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剣聖少女 〜あてもない旅がしたいと願った少女の冒険譚、剣聖にもなれたので箒に乗って路銀稼ぎや旅を楽しみたいと思います〜  作者: 両天海道
11章 旅路

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733話 姿形は変わるもの


 投稿を完全に忘れていました、誠に申し訳ございませんでした。


 騒動から数日が経過した。

 街の中は、騒動が起きる前と変わらず、歓喜に満ち溢れている様子だ。国の人々たちからすると、こんな騒動なんてまるで眼中にないようである。

 まるで自分の周りだけが幸せならそれで良いという天下泰平のような人々が集まって構成された国のようだった。

 そんな中、客室の扉にノック音が響き渡る。

 私はベッドから立ち上がり、ドアを開けた。そこに立っていたのはキョウであり、装備に身を包んでいる。まるでこれから、クエストにでも出発するかのような姿である。


「突然すみません、これから俺とクエストに来てはもらえないでしょうか? 剣聖様の強さを目に焼き付けておきたいのです」


 キョウは深々と頭を下げた。白銀の冒険者として、もっと高みを目指したいという欲望が湧き出ているのを感じる。終わらぬ探究心がキョウを突き動かしているようなものだった。私はクエストの内容を聞く前に、二つ返事で了承し、二人も誘って四人で行くことで決まった。


「みなさんの攻撃がまた、間近で見られるなんて光栄です。絶対に自分に活かせるようにしますので、本日はよろしくお願いします」

「よろしく、ところでどんなクエストを受けたんだ? 白銀の冒険者だから、高難度のクエストを受けたのか」


 キョウはボックスから一枚のクエスト用紙を取り出し、フェクトに渡す。私やナズナはそれを横から見る形でクエスト内容を確認したが、明らかに難易度が跳ね上がったクエストなのは確かである。

 それも、白銀の冒険者一人だけ挑むには少々難しいのではと思ってしまうようなものだ。


「まさか、魔神討伐クエストなんてものがあるなんてな、俺たちは初めて見たぜ」


 魔神が確認された場所は、ここからそこまで遠くない場所であり、人里に近づく危険性があり、白銀での討伐要請が出たようだ。

 だが、集まったのはキョウのみである。おそらく他のメンツも色々と立て込んでいるのだろう。そうして、キョウは自身の強さを客観的に見た時、私たちにも協力を要請することにした。自分の実力では、生きて帰るという自信がなかったから。


「とりあえず内容はわかったけど、魔神なんて戦った経験はあるわけ?」


 キョウは首を横に振った。


「魔族なら何度も葬ったことならあるんですけど、魔神というのはフェクトさんで初めて確認したぐらいです」


 判断基準がフェクトなのだろう。自身の強さを見た時、魔神であるフェクトには到底勝てない。なら、どうするか? 答えは一つであり、それを今実行しようとしている。

 だが、一つばかりキョウの考え方は間違っている。


「キョウ、判断基準がそれしかないけど、フェクトを判断基準にするのはそれは違う。フェクトは、魔神の中で、もっとも強い存在。それよりは確実に弱いことは確かだから、そこは深く考えなくていい」

「でも、それはそうかもしれませんが、どんなに弱かろうが魔神は魔神ですから。生きて帰れる保証なんてものは、どんな存在だろうと保証は出来ないですよね」


 そんなことをはっきりと言われてしまい、私は何も言えなかった。そんな話をしているうちに、門まで着いて手続きを済ませる。

 そうして、私たちはほうきに乗り込み、目撃された場所に向かう。


「フェクト、気配とかは感じるかしら? どんな些細な情報でも良いからあるなら教えてほしいんだけど」


 フェクトはまるで聞こえていないのか、それとも気配感知にのめり込んでしまっているのかわからないが、黙ったまま、ずっと黙ったままである。ふと、気になり後ろのナズナに振り返ると、ナズナも何かを考えているのか、黙ったまま一つ点を見つめている。

 その後、すぐのことであった。フェクトとナズナは一斉に話し出し、フェクトのほうきはどんどんと速度を上げ始めていた。


「二人とも何かを見つけたのね、二人はそのままで良いから気配を探ってほしい。キョウはとりあえず何が起こるかわからないから、いつでも先頭の準備をしておいて」


 そんな時だった。フェクトが結界を展開させた瞬間、大きな衝撃音と共に、結界に小さなヒビが出来上がっていた。

 フェクトは即座に結界を修復しようとするが、そこだけを圧倒的な質量とパワーで攻撃を繰り出し続けている。一点突破する勢いで押し潰そうとしている。

 それにまるで突然飽きたかのように魔法が止んだ。だがそれは、新たな魔法の始まりであり、結果、私たちは空中で全員が投げ出された。


「なんでこんなに風が強いのよ!」

「この領域にお前たちが入ったのが悪い」


 そんな声が聞こえてくる。間違いなく魔神の声であり、私たちをすでに認識している。だからこそ、先制攻撃を仕掛けてきたのだ。

 それにしても、随分と自信のある声をしている。まるですでに自分が勝つことがわかりきっているような声で、なんとも腹立たしい限り。


「随分と自信があるようだけど、その自信がいつまで持つか見ものね。この私たち相手に、魔神がどんな風な戦い方を見せてくれるわけ?」


 姿形を表さないまま、魔神は自信満々に話していた。自身の姿を出さないのは、決して弱いというわけではない。

 むしろ、姿形がわからない方が、魔神にとって都合が良いのだろう。


「フェクト、とりあえず全域に魔弾を発射させて!」


 フェクトはすぐさま行動に移し、とりあえず炙り出す作業に取り掛かる。だが、さすがは魔神と呼ぶべきか。一切、そんな魔法には引っかかることはなかった。

 それどころか、私たちをまるでおちょくるかのように突風を吹かせ、よりバランスをとりづらくする。


「まぁ、そんなことをされたところで、簡単に浮遊ぐらい出来ますけどね」


 私は魔法を発動させ、全員に浮遊の魔法を付与させる。落下していた体は空中で止まり、私たちはそのまま地面に降り立った。


「早く姿を現したらどうなの? わざわざ攻撃をしてこなかった時点で、私たちと戦う気満々なんでしょう」

「俺はとっくに姿を現しているけどな。お前たちが気が付いていないだけで。スネーク・バイト」


 キョウの足に噛みつき、たまらず悲痛な声を上げる。

 この相手は、姿形を思い通りに操りながら戦う魔神なのだと、私たちはすぐに理解するのであった。

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