インドから来た暴れん坊・其の参
「えーと、すいません。ウイキョウさんてどんな人なんですか?」
少なくとも、基地の食堂で働いていた時にあった覚えはないのだが。
「あぁ、そうね。あいつがインドに行ったのは、あんたの来る前だったわね」
「……インド?」
突飛な言葉が出て、オウム返ししてしまう。
「ウイキョウは、私たち幹部の中でも武闘派でね。色々過激な作戦を立ててはヒーロー側と戦って、実際何人かヒーローも倒してたような奴だったんだけど……」
そこで、フェンネルさんは言葉に詰まった。
言いにくい、というよりは解せないとでも言いたいかの様な困惑した困惑した顔で。
「何かあったんですか、その、ウイキョウさんに」
「負けたのよ」
「え?」
「結構な自信家で、誰にも負けないと豪語していた男が自分で負けたと言って帰ってきた。実際そいつが戦闘で負けた所なんか見たことないから、最初は何の冗談かと思ったわ」
無言でクローブちゃんも頷く。
「その後、気が付いたらインドに行ってしまったのよ」
「え、何で? インド何で?」
「こっちが聞きたいわよ……」
全く話の繋がりが分からない。
……彼を倒したのは手足が伸びるインド人だったのだろうか?
「部屋の書置きには、俺より強い奴に会いに行くって書いてあった」
グローブちゃんのその言葉に、某インド人疑惑がより高まった。
「あのさ」
頭の中で、炎吹いてるインド人がワープしている所に、声をかけられる。
そちらを見てみると、何とも居心地悪そうな顔で赤崎が手を挙げていた。
「なんで私まで、ここに居る訳?」
至極、とても至極まっとうな質問であった。
なにせ彼女は正義側だ。こちらの内部事情なんて知った事ではないだろう。
だが、答えは至って簡単だ。
「ちょうど、会議を始めようとした時に、君が来たからさ!」
「帰ります」
全くブレの無い、綺麗なフォームで出口を目指す彼女を慌てて静止する。
「ごめん、冗談だから! ちゃんと理由があって残って貰ったから!」
なだめつつ、物で釣りつつ再び席に着いてもらう。ラッシーで静かになってくれるとは、なんとも扱いやすい娘である。




