組織とキャンプとカレー作り・其の十弍
「私は、すぐに対応しなかった……心のどこかで、あなたみたいな新参物が、首領直々に指令を受けたとか、私だって首領に作戦を任されたいとか、色々考えてしまうことがたくさんあったの。正直に言えば、妬んでもいたわ」
泣いている為か、声が震えている。しかし、顔は下を向いており、表情を伺うことは出来ない。
「別に、採用しない訳じゃなかったけど、少し遅くさせて困らせようって、ちょっとした嫌がらせをしてやるって思ってた。まさか、倒れるまで切羽詰まっているとは思わなかったし……」
「あ、いや、まぁ倒れたの精神的な面もあったから……」
「それでも、非は私にあるわ。貴方が倒れてから、クローブに責められて、首領にも大分お叱りを受けたわ……私自身、貴方に倒れて欲しいなんて思ってた訳じゃない。クローブからの評価を聞いて、多少は、信頼できる人間ってことは分かってたのよ」
だから、全部私のつまらない嫉妬、なの。そう彼女は呟き目をぬぐう。
その肩は震えていて、いつもの強気な彼女の姿はどこにもなかった。
「ずっと言おうと思っていたのだけど、素直に言うのが難しくて、やっと言い出せたわ……本当にごめんなさい」
最近の何度も言えない態度、クローブちゃんの険しい表情はこの事があったからなのかと、独りでに納得する。
きっと彼女は見た目以上に繊細なのだろう……だからこそ、パッと出の俺が気にくわなかったし、俺の働きを見てからも自分の心に折り合いを、つけれなかったのではないだろうか。
でも、それは決して彼女だけの非ではない。
店を回す事に夢中で、組織のことを余り気にすることが出来なかった、俺にだって非があるはずだ。
だからなおのこと、彼女を責めることは出来なかった。
「えっと今は俺の事とある程度は認めてくれてるんですよね?」
こくりと、彼女は頷く。
「なら、別にいいですよ。むしろこんな新参者を受けていれてけれたのだから、うれしい限りです」
「……怒ってないの?」
「いやぁ、喉元過ぎればらなんとやらってやつですかね。もうね、忙しい時ってそれこそその時は誰かに悪態を付きたい物なんですが、振り返ってみたらもう笑い話なんですよね。倒れたり、色んな人に迷惑掛けちゃったのは、問題かもしれないですけど、次から気をつけていけば問題ないですしね!」
取り繕うというのは可笑しいが、必死に彼女はのフォローの為の言葉を紡ぐ。
自然と手振り身振りも大きく使っての説明となり、それ見て気が抜けたのか、少しだけ彼女は表情を緩めてくれた。
「……とても、仲良さそう」
フェンネルさんの緩めんだ表情とは真逆の、不満轟々と言った顔が、ぬっと彼女の後ろから飛び出てきた。
「おわぁ!?」
「仲直り出来て、よかったね」
じとっとした目でこちらを、見つめるのはクローブちゃんである。
彼女の機嫌を表すかのように、彼女が両手で抱えるビーチボールが押し潰されてグニグニと、世話しなく形を変えている。




