組織とキャンプとカレー作り・其の壱
―それは、とあるのどかな海岸線で起きた。真夏の恐怖体験である―
突然だが、俺は地獄絵図を目の前にしている。
燃え盛るように暑く照らす太陽と、比喩表現ではなく現実的に燃え盛っているキャンプ施設。
赤く染まるそこには、怒号と悲鳴と、今もなお絶えない爆発音が響きわたっている。
「くそっ、どうしてこうなった。誰かアイツを止めろぉ!」
「弾が足りない!! 誰か、弾を持ってきてくれぇ!!」
「駄目だ! 勝てっこない……あぁ! 窓に! 窓に!」
ガラスが割れる音、何かが砕ける音、異臭。絶えない振動。
楽しかったはずの慰安旅行は、悲壮と絶望の際に染まっていく。
ふらふらとこちらに向かってくるクローブちゃん。
倒れそうになる彼女を抱えるように受け止める。
「……ごめんね、田中。これを……」
震える彼女の手から、四角く、茶色い塊を受けとる。
「後は、お願い……私たちを……」
言い切る前に、彼女はゆっくりと目を閉じ、その体から力が抜けていく。
ゆっくり、優しく彼女を寝かせ、俺は立ち上がる。
後ろを振り向けば、肩で息を切らすフェンネルさんと、体の至るところに傷が出来ているウイキョウが立っている。
二人と目が合い、二人は俺に向けて、静かに手を差し出してきた。
「今は、お前と共闘しなければならない時のようだ」
ウイキョウの言葉に、俺は手に持っているあの娘から受け取った物を見つめる。
そして、ゆっくりと目の前の惨劇に向かい立つかの様に睨み付ける。
こうなってしまえば、やること等一つに決まっている。
俺がやらなければならない事ははっきりとしていた。
それを成すだけ、そう、それだけなのだ。
―ただ―
―その前に一つ―
―ただ一言だけ―
「なんで、カレーを作るだけでこんな事になったんだよおぉぉぉぉぉ!!」




