カレーと正義の交差点・其の参
さて、彼女達のゲームの終了を見計らって店を出発する準備をする。
ゲームを終えた赤崎さんは深く落胆し、反対に先ほどまで必死な表情でボタンを押していたクローブちゃんは嬉しそうに眼を輝かしている。
……あまりゲームに詳しくないのだが、協力プレイだったんだよな?
なんでこんな表情に差があるんだ?
「宝玉が……宝玉が……」
赤崎さん、いきなりぶつぶつ呟かないでください。怖いです。
「……ほら、さっと行くわよ!」
思い出したかの様に、あるいは先ほどのゲームのショックを振り切るかの様に、赤崎さんは荷物を持って外に出る。
それを見て、クローブちゃんもゆらゆらと外に出た。
いつもより足取りが嬉しそうだが……うん、これは気のせいじゃないだろう。
そんな二人の後ろ姿を見ながら、俺も店から出る。
「じゃあ、クローブちゃん。また明日」
「……ん」
店の鍵を締めながらクローブちゃんに声を掛けると、コクンと一度頷いて手を振ってきた。
その手を振りかえし、帰る後ろ姿を見送り、赤崎さんと目的地に向かう。
「しかし赤崎さん、ずいぶんとクローブちゃんと仲良くなったね」
「べ、別に仲良くなんてなってないわよ! 一応あの子は敵なんだしっ」
「……それにしてはさっき楽しそうに二人でゲームしていたけど……」
「あ、あれは……あの子とっ……」
そこまで言って彼女は言葉に詰まる。
その後、小さくもごもごと何か呟いた後、小さく「何でもない」と言って黙ってしまった。
「赤崎さん?」
問いかけても、何も答えてくれない。ただ俯いたまま歩いている。
何かクローブちゃんとの間で何かあったのだろうか。
女の子同士の関係というのは、とても複雑な物だと聞く。
あまり男である俺が立ち入る訳にはいかないのかもしれない。
……うん、それはともかくこのままじゃ気まずい。
さてどうにかできないものか……。
「あら、田中さんにみかっち。 ふたりが一緒なんて珍しいじゃない」
「うぇ!? ゆきちゃん!」
グッドタイミングにばったりと出会ったのは、以前の騒動の時に赤崎さんと来ていた少女にして店の常連の一人。
松島美雪女史である。
「あぁ、松島さん。 こんばんは」
これは丁度良かったかもしれない。
彼女は赤崎さんととても親しい。もしかしたらこの気まずい状況も何とかしてくれるかも……。
「……店以外で田中さんとみかっちが二人きり、しかもこれから夜と言う時間……なるほど」
何に納得したのか、松島さんはポンと手を叩いて一言。
「デートだね!」
……うん。
より、状況が悪化した。




