インドから来た暴れん坊・其の八
若干、予想外の事に戸惑ってしまったが、彼が幹部である事は変わらない、落ち着いて対応しなければ。
「全く、歳なんて見ればわかるだろうに……」
「分かるかっ!」
思わずツッコむ。お前のような未成年がいるか。
「ほう……」
急に威圧的な雰囲気をだしてウイキョウは立ち上がる。あまりの覇気に思わず腰が引けた。
「い、いや。その、あの……」
「田中、ウイキョウは老け顔を気にしてる。触れちゃダメ」
「え、あ、そうなのか。すまない」
クローブちゃんの言葉に謝ると、こちらを人睨みした後、ふんっと唸ってから椅子に座りなおした。
クローブちゃんのフォローが無ければ、木っ端みじんにされていたかもしれない。
「えーと、それで、もうカレーをお出ししてよろしいですか?」
年下と知ってなお敬語を使ってしまう。まぁ、視察で来た幹部なのだから、お客様として扱わないと。別に、ビビッている訳ではないのだ。
「うむ……」
彼は、メニューを手に取って眺める。
「チキンカレーを」
ひとしきり眺めた後に、そう一言。
「かしこまりました」
そういって、俺は厨房に戻りカレーの用意をする。
熱しておいた油に、扇切りをしたナスといんげん豆を投入し素揚げ。
皿に半分ほど乗せた白米を用意して、油を良く切ったなすを上に乗せる。
そしてそこにカレーをナスが半分見えるようにかける。
「と言う訳で完成、モダルカン特製チキンカレー夏バージョン!」
完成したそれをカウンターに出す。
差し出されたカレーを見た瞬間、ウイキョウの顔が険しくなった。
何か、気に入らない事があったのだろうか。
「このカレー、ずいぶんドロッとしているな」
「えぇ、小麦粉でとろみがつけてあるんです。こうした方がお米に良く絡まりますし、小麦粉を炒めれば香りも……」
「認めん」
俺の説明を遮り、ウイキョウは一言。
「え?」
「こんな物、カレーとは認めん」
まさかの、食べる前から否定。あまりの事にあっけに取られてしまった。




