インドから来た暴れん坊・其の弐
「いやぁ、やっぱり店主のカレーは美味しいなぁ」
「あ、あはは。ありがとうございます」
冷や汗をかきながら、義正さんの相手をする。
ご機嫌にカレーを頬張る二人に、青い顔の二人。
対照的な二人組が、カウンターを挟んで存在していた。
「……ん? どうかしたのか、店主。顔色が優れないようだが」
義正さんに指摘され、慌てて誤魔化す。
「いや、なんでもありませんよ? 至って平常運転です!」
焦りすぎて、変な返答をしてしまった。
「ふむ、そうか……失礼した」
義正さんはあまり気にしていないようだ。……横で、藍華ちゃんが訝しげな眼で見ているが。
「まぁ、何かあったら俺に言ってくれよ? 支部の全力を持って駆け付けてやるからさ」
そんな事したら、戦争になります。
なんて事は口が裂けても言えず、ありがとうございますと笑顔で答えておく。
「職権乱用だぞ、愚兄」
横から入る藍華ちゃんの突っ込みも加わり、彼らが居る間は笑いが絶えないで過ごせた。
「それじゃ、また来るよ」
和やかな時が三十分程流れ、二人は帰っていった。
その後ろ姿を見送った後、静かにドアを締めて仕込み中の看板を下げる。
「……第一回! 何とか穏便に視察を終わらせる為の緊急会議!」
カウンターの前で、ちょっと声を張り上げる。
会議には、いつも通りの無表情で「わーわー、ぱふぱふ」と言っているクローブちゃんと、何が何だか分からない、といった顔のフェンネルさんと赤崎さんである。
「ちょっと、何よこれ」
明らかに不機嫌な声でフェンネルさんがこちらを睨みつける。
「いや、なんか幹部の方がこちらに視察しにくるらしいじゃないですか」
「……なにそれ、初耳なんだけど」
どうやらフェンネルさんは知らなかったらしい。
「今日、首領に聞いた。来るのは……ウイキョウ」
「げ、あいつ帰ってくるのぉ……」
補足してくれたグローブちゃんの言葉に、フェンネルさんは露骨に顔をしかめた。




