インドから来た暴れん坊・其の六
「……やっぱり、こっちがどうにか止めるしか無いかしらね」
顎に手を当て、ずっと考えていた赤崎さんが急に呟く。
「いや、それが出来ないから悩んだんじゃ……?」
「方法、無いわけじゃないわ」
「ほ。ホントですか!?」
赤崎さんの肩を掴んで、叫ぶ。
「うぇ、ちょ、ちょっと!?」
「あ、ごめん」
おっと、先ほどまで恐ろしい想像をしていたからか、思わぬ救いの言葉に、がっついてしまった。赤崎さんも、驚いてか顔を赤くしている。
赤崎さんから手を離し、その打開策を尋ねる。
「そ、そうね……そのウイキョウが来るのはいつなの?」
「話では、一週間後」
「そう、それだけあれば大丈夫かな」
一人納得した顔でうなずく赤崎さん。彼女のそんな姿を見て、なぜか俺の心に得体の知れない不安感が走る。
「あの、赤崎さん? いったい何をするおつもりで?」
「最初に言った通り、ウチの先輩方をその日来ないようにさせるのよ」
「え、でも赤崎さんさっき無理だって……」
「うん、私には無理よ?」
そう言いながら、携帯を取り出すと素早く弄り始める。どうやら誰かにメールを送っているようだ。
「私に出来ないなら、出来る人に頼むのよ支部長とか、ね?」
そう言いながら彼女は顔をあげる。なんとも、いたずらを思いついたと言わんばかりの、小悪魔な顔。心の中の不安感が、零れた水のように広がってく。
「な、なるほどなー。上の人が言ってくれたら、言うことを聞いてくれるかもしれないもんなー……でも、お高いんでしょ」
引き吊った俺の笑みに対して、彼女は可憐な笑顔をみせる。
「誰かが一週間ほど、食堂でバイトして三食出してくれたら、支部長も言うこと聞いてくれるんじゃないかなー」
わざとらしく、彼女は言う。俺の顔は青ざめる。
かくして、思わぬ臨時バイト入ったものの、何とかブッキングを防ぐことが出来た。
その臨時バイトも、素晴らしく波乱万丈だったのだが……。
それは別のお話にしておく。
とにかく、ヒーローの人はいない状態で、万全にウイキョウさんを向える手筈は整ったのだ。




