九
学校に戻り、まずは職員室に向かった。任務については、成功したら、教師に成功したことだけを報告して詳細は報告書を提出、成功しなかった場合は全容を教師に報告をする必要があるらしい。今回は、成功しなかったので、任務の全容を岡先生に報告をする。ちょうど休憩時間だったようで、岡先生は職員室にいた。
「……というわけで、戻ってきました」
「そう。それは厄介ね。でも、もう少し頑張ってみて。難しいようなら、他の人たちに回します」
岡先生の言葉に、気の抜けた「はい」という返事が飛び交う。
「それから、千鶴さんと美愛さんの体は、立川家の人に治療をお願いしてみます」
「いとぴ先輩?」
「あんた、よくその呼び方できるわよね……」
「学生にあなたたちの体がかかっていることはさせません。立川家の人を呼びます。それまでは、保健室で休んでいてください」
保健室で休むという指示に、千鶴は「えーー」と不満を漏らす。
「時間経過で、肉体の老化以外の症状が出たり、肉体の老化が進んだりするかもしれないでしょう。そういった時、教室より、保健室の方が手早く対応できます。苦情は受け付けません。保健室で休んでください」
そういうわけで、美愛と千鶴は保健室で休むことになった。午前中は授業に出なかったが、午後の授業からは、体はすっかり元通りになり復帰した。渉は「おばあちゃんになった美愛、見たかったなー」と言って、美愛を怒らせていた。杏花は「災難でしたね」と、心配したように眉を寄せて声をかけていた。ちなみに、こちらの世界の学校全てかは分からないが、少なくともこの学校は学級担任制らしく、奈々世たちのクラスの全ての授業を岡先生が担当していた。
そして、放課後、あのあやかしを祓うために話し合いをしようということになった。岡先生が「頑張ってみて」としか言わなかったのは、一人前になった時に、自分たちで考えて行動できるよう、あえてそういう教育方針を学校で取っているらしい。上手くいかなかった時は、話し合いをすることがよくあるそうだ。
そのために、昨日の商店街へ行くことになった。どうやら、いわゆる、放課後買い食いをしたり遊んだりするための定番スポットらしい。話し合いも、そこで何かを一緒に食べながらすることがあるらしい。みんなで歩き、商店街が見えてきてところで、奈々世はあることに気がついた。
「あ、やば。お面ない」
その奈々世の呟きに、隣にいた千鶴は、
「制服着てるから大丈夫。ここの制服はヨウキョウビトの学校のだってみんな知ってるから、他人の空似だと思うよ」
と奈々世の耳に囁く。その言葉に「そっか」と安堵の声を漏らす。そうして奈々世と千鶴でひそひそと話しているうちに、商店街の手前まで着ていた。商店街にさしかかったところで、前を歩く四人に話しかけられ、商店街のどこで話し合いをするかという話題になった。相談しあった結果、餅屋で行うことになった。
餅屋の外の席に座り、机の上に小さめの七輪、餅が何個か乗ったお皿、取り皿に箸、そしてわらび餅が揃ったところで、
「それじゃー、あやかし対策会議を始めます」
と千鶴が会議の始まりを宣言した。「わー」と言いながら、にこやかに渉と杏花が拍手をする。二人は今回の件を任されてはいないが、対策を一緒に考えてくれることになった。
「えーまず、今回のあやかしについて、行ってみて分かったことをまとめます。まるいち、こっちに攻撃してくることはない。まるに、飛べるからなかなか触れられない。まるさん、辺りに撒かれた粘液は草や花だけじゃなく人間の肉体も枯らしてしまう。さて、どうすべきだと思いますか?」
「やっぱ短期決戦じゃない?自分たちの足元・周りの広範囲に粘液を撒かれる前に、祓う」
