インドから来た暴れん坊・其の伍
「結局、ウイキョウさんはかなり過激な武闘派で、ヒーロー側にも禍根があると」
「まぁ、禍根がない正義と悪も訳が分からないけど、そうなるわね」
「それじゃ、クローブちゃん。そこから推測されるウイキョイさんとヒーローの方がブッキングした場合、どうなると思う?」
「ほぼ、戦闘になるかと」
「そんなのクローブじゃなくても分かるわよ」
うん、ですよね。
しかし、そうなると何としてもブッキングは避けたい。もう、店がボロボロになるのは勘弁である。
「はい。先生!」
しかめ面で悩んでいると、赤崎さんが元気よく手を上げる。
「先生て……何ですか赤崎さん」
「いっそ、先手必勝で協会のヒーロー全員連れて来たらいいと思います」
思ったより、赤崎さんは脳筋なんだろうか。
「あんた、それやったらこっちも全員集めるわよ」
「それ完全に戦争じゃないですかー! やだー!」
カレー屋から始まる戦争とか勘弁していただきたい。
「貸切って札をだす、とか」
「それだ!」
流石、クローブちゃん! 俺たちが思いつかない事を簡単に思いついてくれる! ま、痺れたり憧れる前に、頭を撫でててあげよう。
「ふにゅ……」
優しく撫でてあげると、目をつぶって気持ちよさそうな声を上げた。小動物みたいだなぁ。
「……確かにアリかもしれないけど、難しいと思うわ」
安心しきった俺を、ジト目でみている赤崎さんが言う。何か先ほどより機嫌が悪い様な気がするのは、きっと気のせいだろう。
「難しいって……何が難しいんだ?」
「……昼飯をかけた時のウチの先輩が、それで止まると思えない」
ありありと浮かぶ、突き破って飛び込んでくるヒーローの方々。なるほど、確かに想像がつく。
……ヒーローっていったい。
「まぁ、ウイキョウもそんな事したら変に癇癪起こしそうね」
「……あ、特別扱いとか嫌いだった」
確かに、それでは下手したら癇癪起こしたウイキョウさんと気が立ってるヒーローがゴッツンコ……なんとも恐ろしい状況が起きそうである。
「うーん、そうしたらホントどうすればいいんだ!」
頭を掻き毟りながら叫ぶが、何もいい案が浮かばない。
「いっそ、その日を狙って臨時休業にするか……?」
「そんなの、別の日に来られるだけでしょ」
やけくその意見も、フェンネルさんにあっさり論破される。
手の打ちようがない。完全に八方塞がりだ。こうなったら、腹をくくってブッキングの中で接客するしかないのだろうか。




