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運命は変えるもの  作者: ひろぽんすけ
旅立つ者
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もう1人の悪魔

エイト

「あの幻覚は魔法で出来るものなのか?」

死者は先ほどの戦闘以降現れていない。

馬車の周りに死者達が突然現れたが、魔法で出来るものかどうかローズに聞いてみたかった。


ローズ

「可能ですが…魔法陣も無い状態では無理だと思います。術者も最低で3人位はいないと…魔力が足りないと思います。」


下界の魔法では不可能ではないが、それなりの準備が必要なわけか……その魔法陣とやらがあったらローズは気づくはずだし。

悪魔が使う魔法は、下界の魔法とは根本的に何かが違うかもしれないな。


ローズ

「やはり…エイトさんが言われた悪魔ですか?」


エイト

「だろうな……下界の魔法では難しくとも悪魔なら造作も無い事だろう。…死んだ俺を生き返らせるくらいだ」


だが…1つ気になるのは死者達は、俺とは違い不完全な状態で生き返っていることだ。

何故そんな事をするのか?

自分の手下が欲しいのなら、より完全な状態で生き返らせるはずだと思うのだが…


アレス

「……ん?村だ」


死者に襲われた地点から、かなり移動したが森の出口についた。

出口の先には目的地であるモリス村…らしき廃村が広がっていた。

村全体に紫色の霧が立ち込めていて薄気味悪い。荒れ果てた建物には苔やら雑草が生えており(人間)は住めそうにない。


アレス

「……奴らがいる」


村は無人ではなく死者がうろついていた。

俺達に気づいたのか、ゆっくりと馬車の方に近づいてくる。

ボウガンを構えた俺は、ある事に気づいた。


エイト

「こいつは…街の兵士だ」


見慣れた服だ…恐らくはギルダスの部下ではないだろうか。先ほどの死者よりも服が汚れていない……あくまで服の話だが。

数は10人くらいか…ギルダスはいないようだ


先程と同じように戦い、瞬く間に死者を葬った。元兵士と言えど死者になっては関係ないようだ。相変わらずの緩慢な動きで、ものの数ではない。


ローズ

「これで全部ですね。ギルダス様はいませんが…どこに…」



話の途中で衝撃波が俺達を襲った。

荷台にいた俺は後方に吹き飛ばされ地面に叩きつけられる。アレスとローズも跳ね飛ばされた。


エイト

「な……なんだ!?いまのは…馬車は何ともない…俺達だけ吹き飛ばされたのか」


皆の無事を確認しようとした矢先、目の前の空間が黒く歪み…黒い髪に銀色の軽装鎧を着た女が現れた。


エイト

「モ…モニカか?……いや違うな」


金色の瞳の冷たい目をしているのは同じだが…雰囲気が違う。



「モニカだと?誰と間違えている?………そうか。お前が(アイツ)の今度の玩具と言うわけか」


「それにしても魅力的な魂の色をしているな。……どうだ?あんな奴より私に仕えてみないか?…アイツと違って永遠の命をやろう」

女は倒れた俺に向かって歩いてくる。


エイト

「…お断りだ。どうせ死者にするつもりだろ?あんな下手物にされてまで永遠の命を貰いたいとは思わないんでね」

素早くボウガンを構えて女の眉間に発射したが…眉間に届く前に空中で止まりコナゴナに砕ける。



ローズ

「エイトさん!」

女は向かってきたローズに右手を伸ばし手のひらを上にする。するとローズの身体は空中に浮き始めた。



「ダークエルフの娘…お前には興味がない」



ローズ

「そ…そんな。詠唱も無しに」



「…詠唱が無いだと?下界の者が使う魔法とやらの事か?あんな下等な存在の力を利用しなければ発動出来ない力と一緒にするとは不愉快だ」

女は伸ばした右手の指をゆっくりと折り曲げる…するとローズの身体は捻れ始めた。



「フフ…貴様の身体がどこまで耐えられるか見ものだな。ゆっくりと苦痛を楽しめ」



すかさずアレスは女に斬りかかるが、女は左手で大剣を受け止めた。

アレスは大剣を押し込んでいるが剣は微動だにしない。


「ほう…この力は人間のそれではないな。お前も面白い魂の色をしている。……この色は前に見たことがあるな。……なるほど、竜戦士か。もう現れる者はいないと思っていたが、こんな所で会えるとはな」


アレスに続き、俺もクロムダイト鋼の剣を抜いて斬りかかるが、女は大剣ごとアレスを振り回し俺に叩きつけてきた。

2人は後方に吹き飛ばされ、無様に地面に転がる。


「下界の英雄達の生まれ変わりか…少し試してみるのも一興かもしれん」

女は右手を下ろし、ローズを地面に降ろした。ローズは気を失っているようだ。



「私はこの娘を今から殺す。いやなら止めてみろ……お前達が私を止めないかぎり、この娘に待つのは死のみだ。もっとも死者として使役してやるがな…フフ」



(ふざけやがって…。おい…この言葉(竜言語)ならアイツも分からないだろう。今から俺がアイツの両手を封じる。その隙に大剣をブチかましてやれ)

(……わかった。しくじるなよ)

(俺は正面からだ。お前は俺の攻撃の後で回り込んで後ろから斬れ)



エイト

「いくぞ!」



剣を構えて、体を低く沈めながら突っ込む。剣を下から上に斬り上げるが、女は右足を後ろに引き俺の右側に逃げる。

すかさず上に振り上げた剣先を切り返し、逃げた右側へ薙払う。

女は右手で剣を押さえた。…まず1つ!


次は右回し蹴りで側頭部を狙う。

女は残った左手で防いだ。…これで両手を封じた。

アレスは素早く回り込み、俺が蹴りを放った時には女の後方から剣を振り下ろしていた。




……ガキッ!!!




大剣は頭部に当たらず女の左肩の軽装鎧に当たった。

人間を吹き飛ばす程の大剣の打ち込みを受けても鎧は無傷…女は薄く笑い、軽い掌打を俺の身体に当ててきた。

まるで岩を叩きつけられたような衝撃を腹部に受けてその場に崩れ落ちた。胃液が出そうな感覚…鎧が意味をなしていない。


アレスは女の身体に渾身の突きを繰り出すが、鎧には通用せず剣は切っ先が欠けてしまった。

女が右手を振ると衝撃波がアレスを襲い、身体を切り刻んだ。


アレス

「くぅ……!!!…ちくしょう」


エイト

「……まいったな。勝てねぇ…か」



「どうした?お前達はアイツが選定した英雄達では無かったのか?まだ始まったばかりだ。…早くかかってこい」




……想像以上の化け物だ。天界の者と下界の者ではこんなに差があるのか。こいつの力でさえ下界には影響が無いだと?


……悪い冗談だ


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