「それか、あやかしを誘導して、移動しながら祓うのを試みるとかでしょうか」
真っ先に口を開いたのは、任務に参加していない渉と杏花だった。
「好戦的じゃないから、誘導は上手くできるか分からないねー。試してみる価値はあると思うけど」
「そうですか」
「でも、杏花のは試してみてもいいんじゃない?渉のは無理よ。触れるのが難しいんだから」
「なら、郁くんに協力してもらえばいいんじゃない?郁くんが引きつけてるうちに、二人のどっちかが触れる。意識しなきゃいけない相手が増えるほど、意識は分散されるからね。二人で相手してる時よりは、隙はできやすくなると思うよ。杏花ちゃんのいう誘導もしやすくなると思うし」
「早見が触れた場合はいいけど、中峰が触れた時は俺が祓わなきゃいけない。俺が体力削るのは、最善手じゃない」
「体力ないからって言わないの?」
そうにこにこしている渉を、郁は厭わしそうに一瞥して、わらび餅をつまむ。
「ほんっと貧弱なんだから。使えないわねー」
「それじゃあ、どうしましょうか」
そう杏花が言うと、みんなが黙り込んでしまった。誰も話し出しそうな気配がないので、奈々世は先ほど気になったことを質問しようか悩む。今議論していることとは関係がないので迷ったが、沈黙が続いたので、思い切って聞いてみることにした。
「あの、ごめん、全然関係ないことかもしれないんだけど、聞いてもいい?」
「どうぞ」
奈々世を安心させてくれるかのように、杏花は微笑んだ。
「中峰さんが触れた場合は、門倉くんが祓わなきゃいけないっていうのは、どういうこと?」
「あ、説明してなかったね。さっき、あやかしは、攻撃して弱らせないと祓えないって話をしたの覚えてる?」
「うん」
「普通は、攻撃して弱らせる能力と、祓う能力に分かれてるの。ヨウキョウビトは、あやかしを攻撃して弱らせる人とあやかしを祓う人が組んで、二人組で活動してるんだ。わたしは相方がいないから、なかみあと郁がペアだよー。なかみあが攻撃する人で、郁が祓う人だね」
「なるほど。みんなが両方できるってわけじゃないんだ」
「両方を包含した能力の方も、中にはいますよ。古賀家と織笠家の人ですね」
「そんな少ないんだ。あ、古賀ってことは、じゃあ、古賀くんってすごい人?」
「うん、すごい人。ていうか、渉でいいよー」
「ヨウキョウビトは、同じ家の人が多いので、基本的に下の名前で呼び合うんです。私のことも、杏花で大丈夫ですよ」
「わたしも門倉も、下の名前でいいわ」
「分かった」
「あ!そういえば、奈々世に色々聞こうとして、聞きそびれてたんだった!えーっと、好きなことは何?」
「美愛ちゃん、そういうのは後でゆっくり聞いた方がいいんじゃあないですか?」
「そっか、脱線しちゃったわ」
「でも、せっかく聞いてくれたし、それだけ今答えるよ。好きなことはダンス」
「へぇー!ダンスが好きなのね」
「奈々世、せっかくだから踊ってあげたら?」
「え、でも脱線しないって話になったんじゃ」
「いいよいーよ、ほら」
千鶴に促されて、奈々世は席を立ち、今の気分に合わせて、踊りたいように、少し踊ってみせる。
「わぁ、すごいです!」
奈々世が踊り終えると、杏花は、にこにこして拍手をする。それと打って変わって、美愛は「前衛的ね」と、どうにかいい言葉を絞り出すように反応した。変わらず、渉はにこやか、郁は無表情だったが、どこか反応に困っているようにも見えた。
「やっぱこの世界ではウケないんだね」
「見たことない感じだから新鮮だったけどね。こっちの世界で皆んなが美しいと感じる踊りとは、違うかな」
渉は、変わらず笑みを湛えたまま、冷静に言葉を紡ぐ。その渉の言葉から少しの沈黙を置いて、
「あーーーー!!!」
と、突然千鶴が叫んだ。
