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思い

「…新型の起動実験中に原因不明の結界が発生し、魔導人形の機能が停止…幸いにも魔導人形に損傷は無かったものの、搭乗員の魔導騎士に記憶障害の疑いあり。尚、結界の原因は魔導人形の動力源に魔硝石の原石を使用したものによるものかは不明」


少し離れた椅子に座ったアウゼン博士に、憂鬱な調子で話す団長。白衣に手を突っ込みながら博士は答えた。


アウゼン

「ま……これがアイツら(魔導院)に知られたら、陛下に何て報告されるのやらってヤツ? …団長さんも理解してるとは思うけど、この件はウチラで処理しないとね」


「十分に理解していますよ…博士 。処理に関しては問題ありません。それよりも、このような事が起こった以上、原石を使用出来なくなった事に私は落胆しています」


博士は椅子から立ちあがり、団長が座る椅子へと歩いていく。


アウゼン

「原石が使用出来なくなった? ん~それは無いんじゃない? 早い話が安全であればいいんでしょ? チョッチ実験をすれば何か分かるかもしれないし」


団長は博士の顔を見ながら答える。


「…何が起こるかわからない実験に魔導騎士を犠牲に? 冗談じゃない!貴女はいつもそうやって…」


博士は団長の話を遮る。


アウゼン

「団長さん…アタシが報告の為だけに、わざわざココ来たわけじゃないのは分かっているでしょ?」


「はて?…私には分かりかねますが」


団長は腕を組みながら博士の問いに答える。その様子を見て博士は苛ついていた。


アウゼン

「えーと…まさか人道的な理由で反対とか言わないでよね?

元サーキュラー部隊統括責任者のハル・ブレッドさん」


団長は、その言葉を聞くと眉間にシワを寄せて博士を睨みつける。


「…これはまた…懐かしい名前を…私の記録は破棄されたハズですが…」


アウゼン

「 サーキュラーの事は魔導院にいた頃に知ったんだけどね。魔導騎士団の団長に任命されたのが、元サーキュラーの人だってのは驚いたよ。 ま…団長さんも任務に嫌気がさして、魔導騎士団に転属したって聞いてるけどさ」


「…………」


アウゼン

「この国の暗部と言えるサーキュラーの任務…ハーフエルフの魔硝石が目的とはいえ、強制的に人間とエルフを交配させて、望まず産まれたダークエルフ達を奴隷として各国に売りさばいてるんじゃ…嫌気もさすってもんか」


団長は博士を鋭く睨みつける…その眼差しは先程までとは違い、殺意に満ちていた。


アウゼン

「おぉ…怖っ! そんな目で睨まないでよね。これでもサーキュラーの任務を理解しているんだからさ」


黙って聞いている団長に続けて博士は話した。


アウゼン

「この国が高い水準で皆が生活出来るのは、そのダークエルフ達を売りさばいた利益だって事なんだよね。実際、魔導人形の生産だってサーキュラーの

利益無しでは考えられないし」


目を閉じて頷きながら博士は話しを続ける。

団長は痺れを切らし博士に問いかけた。


「博士…私に何をさせたいのです?」


アウゼン

「魔導騎士じゃないと実験しても意味が無いのは分かるでしょ? でも魔導騎士を使うとなると問題になる…じゃあ魔導騎士になる前の人を使えばいいんじゃない?」


「…適正検査の時点で実験に使う人間を引き抜くと?」


博士は団長の机の前に椅子を置いて座る。


アウゼン

「そーゆー事。それなら正式に魔導騎士になったわけじゃないし、適正検査を受けた彼らの書類は…団長さんが手を加えれば…ね?」


片目を閉じて合図を送った博士に、団長は思いっきり机を叩き怒号を飛ばした。


「貴様…人の命を何だと思っている!」


アウゼン

「そーゆー事を言ってる場合じゃないと思うけど?偽善的な言葉に酔いたいのは分かるけどさ…数人の犠牲で皆が助かるのなら、選ぶのはドッチなワケ?」


「………」


アウゼン

「決まりだね。…用は済んだしアタシは帰るよ。あ、最低でも3人は用意してね♪ ヨロシク!」


相変わらず白衣を引きずりながら団長室を出ていく博士…団長は博士の後ろ姿を見送りながら目を閉じた。


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