カレーと正義の交差点・其の四
「ちっ違う! 何言ってるのよ雪ちゃん!」
赤崎さん、その返しは火に油を注ぐようなものだと思うな。
「ふーん、へーえ」
ほら、そんな反応するから松島さんが生暖かい笑顔をしているじゃないか。
「じゃあ、田中さんに聞こうかな?」
そう言ってこちらを向く松島さんに合わせてスッと目を逸らす。
「その反応は肯定と認識しちゃいますよ?」
ですよね……。
「うー、違う! 違うってば!」
元々リンゴの様に赤い頬をしている赤崎さんはより頬を赤くして否定している。
そして、そんな反応を楽しむ松島さん。
あ、駄目だこの正義のヒーロー。一般人に完全に手玉に取られてる。
「……何よ、何でそんな目でこっちを見てんのよ」
彼女達のやり取りを眺めていたら、赤崎さんは責める矛先をこちらに向けてきた。
きっとこのまま松島さんと対抗しても勝てないと判断したのだろう。
なるほど、良い判断だな。だが無意味だ。
「いや、そうやって必死になってる赤崎さんも可愛いな、と思ってね」
着火した種火に油を注ぐ。
きっと今日の店が忙しかったせいである。もはや半分の自棄と、半分の本音が融合した爆弾をするりと投下してしまった。
そして、そんな爆弾は一拍の間を開けてしっかりと赤崎さん、さらには松島さんにしっかりと着弾。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!?」
「きゃーきゃーきゃーきゃー」
絶叫二つ。見事な爆発が巻き起こされた。
「え、ちょ、あああああんた何言ってんのよ!」
「なになになに、何ですか!? いつからそんな関係になっていたんですか!? どこまで進んだんですか!?」
目の中をらんらんと輝かせてこちらに質問攻めをしてくる、松島さん。
それと対照的に、顔全体をリンゴのように染め上げて混乱しながら俺の首元をつかむ赤崎さん。
夕方の住宅地にはいささか迷惑な爆心地がここに完成した瞬間である。