「何、急に大きな声出して……」
美愛は千鶴を両目を細めて見た。
「それだよ、それ!これは使えるよー!」
「いつもなんの説明もなく、一人で話し始めるのやめてくれる?」
テンションの高い千鶴に、美愛は、依然として若干呆れるような表情を浮かべる。
「奈々世が踊って、あやかしをひきつけるの!!」
「え?」
「奈々世のダンスは見たことのない動きで、きっと困惑するはず。それで、隙を作るの」
「あやかしってそんなの見分けられるの?」
「ヨウキョウビトが残してきた記録によると、鑑識眼は、多少はあると思われますよ。でも、私は反対です。ヨウキョウビトではない奈々世さんを巻き込むのは、ヨウキョウビトとしてどうかと思います。何より、祓う任務には危険も伴います」
「あくまで引きつけ役になってもらうだけだよ。攻撃はしてこないし、そんな近づきすぎない範囲でやればいい。もし今日のわたしたちみたいになっても、立川家の人がどうにかしてくれるよ?」
「それはそうですが、あやかしから力を分けてもらっている私たちとでは、老化に差があるかもしれません。そういう可能性を承知した上で、一般人を巻き込むのは良くないと思います」
「近づきすぎない範囲の場所で、少し引きつけてもらうだけだから、大丈夫だよ。奈々世の身がやばいと思ったら、すぐやめさせたり退散したりするし」
「そう上手くいくかは分からないけど、試してみる価値はあるんじゃない。今日とやり方を変えないよりはいい」
「郁さんまで……!」
「じゃあ、多数決にしたら?」
そうにこやかに渉が提案し、少し話し合われた後、結局多数決をすることになった。
「じゃー、まず、わたしの作戦に賛成の人」
と手を挙げている千鶴の他に、手を挙げたのは、郁と渉だった。
「おっけー。次、反対の人」
次に、手を挙げたのは、先ほど手を挙げていなかった美愛と杏花だ。
「……奈々世は?」
「え?」
「本人の意見が一番大事でしょ。どっち」
自分以外の人たちの中で話が進んでいて、しかも自分はヨウキョウビトではなかったから、意見を聞かれる対象に入っていると奈々世は思っていなかった。ただ決定に従って、そのようにやればいいとしか考えていなかったので、自分がどう思うのか考える。千鶴は、どちらでもいいという言葉は許さないかのように、強くどちらかと聞いたからだ。少し沈黙した後、
「自分はやってみてもいいと思う」
と、考えを表明した。やってみてもいいが、積極的にやりたいというわけではない、簡潔に言ってしまえばどちらでもいいというのが奈々世の心情だった。奈々世が主体性のないことを考えれば、当然だろう。しかし、今日あまりにも祓えない様子を見ていたため、明日も同じことをしてもあまり意味がなさそうと考えたこと、千鶴が強く白黒ついた選択をするように言ったことから、千鶴の作戦に賛成したのだ。
「ってことは、賛成が四人、反対が二人で、千鶴ちゃんの案が可決だね」
「決まったのなら、文句は言いませんが……」
複雑そうにする杏花に、渉が耳打ちをして何かを言う。すると、杏花は口に手を当て、少し考え込むような様子を見せた。そして、「そうですね」と何か納得したように目を瞑り、唇の線に綺麗な弧を描いた。
「ごめんなさい、私が至らなかったです。皆さんのことを信頼して、任務の成功を願ってますね」
「渉、杏花に何言ったのよ」
「助言しただけだよー」
「うさんくさいのよ、その顔!!」
美愛は、相変わらず飄々とした渉の頬をつねる。
「じゃあー、あやかしに見えそうぷらす近づきすぎない場所で奈々世が踊って、奈々世のダンスにあやかしが困惑した隙を狙って、わたしかなかみあが攻撃する作戦でいってみよー。他に何かある?」
