組織とキャンプとカレー作り・其の十四
クローブちゃんの向かった方向に進むと、もとのキャンプ場へと戻ってきた。
気がつけば昼を過ぎて大分立っていて、幹部の皆も戻ってきていた。
夕食の支度を始めたのか、飯盒やコンロの用意が進んでいる。
ベイリーさん達女性幹部陣の指示のもとに男性組が動いているようだが、そのなかにクローブちゃんの姿は見当たらない。
「おおっ! 田中くん、帰ってきたか! 夕飯はカレーをね! 作る予定なんでな! 田中くんにもがっつり協力して貰うぞぉ!」
不意に後ろからバシン、と強く背中を叩かれる。
大きな声で迎えてくれてのは、首領だった。片手には大ジョッキを持っており、反対の腕は、がっしりとウコンの肩に掛かっておりどうやら二人で飲み始めてすっかり出来上がっているらしい。
笑い上戸なのか、絶えず笑っており、首に腕を回されながら飲んでいるウコンさんも苦笑い気味であった。
実に楽しそうであり、思わずこちらも笑い返してしまった。
「もぉー、首領ってばちょっと飲み過ぎだよっ!」
「諦めろ、ベイリー。もうこうなった首領は止まらん」
ベイリーさんと、ウイキョウのやり取りで、回りからも笑い声が溢れでる。
本当にこの組織は家族のようだと、感じてしまう。
……だが、微笑ましいこの場面は、同時に爆弾に火をつける導火線でもあったなんて、誰が想像したであろうか。
「今年はね! 君が居てくれるから夕飯も安心できると言うものだよ!」
その言葉を聞いた週間、周囲の幹部達の動きが笑顔のまま止まる。
ウコンさんに関しては、あからさまに地雷を踏んだと言わんばかりに頭を押さえていた。
「いやいやいや、別にぃー? このベイリーちゃんが居れば美味しいカレーの一杯や二杯余裕ですしぃ?」
「……そうね、まるで田中が居なければ期待できる程のカレーが出来ない……なんて事はないはずよねぇ」
たった一言。
首領が意識せずに放った言葉は、プライドの高い幹部の方々の心にさっくりと、静かに、しかし巨大な炎を巻き起こしてしまったらしい。
「まぁ、我々とて今年までこのキャンプで作り続けてたのであるのだからな、新人の力など借りずに出来ぬなどあり得ぬだろう」
「あー、いややっぱこう言うのは皆で協力するべきであってですね」
「あんた、一応この前倒れてるんだから、おとなしくしてなさいよ」
こちらからもフォローをしようとしたが、心火の燃えた彼女らにその思いが届く事はない。
「おお、いいぞいいぞー。皆の物よ、頑張るがよい!」
始末の悪いことに、着火元に関してはその火を煽っている。
どうするんだ、この状況。




