セラ
……あれ?…ここは…どこ?
……なに…体に…鎖?
……頭が……重い……
「お目覚めかね?お姫様……」
……その声…聞いた事がある。
……なんだっけ?…すごく嫌な感じ
セラは巨大な魔法陣の中心に鎖で縛られていた。ここは建物の室内、周りは薄暗く魔法陣が赤くボンヤリと淡い光を放っている。
魔法陣の外側には、術者と思われるフードを被った者達が座りこみセラを見張っている。
「自己紹介がまだだったね。私はハウンドだ。以前は賞金稼ぎの部隊長をしていた。…今はベルマー王国の騎士をさせて貰っているよ。君のおかげでね」
セラ
「その目の切り傷…思い出した!アンタはエイトを殺した男だ!」
魔法陣から力ずくで抜け出そうとするが、魔法の力で縛られている為に抜け出せない。
もがくたびに魔法陣は光輝き、鎖が締め付けてくる。
ハウンド
「おやおや…お友達のエイト君は君が殺したのではないかね?忘れてしまったとは」
セラ
「……わたしが…殺した?」
ハウンド
「それだけではないよ?君の父上…いや育ての親を殺したのを、覚えていないのかね?」
セラ
「お父様……を?まさか……そんな事あるわけない!」
ハウンドは、ゆっくりとセラに近づいてきた。そして仰向けになっているセラの目の前で円を描いた。円は歪み映像が映し出される…それはエイトに馬乗りになって首を絞めているセラの姿だった。
ハウンド
「見たまえ…君が…彼に何をしたのか。どう殺したのかを!」
エイト
「セラ!止めてくれ!……く……そ…」
止めようとしたエイトの首をへし折るセラの姿が映し出されていた。その顔は薄気味悪く笑い、命を奪った事の快楽を楽しんでいるかのようだ。
セラ
「エ…エイト……こんな事……あるはずが…嘘よ!」
ハウンド
「これが真実なのだよ…君はわかっているのではないかね?ただ認めたくはないだけだ…そうだろう。……君は…友達を殺したんだ!」
ハウンドは円の映像を変える。そこにはアレックス神父とセラが映っていた。
セラ
「お父様……」
ハウンド
「そう…君の父上だ。これから君は何をすると思う?可哀想に…彼は無抵抗だった。」
…そこにはアレックス神父を笑いながら両腕を折り、両足を砕くセラの姿があった。
アレックス神父は、何度もセラの名を呼んでいる。
セラ
「いやぁーーー!!!やめてーー!!!」
ハウンド
「何故顔をそむける?君がやった事だろう!君が!!!」
セラ
「違う!私じゃない!!!」
途端にセラの身体が青い光に包まれた。
青い光は魔法陣を覆い、掻き消そうとする。周りにいた術者達は、魔法陣を安定させようと呪文を唱え始めた。
ハウンド
「君は覚えているはずだ!肉を引き裂き…骨を砕く感触を!」
セラ
「私じゃない!!!」
セラの目は茶色から澄んだ青色になっていた。身体を包んでいた青い光も、さらに大きくなり魔法陣を飲み込み始める。
「ハウンド様!これ以上は持ちません!封印を願います!」
ハウンド
「予想以上に魔力が高い…さすがはハイエルフと言ったところか」
ハウンドはセラの額に向かって魔法の詠唱をし始めた。
(我の縛を受けよ。その身を闇の精霊に捧げん…ボルトメア)
指先から黒い線がセラの額に刺さると、青い光は無くなり目は茶色に戻った。
セラ
「ウソよ…ウソだわ。あんな事…」
魔法陣も安定し術者達からは溜め息がもれた。ハウンドは建物の入口に向かい歩き始める。
ハウンド
「引き続き姫を見ておけ!何かあれば報告せよ」
ハッ!と術者達は答え、ハウンドを見送っている。
(…やはり身内の死を利用した方が反応は良いな。何度か繰り返せば、あの女は間違いなく堕ちる。……ハイエルフを我が奴隷にすれば……エルフどころか人間まで……)
ハウンド
「クク……そうなれば楽しめそうだな」




