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しかし、さっき玄関先で見た女の姿が頭から離れない。

黒く長い髪。

どこか影を宿した瞳。

顔が良くスタイルもいい女は、今まで何人も見てきたはずなのに、不思議とあの女の印象だけが残っていた。


俺は仕事柄、妻子は持たないと決めている。

殺し屋の子供など、幸せになれるはずがない。


なにより、俺は本気で人を愛したことがない。

今まで数多くの女と出会ってきたが、

この女と一生を共にしたいという気持ちになったことが一度もない。


それなのに、会って間もない女に惹かれている?

…違う。

俺はただ気になっているだけだ。


あの女は、なぜ古家のマンションに流れ着いたのか。

どんな過去を背負い、何から逃げてここへ来たのか。

そんなことを考えている自分に気づき、思わず苦笑する。


住人とは関わらない。

そう決めたのは俺自身だ。

なのに、俺の興味は少しずつ隣の部屋の女へ向かい始めていた。




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