俺とカレーと皆の間にあるもの・その六
幸いなのか、不幸なのか入ってきたのは首領だった。これがウイキョウだったりしたら、今頃俺は粉微塵にされているだろう。
黒いローブと仮面で正体を隠しているため、首領の表情は全くわからない。どうでもいいが、その出で立ちでお見舞いのメロンを持っているのは非常にシュールだ。
首領は、静かにドアを締めてこちらをまっすぐとみる。
俺は我にかえって、慌ててクローブちゃんから体を離した。
「うむっ!!」
まるで、全て察したぞと言わんばかりの頷きと、サムズアップ。
まずい、これは完全にあらぬ方向の誤解を受けている。
「まさか、君たちがそこまで進んでいるとはね……」
「いや、首領。これはですね」
必死に誤解を正そうとすると、何も言わなくていいと言わんばかりに背中をバシバシと叩かれて噎せてしまう。
「なぁに、大丈夫。私から勝手に言いふらしたりはしないから、な?」
「いえ、ですか」
「でも、クローブを泣かせたりなんかしら、覚悟するように」
有無を言わせない、覇気のこもった言葉におもわず頬をひきつらせた笑みで頷いてしまう。
それをみると納得したように首領はうむうむ、と二回頷いて帰ってしまった。
再び、二人になるが当然重い沈黙。
恐る恐る、ちらりと後ろのクローブちゃんを見る。
顔を伏せてしまっており、表情はわからない。
体を少し震わせているように見えるのは、果たして怒りのためか、それとも悲しみの為か。
答えも聞けず、迂闊に動くことも出来ず、沈黙のまま時間がすぎるが、時が凍ったように永遠にも感じられた。
「……何やってるの、あんたたち」
ようやく時間が溶けて動き出したのは、ノックをして入ってきた赤崎さんが固まって動かない異様な二人に声をかけてからだった。




