第55話:力を貸す者
呼びかけに応じたのは、わずか十数名だった。
その中には、顔立ちや立ち振る舞いからして一目で頼もしさが伝わる者たちがいた。
先頭に立って現れたのは、イーサン・ローク。
黒ずんだ革鎧に身を包み、背には長弓、腰には短剣を下げている。
「辺境の道はオレの庭みたいなもんだ。炎龍の巣まで案内してやる」
声は低く、しかし揺るぎない自信を含んでいた。元は集落を守る戦士であり、斥候としての技術にも長けているという。
その隣に立つのは、栗色の髪を後ろで束ねたリオナ・セレス。
背負った薬草袋からは、乾いた葉と香草の匂いが漂う。
「負傷者の手当ては私に任せて。生きて帰るためには、傷を放っておくわけにはいかないから」
穏やかな口調の奥に、確固たる意志が見えた。
集落の防衛兵、トマス・ベルクは、古びた盾と槍を携えた大柄な男だった。
「オレの盾は古いが、まだ折れちゃいねえ。前に立つ役は慣れてる」
その言葉に嘘はなく、ひび割れた盾面には過去の戦いの記憶が刻まれている。
最後に、少し離れた場所から一歩踏み出したのは、ファルク・エルド。
かつて王国軍に所属していたという壮年の戦士で、鎧は手入れが行き届き、動きも無駄がない。
「……辺境を守るために剣を振るうのは久しぶりだな。だが、あの頃の腕が鈍ったわけじゃない」
静かな声だが、その奥底には長年の戦場経験で培った鋭さが宿っていた。
彼らの顔を見回しながら、オレは胸の奥でわずかに安堵する。
――これなら、炎龍の巣穴までたどり着けるかもしれない。
もちろん、それは希望的観測にすぎない。それでも、共に歩む仲間がいるという事実は、確かな支えだった。




