 全身を覆うラグナが、蒼白い残光を尾のように引きながら空を切った。


 熱風が肌を焼き、鼓膜を圧迫する轟音の中で、オレはただ一点、炎龍の心臓の鼓動を見据えていた。

 ——ここからが、命を賭した本当の戦いだ。

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