組織とキャンプとカレー作り・其の参
「あの、首領……これは一体」
本部の中に入ってから、荷物を置き皆が集まっているホールへと向かっていく。
その道中、なぜか一枚の布を渡された。
「うむ、それをな、頭から被りたまえ」
言われるがままに、恐る恐る頭から被る。
するりと頭から体を包み、足元まで隠す。
意外な事に薄ら暗くなるものの、視界をそこまで邪魔をしない。
「なかなか快適だろう? うちの技術班が作った特別性なんだ」
自慢げに話す首領と、疑問も持たずに着込むクローブちゃんとウイキョウ。
確かに熱も籠らず夏でも快適な訳だが、状況が全く掴めない。
「いや、首領。なんで自分まで被る事になってるんですか?」
「ふふふ、なぁに。それは集まってからのお楽しみ。田中くん、も絶対に喜ぶ事さ」
一抹……いや、かなりの不安を抱きながら言われるがまま付いていく。
ホールにたどり着くが、薄暗く、周りの様子が見えない。
戸惑っていると、不意にスポットライトが首領を照らし、更にいくつもの光が、人影一人一人に注がれていく。
そのどの影も黒ずくめのローブを羽織っており、一見では姿が分からない。
ある意味悪の組織らしい情景だ。
そして、一際高い所に立つ首領が堰を切るように叫びだす。
「諸君!! 本日は我が秘密結社モダルカンの慰安キャンプに参加するために集まって事、誠に嬉しく思う。ささやかな二泊三日の旅行だが、ゆっくりと楽しんでくれたまえ」
張りのある声で叫ぶ首領の声は、ホールに反響して響き渡る。
「話は変わるが、皆も知っての通り、今年より特別作戦の臨時幹部として、田中くんが加わってくれている! 多少トラブルはあったものの、現在プロジェクトは順調に進んでいる!」
首領の言葉に静かな拍手が広がる。
自身の事とはいえ、仕事でこのように誉められる事はなかなか無い。
その為か大分恥ずかしく感じる。
「そして、本日の慰安キャンプではより田中くんとの交流を計り、仲間としての結束感を強めていきたい……故に、久しぶりにあれをやろうと思う!!」
首領の言葉に幹部陣は沸き立つように声をあげる。
……あれとは? 一体なんの話をしているのだろうか。
「あの……首領、あれとは?」
「心配はいらないぞ、田中くん。既に君の分も作ってある」
「え? な、何をですか!?」
「ふははは、論より証拠。見れば分かるさありがとう!! という訳で、ウイキョウ!! やりたまえ!」
首領の声に答えて、少し手前に立っていたウイキョウがローブを放り投げて脱ぐ。
『鋼の体! 不屈の闘志!! 蹂躙する鬼戦車・MO!! ウイキョウ!!』
突如突き出る岩を砕き、爆風を纒ながら、ポージング決めるウイキョウ。
室内だというのに、ご丁寧に後ろで爆発まで起きており、完璧な名乗り口上であった。
………えっ?




