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戦闘

格納庫の扉を開けたソルの眼前には、破壊された魔導人形達が無残に転がっていた。

格納庫の奥側の壁は外の景色が見える程に半壊され、辺り一面は瓦礫の山と化していた。


ソル

「…これは!?…っ!」


格納庫の中心には、ソルが見た事も無い漆黒の魔導人形が、こちらを見ながら立っていた。

魔導人形はソルに気付くと共振会話を振動会話に切り替えて話してきた。


「……ソル・スティングだな?」


ソル

「……振動会話!?」


「質問に答えろ!…テメェが魔導騎士団第1小隊隊長のソル・スティングかって聞いてンだよ!」


ソル

「…そうだ。…貴様は誰だ?…何故このような事をする。お前も魔導騎士なのか?」


「俺が何者かはテメェで勝手に想像しろ!」


魔導人形は右手をソルに見せる…手の中にはアウゼン博士が握られていた。


ソル

「…っ!!アーシャ!……貴様」


「安心しろ…まだ生きている。…少し強く握りしめたら両腕が折れちまってな…痛みで気絶しているだけだ。死んだら利用価値が無くなるからな」


ソル

「…人質と言う事か…一体何が望みだ」


「反応多数……今から話してやるよ」


格納庫の扉から、異常警報で駆けつけた衛兵及びサイフォンを先頭に魔導騎士達が入ってきた。

半壊した壁の向こうからは他の格納庫から出撃した魔導人形達が第3格納庫の様子を外から伺っている。

オスカーは右手に握ったアウゼン博士を魔導人形や魔導騎士達に見せながら大声で叫んだ。


「アウゼンはまだ生きている!死なせたくないなら俺の言うことを聞くんだな…俺の望みは1つ…そこにいるソル・スティングとの勝負だ!…断れば博士は殺す!」


ソル

「…なんだと!?」


格納庫の外にいた魔導人形達が両腕のブレードを出しながら格納庫へと突入しようとする。

オスカーは手に持った博士を魔導人形達に見せつけながら話す。


「オイオイ…妙な真似はよせ。握り潰すのは一瞬だ。さぁ答えろ!ソル・スティング!」


暫し沈黙した後にソルは答えた。


ソル

「…いいだろう。俺が勝ったら博士は返してもらうぞ」


「そうこなくちゃな……格納庫にあった魔導人形を壊さずに1機だけ残してやった。それに乗れ…量産型だが文句は言うなよ」


オスカーの魔導人形が指を差した方向には、量産型魔導人形・セイバーがキズ1つ無く立っていた。

ソルは魔導人形に乗り込み起動させる。


「…表へ出ろ!狭い部屋の中で戦っても意味がない。お前は皆が見ている前で殺してやる」


オスカーは右手に持ったアウゼン博士を自分の操縦席に入れると、取り囲んでいた魔導人形達を下がらせ、格納庫の壁を壊し外に出ていく。

ソルもオスカーの魔導人形に続いて外に出ると、零の型で構えた。


「貴様を倒せば…この機体は俺の物だ!いくぞ!ソル・スティング!」


前傾姿勢で構えたオスカーは獣のようにソルの魔導人形に襲いかかった。

防御の型で受け止めるのが困難だと判断したソルは左側に避けた……

オスカーは避ける事を予め知っていたかのように左側に避けたソルに追撃をする。


「ハハハハ!見えるぞ…お前の動きがなぁ!」


オスカーは右拳を放ちソルを追撃する。

ソルは左手で右拳を受けとめたが、力で押されてしまう…オスカーの魔導人形の力はソルの乗る魔導人形の力を圧倒的に上回っていた。

力任せに右拳を押し込むオスカーに、両手で防御するソルだったが両手を使っても押し返す事は出来なかった。


ソル

「…ぐっ!…この力は」


「ハハハハ!どうした!?その程度かよ?」


オスカーの魔導人形が更に右手に力を入れる…ソルの魔導人形の両足は地面にめり込み始めていた。

すかさずオスカーの魔導人形の腹部に前蹴りを放ち、反動を利用して危機を脱した。


ソル

「離れなければ腕ごと潰されていた。奴の魔導人形にはオリジナルの魔硝石が搭載されているようだな……」


「そらそらぁ!離れたからって安心してんじゃねえぞぉ!ハーッハハハハ」


ソルは連撃を繰り出すオスカーに防戦一方になる…その様子を見たカークは、サイフォンに心配そうに話した。


カーク

「ま…まずいッスよ!サイフォン隊長!このままじゃあ、ソル隊長がやられちまうッス!」


サイフォン

「……いや。そうはならねぇよ…お前、見てて気付かないのか?」


カーク

「へ?……なにをッスか?」


少し離れた所で戦いを見ていたアリーシャは、サイフォンの言葉に納得したように呟いた。


アリーシャ

「…たしかに…これでは奴に勝ち目はないな」


カーク

「…?」


サイフォン

「魔導人形の性能は、さっきの力比べを見た感じ奴の方が数段上だろうな。だが、性能が勝ってるはずの奴の攻撃が、まともに当たらないのは何故だと思う?」


オスカーは力任せに大振りな攻撃を繰り返していた。 ソルは1つ1つの攻撃を丁寧に捌いていく…また、当たったとしても、しっかりと防御をして直撃は避けていた。


サイフォン

「単純に操縦者の差だな。奴の攻撃は多少アレンジしてはいるが魔導人形の教本通りの動きだ。あれじゃあ、知ってる奴からすれば当たらねぇよ。

…ソルは魔導人形養成所で教官もしているからな」


アリーシャ

「さらに補足すると、攻撃の振りが大きすぎる…あれでは何処を狙っているか教えているようなものだ。ソル隊長には奴の攻撃がハッキリと見えているだろう…しかし、腑に落ちない点がある。先程から反撃の機会があるのに何故か攻撃をしない事だ」


サイフォン

「…博士だ。奴の操縦席に捕らえられたままだからな」


連続攻撃を捌かれていたオスカーは苛立ちながらソルに叫んだ。


「テメェーっ!なんで攻撃してこねぇ!ヤル気あんのかよ」


ソル

「…勝負あった事が、まだ分からないのか?…もう無駄だ。博士を解放しろ…命までは取りたくない」


「んだとコラーっ!」


更に力任せに攻撃をするオスカー…だが、その攻撃は空振りするだけであった。

未来を見ても自分が無様に空振りする事しか見えない事に更に激昂する。


「…何故だ?奴の動きは見えるんだぞ!何故当たらない!」


ソル

「その動きでは俺は捉えられん…」


「うるせェーー!こうなったら跡形も無く消し飛ばしてやる!…ランツェーフランメ!」


右手の掌をソルに向けるオスカー。

魔力が掌に集まると光の束になってソルに襲いかかった。

ソルは両腕の前腕に魔導障壁を張るとオスカーの放った光を弾いていく。


「バ…バカな!ランツェーフランメを弾きやがった…あいつが乗っているのは量産型だぞ!何故弾ける!?」


ソル

「魔導障壁を一点に集中すれば、その障壁はより強固になる。勿論、防ぐ面積が小さくなる分、より正確な操作は必要になるがな」


「ぐっ!…俺が…操縦で負けているだと!くそったれがーー!」


サイフォン

「…完全に勝負あったな。あとは博士をどう助けるかだが」


2体の魔導人形の戦いを見てサイフォンはニヤリと笑った。









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