俺とカレーと皆の間にあるもの・其の五
次に目を覚ますと、すでに日が上っており朝日が目に優しく目に刺さってきた。
体を起こして、側をみると驚いた顔をしたクローブちゃんが立っていた。
手にはタオルを持っており、どうやら額の汗を拭こうとしてくれていたようだ。
「あー……おはよう、クローブちゃん」
「……」
少しタイミングが悪かったかなと思いながら、クローブちゃんに声をかける。しかし、クローブちゃんは固まったままだ。
「心配、した」
しばらく二人とも無言の状態で向かい合い、少ししてからクローブちゃんが小さな声で呟いた。
「……ごめん」
「後悔も、した。田中が疲れているには気づいていた。田中は一般人だったのだから、もっと配慮をするべきだった」
「いや……体調管理ができなかったのは俺の責任だ。クローブちゃんに非があるわけじゃないよ」
「初めて、誰かと一緒に仕事をしたから、嬉しくてほんとは休むべきで休む事に意識が回らなかった。田中の補佐役でここに来たのに、これじゃ……私は」
少しずつ、涙ぐみながらクローブちゃんは謝り続ける。
それを止めるべく、俺は彼女の側に近づきその頭を撫でようとしなのだが、足元がもつれてそのままクローブちゃんに覆い被さり抱き締める形になってしまう。
驚いたような顔をしてこちらを見るクローブちゃん、こちらとしても思わぬ事態な為、とっさに動く事が出来ない。
離れなければ、と体を動かす前に恐る恐るといった感じでクローブちゃんがこちらへと体重を預けてきた。
一瞬躊躇ったが、ゆっくりと手を頭に置いて優しくなでる。
「今回はさ、俺も自身の体調管理を疎かにしてたのが悪いんだ。今まで経験の少ないクローブちゃんに言われる前に、気にかけてもらう前に、俺がしっかりと動かなければならなかったんだ。だから、クローブちゃんが悪い訳じゃないさ」
「……でも」
どこかしらの罪悪感が抜けないのだろうか、未だクローブちゃんはわずかに震え、泣きじゃくった声を出している。
「じゃあさ、次に俺が無茶する時はクローブちゃんに止めて欲しいな。どうも俺は、忙しいなると無理してでもやろうとしてしまうみたいだから」
じっとこちらを見つめるクローブちゃんだったが、しばらくして涙を拭って小さく『わかった』と呟いた。そしてそのまま残った涙を拭くように胸に顔を埋めてきた。
慣れない感覚をこそばゆいが、その背中をゆっくり撫でてあげる。異性にこのような対応をするのが初めてだからだろうか、顔が燃えるように熱い。
そんな熱に酔ってしまったのだろうか。
「いやぁ田中くん!! 起きたそうじゃないか! 体調は大…丈夫…」
他のだれかが入ってくる可能性が、頭からすっぽりと抜けてしまっていたのである。




