組織とキャンプとカレー作り・其の七
「なんだよぅウコン。一人だけ能力の自慢なんてズルいじゃん!」
「すまんすまん、皆疲れて寝てしまっているようだったからさ」
大きなボンボンをつけ、ツインテールにしている少女は、ウコンさんの胸元を肘でつつきながら、こちらに目を向ける。
身長は、クローブちゃんと変わらない位低く、華奢な体を精一杯大きく動かしているが、そのツインテールが長く幅を取るため、少しだけ大きく見える。
そんな動きが激しくのに、露出が高いパンクを匂わせる服を着ている為に色々な所に隙があり、目のやり場に困ってしまう。
満足するまで、ウコンさんを弄ったのか、くるりと身を翻してこちらによってきた。
「こんちは! 私はベイリー! モダルカンでは情報とか広報とかの担当だよ! 宣伝の為にネットアイドルとかもやってるんだー!!」
「あ、ど、どうも……」
戸惑いながら俺が挨拶を交わすと、上から下までじっくりと眺め、何か納得したように頷く。
「うん、いいね! クロちゃんが気に入ったのも納得だよ!」
クロちゃんというのは、クローブちゃんの事だろうか……確かに彼女は物静かで感情の解りづらい所があるが、もしかして、自分が思っている以上に気難しい娘なのだろうか。
「クロちゃんはねぇ、実際ユニークというか、オチャメというか、ノリの良い娘なんだけどねぇ、ちょっと人見知りなんだよねぇ」
「あぁ……リアクションは大きくないけど、確かにノリはいいのかも」
というより、解りづらい独特のノリと言う気もするが、それは胸の内にしまっておこう。
「へぇ……」
俺の呟きに、ニヤニヤと意味ありげな笑みを投げ掛けてくる。
「な、なんですか……?」
「んー、身内からしてもあの娘の表情の変化は少ないからねぇ。それが分かるなんて、凄いなぁ……と」
「いやぁ、さすがに自分と一緒に働く人の事はしっかり知っとかないといけないですから」
「ふーん、本当にそれだけぇ?」
「いや、それ以外に何があるんですか」
勿体ぶったようにベイリーさんは、ふふふと笑う。
そして、体を寄せると顔を近づけ、耳元で呟く。
「もしかして、クローブちゃんに惚れちゃったとか?」
なんと荒唐無稽な話だ。
俺がクローブちゃんの事を好きだなんて、あるわけがない。
あくまでも仕事を一緒にする同僚だ。
そりゃ、友人として、信頼を置いてはいるけれども、そこに恋愛の要素なんて、不純な思いはないのだ。
それだけは、断言しなければならない。
「あー……いや、その、えっと」
断言しなければ、ならないのだ。
「おーい、皆、もう目的地につくぞー」
僕の言葉にかぶるように、首領の言葉がバスに響く。
それは、寝ていた面子をおこし、今までのやり取りを中断させるだけの大きさが充分にあり、ベイリーちゃんもまた、こちらから首領の方へと興味を移してくれた。




