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暴走

ソル

「反応速度や機体制御は大したものだ。だが、お前はそれに頼るばかりで攻撃が単調になってしまっている」


魔導障壁を前腕に纏いながらソルの魔導人形は零の型で構えていた。

思いもよらない言葉を投げ掛けられたオスカーは攻撃の型を解き、ソルに向き合った。


「動きが単調だと…?」


ソル

「基本教練の教官を兼任している手前…お前が経験の浅い訓練生の動きに似ていると分かるのでな」


「俺が…素人同然の動きだと言うのか!?」


ソル

「その通りだ……お前は魔導騎士団の小隊長を務める者が何故、熟練した傭兵や兵士が選ばれるのか分かるか?」


「……」


ソル

「隊を預かる小隊長は戦いの中で常に変化する戦況を読んで指揮をする。だからこそ経験が豊富な者が隊長として選ばれるのだ。戦闘も同じ事…実戦では相手は訓練通りには動いてはくれない。相手の動きを常に先読みして動く事が重要だ」


「…経験…だと言うのか」


ソル

「無意識に基本の型通りに動くお前は、絶対的に戦闘経験が足りない…その動きでは俺には通用せん。いかに強力な機体に乗っていても操縦者が未熟では性能は発揮出来きんからな」


痛烈な言葉にオスカーの魔導人形は両膝を地面に着けて項垂れる。

その様子を見たソルは零の型を解いて歩み寄った。


「負けか…やはり…俺は…死ぬのか?」


ソル

「安心しろ…罪は償ってもらうが命までは取りはしない。さあ…約束通りに博士は返してもらうぞ」


両膝を着いたオスカーの目の前で手を伸ばすソルだったが、恐ろしいまでの殺気を感じ後方へ飛び退いた。


「嘘をつけ!どうせ殺す気だろうが!…俺は…俺は…死にたくない!俺は…お前を倒して運命を変えるんだぁーっ!!!」


突然、黒炎に包まれるオスカーの魔導人形…その機体は鈍い音と共に変化する

それは人が悪魔と呼ぶ異形の形へと変化していった。


ソル

「魔導人形の装甲が変化していく…こんな事が」


「力だ!俺が欲しいのは…全テを…たオス…絶対的ナ…ち…カラ」


変化し終えると、赤く光る両目を開けてソルの魔導人形を凝視する。体の間接部分から常に蒸気を発している姿は、見るものに威圧感を与えていた。


「イイぞ…機体かラ力が溢れテくる…アははハハ…ギ…ギモヂイイ!…ゴンナ気分ハ初めてダ!」


胸の中心にある操縦席を開いて博士を取り出したオスカーは、ソルの魔導人形に投げつけた。

ソルは博士を傷つけないように受け止める…後方で待機していた魔導人形達は、博士の無事を確認すると両腕のブレードを出してオスカーの魔導人形に襲いかかった。


「ソル隊長!我々も戦います!博士を安全な所へ!」


ソル

「…待て!距離を取って様子を見るんだ…奴は」


制止も聞かず2体の魔導人形はオスカーに斬りかかる。だが…ブレードがオスカーに届く前に2体の操縦席に赤く光る刃が貫いた。


「…ランツェーフランメ…ツヴァイ」


操縦席を貫かれた2体の魔導人形は、オスカーの魔導人形に力なく倒れこむ…オスカーは2体の魔導人形を回転蹴りで弾き飛ばすと、操縦席に博士を回収し終わったソルの魔導人形に襲いかかった。

力任せに放った右回し蹴りを、ソルは魔導障壁を纏った腕で防御するが…衝撃を受けきれずに地面に薙ぎ倒されてしまう。


追撃の踏みつけを転がりながら避けて立ち上がったが、先読みされたように間合いを詰められて、強烈な前蹴りをまともに受けしまった。


ソル

「ぐっ…先程とは桁違いの速度と破壊力だ。防御の意味がない…魔導障壁ごと弾き飛ばされてしまう。…っ!?」


「…喰らヱ……ロートグランツ!」


両手を広げたオスカーの魔導人形の中心から巨大な赤い光が放たれた。

力を溜める事なく一瞬で放たれた光を避ける事は出来ず…また、魔導障壁を十分に張る事も出来なかったソルは直撃に等しい損害を与えられていた。


「…なんという威力だ」


舌打ちをしながら呟いたソルの魔導人形にオスカーは襲いかかる。

戦いはソルにとって絶望的なものになっていった。












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