組織とキャンプとカレー作り・其の十参
「えーと、クローブちゃん、さん?」
「ぷいっ」
そっぽに向く音をわざわざ声に出してらっしゃる。分かりやすい不機嫌アピールである。
表情はぶすっと膨れており、八つ当たりのように投げたスイカ型のビーチボールが、少し向こうでウイキョウにより作られていた砂のサクラダファミリアを完成間近で倒壊させた。
「……何か、怒っていらっしゃる?」
「べーつーにー」
いやいやいや、明らかに様子が可笑しいんですが。
「田中は私に言うことがあるはず」
そう言って、彼女は俺の方へとよってきて、顔を近づけて迫る。
目はジト目のまま、真っ直ぐこちらを見つめている。
「え? うーん……」
いや、検討がつかない、何かあっただろうか。
「……むぅ」
こちらが、言葉に悩み黙り、見つめあったまま暫く時間がたつ、しかし、こちらが一向に答えないことに痺れを切らしたのか、顔を離して踵を返すと、クローブちゃんは怒りながら早足で去ってしまった。
一体、何だというのか……。
「ね、ねぇ」
突然のクローブちゃんの登場に、取り残された感じのフェンネルさんがこちらに声を掛けてくる。
「そ、その、これからは、ちゃんと仲間として認めるから。し、しっかり頑張りなさいよね……」
「え、あぁ、はい。よろしくお願いします」
彼女は言葉を捻りしたのか顔を紅潮させており、そのままじゃあねとだけ、言うと、顔を隠すようにしながらキャンプ場の方へと向かっていった。
一人ビーチに残されると、波の音だけが響いている。
フェンネルさんとのわだかまりは溶けたものの、今度はクローブちゃんの様子がおかしい。
どうしようも出来ず、広いビーチで立ちつくすしかなく、しばらく悩んだ末にクローブちゃんを追うために、彼女が向かった方向へと進んだ。




