俺とカレーと皆の間にあるもの・其の七
「その……ごめんね」
気まずい時間が溶けしばらくして、赤崎は静かに頭を下げた。
「えっ? いや、赤崎さんに謝られるような事は……」
「その、調子悪そうにしていたのわかってて無理させちゃったみたいだし…ね」
そういえば倒れた前の日は彼女に料理を教えに行っていたのだっけ。
「いや、色々抱え込んでいた俺が悪いんだし、赤崎さんのせいではないよ」
「ん……でも無理させた原因でもあるから」
いつになくしおらしい赤崎さんだ。何かあったのだろうか。
何かあったのかと聞こうとした瞬間、クローブちゃんが腰を上げると、飲み物を買ってくるといって外に出ていった。
そうして、俺と赤崎さんだけが残される。
そして、一つ大きく息を吐き出してから、赤崎さんが切り出す。
「あのね、電話であの子からあんたが倒れたのを聞いたの」
あの子というのクローブちゃんの事だろう。
「その時ね、あの子かなりうろたえててね、いつもじゃ考えられないくらいの勢いで責められちゃって」
……なかなか衝撃的なことを聞いた。勢いのあるクローブちゃんというのは、なかなか想像ができない。
いや、食べている時は別であるが。
「だからってわけじゃないけど、やっぱり色々悪いと思っちゃって……」
「俺なら大丈夫、まぁ、その分上達してくれれば何も文句はないさ」
「ぜ、善処するわ……」
そんな風に談話していると、クローブちゃんが戻ってくる。
「じゃ、私はそろそろ行くわ、ゆっくり休んでね」
そういって、赤崎さんは部屋を出ていこうとする。
そして、出る手前でクローブちゃんに声をかける。
「あぁ、クローブ、あなたにちょっとお願いがあるのだけどいいかしら?」
そういって赤崎さんはクローブちゃんを手招きして外に連れ出した。
先ほどの話を聞いていたため、若干の不安が浮かぶがほどなくしてクローブちゃんだけ戻ってきた。
「えっと……何かあったの?」
そう聞くとクローブちゃんは静かにうなずくが、後でわかるとだけ言い教えてはくれなかった。
「私も一度戻る。田中はゆっくり寝ていてほしい」
結局クローブちゃんは教えてくれず、はぐらされたまま帰ってしまった。
喧嘩でもしてしまったのかと不安にも思ったが、そういった雰囲気は感じ取れなかった。だが、やはり不安だ。
どことなく悶々としたが、まだ本調子ではない肉体が睡眠を要求しており、考え半ばで眠りについてしまった。