千鶴は、作戦の概要を改めてまとめた後、他に何か気になることなどはないか、みんなに尋ねる。そこで、郁がわらび餅をつまみながら美愛を見て、声を上げた。
「中峰、ひよってただろ」
「……しょっ、しょうがないじゃない。恐いんだもの……」
渉の頬から手を離し、急にしおらしくなる美愛。美愛の言葉に、渉は少し苦笑して、「あー」と小さく呟きをこぼす。
飲み物を飲みながら、喋っていた美愛を見ていた奈々世は、美愛と目が合う。
「大したことじゃないのよ。ただ、昔……あやかしに拐われて……喰べられそうになったことがあるだけ」
美愛は、奈々世に弁解するように首を振る。しかし、瞳には陰りが映るばかりで、顔色も薄っすら青白く、話された内容も相まって、美愛にとって大したことのないこととは思えなかった。
「大したことだろ。任務全般に支障が出るくらいトラウマなんだから」
「……うるさい」
美愛は不貞腐れたように、みんなの耳に届くか届かないかくらいの小声でボソッと言った。
「まぁ、なかみあが躊躇しちゃうのは仕方ないけど、相対は2回目だし攻撃的じゃないって分かったから、また明日頑張ってみよ。わたしもいるし」
「ありがとう、千鶴」
「これで明日のことは決まったみたいだね」
「じゃあ、そろそろお餅を本格的に食べ始めましょうか」
「焼こ焼こー。わらび餅も、早くしないとなくなっちゃいそうだよー」
「嘘!ちょっと、門倉!あんた何一人でこんな食べてるのよ!」
「誰も食べないから」
「あんたねぇ!」
こうして、会議が終わった後は、みんなで餅を食べながら話をした。最初こそ、編入生の奈々世は、コミュニティの中に新しく入った人への好奇心からか、質問をされたり話題の中心になったりもしたが、段々と他愛もない話になっていって、知らない同級生や先輩などの話題も出てきて、話半分になんとなく耳を傾けた。
そのうち、夕暮れが深まり、視界が夕日によって薄っすらオレンジ色のフィルターをまとい始めたので、そこで解散となった。千鶴と奈々世、そして郁は家へ帰るが、学校のすぐそばにあるらしい寮に暮らす、美愛、杏花、渉は、寮に戻るとのことだった。
千鶴と二人きりになり、朝と同じ道を辿る。
「なんか、あやかしを祓うのって意外と大変なんだね。分析?したり作戦立てたり」
「ケースバイケースだけど、ヨウキョウビトはそれでお給料もらうわけだし、ある程度は難しいものだよ。でも、ま、奈々世は、最初にすばりーの見ちゃったし、簡単そうなイメージが抜けないのも無理ないですなー」
「やっぱり、ヨウキョウビトより、ツカサビトの方が簡単に祓えるの?」
「そうだね。ヨウキョウビトは、願うことで祓うなんて神様みたいなことはできないから」
「なら、ツカサビトが祓った方がいいんじゃないの?早く済むし」
奈々世は、初めに昴が祓うところを見てしまったので、どうしても今日の千鶴たちは、効率が悪いと感じてしまった。どう考えてもツカサビトが祓った方が早そうなのに、祓う仕事はヨウキョウビトがしている。それが、奈々世には不思議だった。
「それは確かにそうなんだけど、あやかしも、人間と同じで色々いるから、ツカサビトが何も考えずバンバン祓っていくより、知識のあるヨウキョウビトが祓う以外の選択肢も持ちながら活動する方がいいと思うなー」
「なるほど」
「でも、民衆は奈々世が言った考えの人が多いかもねー。今は、ツカサビトはみんなの願い事叶えるので手いっぱいだから、ヨウキョウビトがこれまで通りやってるけど、ツカサビトに全部一任すべきって人も結構いると思うよ」
「そうなんだ?」
そう言われて思い返してみると、『ツカサビトが現れたことで、ヨウキョウビトの肩身が狭くなっているのは事実だろうからな。ヨウキョウビトなど要らないと言う者も目にする』と薺も前に言っていたかもしれないと、奈々世の記憶がぼんやり蘇った。
