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第45話:微かな火種

翌日の夕暮れ、村の広場に再び足を運ぶと、日中の冷え込みがゆるみ、空気にわずかな暖かさが混じっていた。

地平線の向こう、沈みかけた太陽が西の空を淡い金色に染める。

空は前日よりも澄んでいて、その色彩は辺境の荒廃を一瞬だけ覆い隠すようだった。


村の片隅では、子どもたちが集まり、石ころを並べて陣取り遊びをしていた。

使っている石は均整の取れた形ではなく、道端から拾った欠片ばかり。

それでも彼らは声を上げ、笑い、勝敗をめぐって真剣に言い合っている。

その様子に、オレは足を止めた。


「魔法は使わないのか?」

つい問いかけると、年長らしい少年が笑って答えた。

「そんなのは偉い魔法師のやることだろ。オレたちは石で十分さ」


その言葉に、不意に胸の奥が温かくなる。

魔法がなくても、工夫と遊び心があれば日々は続いていく──それを、この土地の子どもたちは自然に知っている。


広場の中央では、年配の男が壊れた車輪を修理していた。

彼は油に汚れた手を止めず、ちらりとこちらを見て言う。

「新しい部品なんて手に入らん。だから、壊れたら直す。何度でもな」

その声には、不思議と力があった。


オレは気づく。

疲弊した瞳の奥に、まだ消えていない光がある。

それは強烈な炎ではなく、息を潜めて燃える炭火のようなものだ。

触れれば、ゆっくりと熱を取り戻すかもしれない。


「……火種、か」

口の中で言葉を転がす。

この火を、どう扱うかは自分次第だ。

既存のシナリオも、AIが描く未来図も、この火種の存在までは計算に入れていないはず。


オレは胸の内で、次の一手を静かに思案し始めていた。

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