インドから来た暴れん坊・其の十弐
「うわぁぁぁぁぁ、またかよぉぉ!」
悲鳴を上げてる俺を横に、原因であるウイキョウはカレーを夢中で頬張っている。
「く、くそぅ。どこかの料理漫画の味王みたいな反応しやがって」
「おかわり!」
「畜生! すぐ持ってくるよ!」
先ほどまで、頑なに俺のカレーを食べようとしなかったのは何処のどいつだと糾弾したい。ものすごくしたい。
だが、どんなに怒りたくても、目の前であれだけおいしそうに食べられてしまい、おかわりまで求められてしまうと、それに答えたくて仕方なくなってしまう。
なんと悲しき料理人にの性だろう。
「ナスがこんなにうまいものだったとは……」
「油とナスってのは相性がいいんだよ。甘みが増すし、あくも抜ける。皮も柔らかくなるから、食べやすいしね」
そしてカレーがナスの旨味を引き立てつつ自分を主張してくるのだ。全くカレーは偉大な食べ物である。
ウイキョウのスプーンは止まる事を知らず、次々とカレーを胃に運んでいく。
「うまい! うまい!」
というか、このスピード……すこしデジャヴを感じる。
「おかわり!」
「お、おう」
もう、何杯目のおかわりだろうか。今朝大なべ満タンに作ったカレーはすでに半分程無くなった。
いつぞやのクローブちゃん負けないにスピード、量。
うん、兄妹だ。この二人。
結局、荒ぶるスプーンは止まらず。鍋一つ食い尽くされてしまった。
「ふう……ご馳走さま」
背もたれに寄りかかって、幸せそうに腹をさするウイキョウ。
こっちは明日の仕込み量に頭を擦りたくなってるよ、チクショウ。
「はぁ、まぁこれでクローブちゃんに怒られないですむだろ?」
少しばかり、皮肉気味にからかう。鍋一つ食われたのだから、この位のお茶目は許されるだろう。
「……あぁ」
少しは怒るか、戸惑う顔が見れるかと思ったが、予想と違う、何か思いつめたような顔。
むしろこっちが戸惑ってしまう。
「え、あれ……ウイキョウさん?」
「……ウイキョウ、でいい。お前の方が年上だろう」
「あっ、はい」
ごもっともである。が、見た目のせいで躊躇してしまうのはきっと俺だけじゃないはずだ。
「なぁ」
「ん?」
不意にウイキョウがこちらを見据えて、声を掛ける。
「あんたは、首領が世界征服する理由を知ってるか?」




