カレーと正義の交差点・その十三
「ねぇ、田中? 聞いてる?」
ふいに、赤崎さんの声が聞こえる。はっとして横を見ると、赤崎さんがこちらを心配そうに伺っているのが見えた。
「あ、あぁ、うん大丈夫」
義正さんと別れ、赤崎さんを送る道の途中だと言うのに、先ほどの事が頭の中で渦巻いている。
義正さんに問われた質問は、自分でも驚くほど俺の心に深く突き刺さっていた。
結論から言えば、俺は結局答える事が出来なかった。肯定するための根拠も、否定できる自信も、俺にはなかったのである。
義正さんは俺の回答を無理に聞くことはせず、ゼリーへの感謝の言葉だけを残してその場を去ってしまった。
最後はさっき等も無く、普段通りの彼であったがその真意は分からない。
そして、戻ってきた赤崎さんと共に支部の建物を出て、帰路の途中に至る訳である。
気がつけばすっかりと遅くんあっており、帰り道は街灯とわずかに照らしてくれる月の光だけだ。
「そう? あんまり顔色良くなさそうだけど……」
「んー、そうかな?」
彼女の顔をまっすぐ見るのが難しい。先ほどの話を聞いたから、というよりは自分が先ほど出せなかった答えが、彼女への罪悪感になってしまっている。
彼女接する資格が無いのではないのかと、自分のどこかが糾弾しているようだった。
「じゃあ、またよろしくね。田中」
気が付くと、いつも彼女と別れる場所についていた。
「あぁ、お疲れ様。またね」
俺は軽く手を振って、おなじように手を振替しながら去っていく彼女の姿を見送り、その姿が見えなくなった所で一つため息を吐き出す。
見上げると、青白い月が満月とh言い難い微妙な形でこちらを照らしていた。
そんな月が俺に答えを教えてくれるわけでも無く、ただ自分へのふがいなさがずるずると俺の心を締めつけていた。




