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カレーと正義の交差点・其の二
「ちょっ、ちょっと待って! すぐに仕込みだけしちゃうから!」
「いいわよ、ゆっくりで」
彼女の返事もそこそこに急いで仕込みを始める。
チキンタツタの肉を切って付けダレに漬け込み、水が完璧にとんだ肉と野菜にスパイスを混ぜたカレーソースと合わせてとろ火に掛けた後に寝かす。野菜を切る……。
俺が慌ただしく動いている間、どうやらクローブちゃんと赤崎さんは何かを話しているらしく、華やかの声が厨房にも響いてくる。まぁ、何を話してるかまでは聞こえないが……。
「よし、後は明日の朝だな……」
手を洗いながら、自分の仕事を確認する。うん、とりあえずこれで、明日の開店に間に合うだろう。
「お待たせ赤崎さん、それじゃ行こうか」
フロアに戻ると、なぜか二人で携帯ゲームに勤しんでいる赤崎さんに声を掛ける。
「はいはい、今このクエスト終わらせるからちょっと待ってねー」
「あ、回復薬切れた」
「はいはい、粉塵粉塵」
黙々と目先の画面に集中する赤崎さんと、その隣で必死にボタンを操作しているクローブちゃん。
なんというか、微笑ましい光景である。
彼女が動かなければ、俺が動いても仕方ない。
しばらく待とう。
そう考えながら、彼女たちのゲームを楽しむ姿を見つつ体を休めたのだった。




