表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

5

マンションから十分も歩かない場所に、小さな公園がある。

平日の夕方ということもあり、人影はまばらだった。滑り台の上では鳩が羽を休め、風に揺れる木々の音だけが静かに響いている。


その中で、一人の少年がしゃがみ込んでいた。

年は六歳くらいだろうか。


黒髪で、幼い顔立ちには似合わない鋭い目をしている。

何かをじっと見つめたまま動かない姿が気になり、俺は自然と足を向けていた。


少年の隣まで行き、視線を地面へ落とす。

そこには一匹のハムスターが倒れていた。


腹には鋭いもので裂かれたような傷があり、小さな身体を震わせながら苦しそうに呼吸を繰り返している。もう長くは持たないだろう。そんなことは一目で分かった。

俺は少年を見下ろした。


「お前がやったのか?」


少年は黙って首を横に振る。


「見つけただけ」

そう言うと、両手でそっとハムスターを抱き上げた。


「野生のハムスターをどうするつもりだ?」


少年は少し不思議そうな顔をして、俺を見上げる。


「野生のハムスターなんていないよ」


その言葉に、俺は思わず口を閉ざした。

確かに、その通りだ。誰かが飼っていたものが逃げたか、捨てられたか。そのどちらかだろう。


「地面に埋めるのか?まだ生きてるぞ」


「違うよ!」


少年は抱きかかえたハムスターを見つめながら、強い口調で言った。


「じいちゃんのとこに連れて行くの!」


そう言い残すと、少年は勢いよく駆け出した。

俺はその小さな背中を見送りながら眉をひそめる。

「じいちゃん…」

この近くに動物病院なんてものはない。

だとすれば…。


「……あいつの孫か?」


独り言を漏らし、俺は少年の後を追い始めた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