「ででん!」
「うわ、何急に……」
「人を殺したり重症にしたり、食べ物を奪ったり家を壊したりすることもある未知の生物と人間が一緒に暮らしています。人間たちにとってより安全なのは、共存か排除かって言ったら、どちらでしょう?」
「え、排除?……でも、排除してる途中に、逆にこっちの方がたくさん殺されるなら、共存……?」
「おぉ、そうきたか。なら、質問変えようかな。襲われる可能性が今後ゼロになるのは?」
「排除?」
「そう。自分たちの安全が100%保証されるようになるのは、排除。だから、排除したいって人多いと思うなー。あやかしがいて、人間にとっていいことって全然ないし」
「そうなんだ」
(全然ないのか。食べることもできなそうだし、環境とかにいい影響与えることもなさそうな感じは、確かにするけど……)
「あ、そうだ。奈々世、さっきの、学校の人の前で絶対言っちゃ駄目だからね」
「え、何?」
「ツカサビトが祓えばいいとか」
「あー……ツカサビト嫌ってるんだよね」
「そう。ツカサビトのつの字も出さない方がいいよー」
「あれ、でも千鶴は?」
千鶴はヨウキョウビトだ。加えて、ヨウキョウビトの学校に通い、学友とも上手くやっている。しかし、千鶴は、昴と親しげにしていたり、さくらに対して恩情を感じていたりするような素振りをしていた。ヨウキョウビトはツカサビトが嫌いとは言っても、奈々世には、千鶴がそんなようにはあまり見えなかった。
「わたしは、学校に通ってる人たちみたいに、先祖や家族の人たちがヨウキョウビトとしてずっと昔から活動してるわけじゃないから。ツカサビトとかヨウキョウビトとか関係なく、みんな好きだよ」
「みんな好き……」
「人間面白いじゃん?」
「同意を求められても……」
「じゃー、面白くない?」
「面白いとも面白くないとも思ったことない」
「興味ない?人に」
「そんなことは……」
奈々世は答えに詰まりながら、最終的に
「あるかもしれないし、ないかもしれない……?」
と答えた。
「じゃー、まずは興味持ってもらうところから始めようかな。距離遠くにならないようにしたいし。なんか奈々世さ、どうでも良さそうじゃん。世界も、他人も、自分も」
「そう見える?」
奈々世は、自分がそんなふうに感じているなんて思ったことがなかったので、千鶴の言葉に少し驚く。しかし、千鶴の観察眼と指摘は鋭い。奈々世は、無自覚に、色んなことに興味がない。周りに柔軟で、なんとなく迎合して流されるし、事なかれ主義だ。そのことを、千鶴は、数日過ごす中で感じ取ったらしい。
「見えるよ。帰りたいとも言わない、向こうの世界の人を恋しそうにもしない、異世界に来たのに顔色一つ変わらない、人に言われるがまま流れで行動してる__人間だしある程度の好奇心でヨウキョウビトのこととかは聞いてくれるけど、他はどうでも良さそう。今日も、自分に質問されたら答えてたけど、なかみあたちには興味がなさそうだったし。興味なさそうで、ふらふら消えそう」
千鶴は、そこにいいも悪いも感じていないかようにただ淡々と、推察したことを並び立てていく。
「だから、近くで見張って、千鶴って面白いって思わせてみせるよ」
千鶴は奈々世の目を見ることはなかったが、前を向いて小さく微笑みを浮かべた。
「本当にお人好しだね」
「だから、わたしそういうタイプじゃないって」
またいつもの無表情に戻った千鶴は、本当に自分がお人好しではないと強く主張するような口調で、そう言う。
「わたしのは、うつったか、3割真似事だよ」
「3割……」
「7割は、他人を想えるってこと」




