出発
…何をしに来たんだ?お前達、悪魔は間接的にしか下界に関われないはずじゃなかったのか?
モニカ
「私が下界に来たのは…君の生死に関わる事だからよ」
…これから行くモリス村に関係があると?
モニカ
「そう…簡単に言うと、村に行って欲しくないわ。」
…相手が死者とはいえ(最初の人間の力)がある俺が、そう簡単に殺られないだろ?
モニカ
「死者に殺されたら君は生き返る事は出来ないの。彼らの仲間になってしまうわ…肉体が朽ち果てるまで…ね。」
…………
モニカ
「不完全な魂の復活をした者達は、自分達の魂に似たものを、常に欲しているの。死者に殺されるとは、魂を喰われてしまう事なのよ。そして魂を喰われた者は、同じ死者になってしまう」
答えになってない。それは死んだ場合だろうに。
モニカ
「残念だけど…君達は死者を操っているものに勝てないわ。不完全とはいえ死人を蘇らせる事は、天界の力を使わないと無理だもの。…これだけ言えばわかるでしょ?」
…何で悪魔が死人を蘇らせたりするんだ。
モニカ
「さあ…何でかしらね?理由なんて無いと思うわ。私達、悪魔が下界を管理する必要も無いし…その気になったら下界を滅亡させる事も出来るけど。…やらないのは糧が無くなっちゃうからよ」
…あれこれ手助けをしてくれるモニカが、いるから勘違いしていたが…コイツらは神ではなく悪魔だ。
間接的にしか下界に関わらない決まりを破る輩がいても、おかしくない…か。
モニカ
「下界のバランスが重要なのよ。死人を蘇らせる位なら大して影響も無いもの…だから君も今回は諦めなさい。アナタが行ってどうなるものでもないわ」
禿頭はどうでもいいが…ホークには頼まれたからな。まあ、禿頭の死体でも持って帰れば皆も納得するだろう。死者が出る原因は不明って事にしとくさ。
モニカ
「強情な子ね。…くれぐれも悪魔には立ち向かわない事……私をガッカリさせないでね」
わかった…わかった。もういいだろ?
ローズの身体を返してやれよ
モニカ
「あん…もう。本当にわかってるの?……あ。この子が起きて来ちゃったわ…これで話はおしまいね。」
ちょっと待った!ローズと入れ替わる前に、向こうのベットに行け!色々ややこしくなる。
モニカ
「セラちゃんに一途ね~。この子は君が大好きなのに…か・わ・い・そ・う」
余計な事は言わんでいい!早くいけ!
ローズ…いやモニカは、クスクスと笑いながらアレスが寝ているベットに歩いていった。
…まったく、相変わらず人をおちょくってくるな…本当に悪魔なのか信じられなくなってくるよ。
とりあえず寝よう…明日はモリス村に行く日だからな。
…そして次の日、ローズは何も覚えてはいなかった。魔導書を読み、魔力を集中させる儀式の最中に気を失った…との事らしい。
恐らく魔力の儀式が、モニカが身体を入れ替えるのに丁度よかったのではないか、と思う。
とりあえず俺が気を失ったローズを2階に運び、ベットに寝かせた事にした。
朝食を取り、アレスが荷造りした物を持って、俺達はボルゾイさんの館に向かった。
館に着くと、むさ苦しい筋肉ダルマは興奮しながら俺達を迎えてくれた。
ボルゾイ
「よく来た!!!勇者達よ!!!此度の相手は死者!!!生きて返れぬ死地へ立ち向かう勇者に栄光あれ!!!」
ボルゾイは、血管が浮き出ながら熱弁している。嫌いでは無いが毎度こうだと疲れるな。
ボルゾイ
「む!エイト殿!!!その子供はどうしたのだ!?前は居なかったような気がしたが?」
エイト
「この子供は獣人族の戦士です。ドラゴンを倒した私に同行したいと願い、連れております。…見た目は子供ですが、力は私より上です」
この展開は予想済みだ。ちゃんと言い訳は出来ている。
ボルゾイ
「なんと!!!エイト殿にそこまで言わすとは!!!うむ!一手仕合うてみたい!!!」
「……ボルゾイ様」
横にいた召使いの女性が、興奮したボルゾイに耳打ちした。
ボルゾイ
「すまぬ!!!強者と聞いて血が騒いだわ!!!ゆるされよ!!!では勇者達に馬車を与えよう!!!馬車を表に用意せい!!」
ボルゾイの命令に、数人の召使いが馬車の用意をする為、外へ出ていった。
ボルゾイ
「馬車はすぐに用意できる!!!それでは勇者達よ!!!吉報をまっているぞ!!!」
そう言うと、ボルゾイは召使いを連れて館の奥へと歩いていった。
外に出るとすでに馬車は用意されている。…早過ぎないか?
アレス
「おい…獣人族の戦士ってどういう事だよ」
馬車に荷物を積んでいる最中にアレスは不機嫌そうに言ってきた。
エイト
「武器屋の件で、お前は獣人族の戦士と言う事になった。白髪で褐色肌なら丁度いいだろ?ドラゴンなんて言っても信じないしな」
アレス
「人間の次は獣人族……」
種の誇りが高いドラゴンにとっては、傷ついたらしい…が、そうしなければならない事も分かっている為に反論出来ない。アレスは、ションボリしながら積み込み作業をしている。
ローズ
「アレスちゃんは、アレスちゃんですから大丈夫です」
…ローズ…意味分かんない。そして何故、そこで照れるんだ、お前は。
積み込み作業が終わり、俺達は馬車に乗って出発しようとしたその時。
後ろからボルゾイの声がした
ボルゾイ
「勇者達を見送るぞ!!!皆の者!!!」
館の2階テラスには、ボルゾイと愉快な仲間達が楽器を持って俺達を見送っていた。
さっきは直ぐに館の奥に消えていったのは、このためだったのか…
やたらデカい楽器の演奏を背に、街の中央通りを馬車で通る俺達。
街の皆には死者を退治に行くとは伝えていない。…恥ずかしい。
街の入口まで恥ずかしい思いをしながら通った。
ホーク
「ハハ!相変わらずだよな。ボルゾイさんもよ…あれじゃあ、見せ物だぜ。」
街の外にはホークが待っていた。
ホーク
「昨日、彼女と街の広場で会ってな。今日、出発するって聞いたからよ。見送りに来たんだ」
エイト
「お前のボウガンで死者を退治してくるよ。まかせておけ」
ホークと俺は固い握手をする。
ホーク
「頼むぜ…相棒!それから彼女も気をつけてな。あれ?その小僧は…あの時の…」
ホークはアレスを指差して見ている。
ローズ
「この子は獣人族で、モリス村の方向に家があるそうなんです。だから途中まで乗せてってあげようと思って」
…ナイスだ!ローズ!
ホーク
「そ…そうか。獣人族だったのか。まあ、いいや。それよりよ…死者と戦うなら知っておかなければならない事を伝えにきたんだ」
エイト
「何をだ?」
ホーク
「弱点さ…。アイツらは死人だからな。ちょっとやそっとじゃ倒せねぇ…頭を狙え。…ソニアはそれで完全に動かなくなった」
エイト
「…ホーク。すまないな…わざわざ伝えに来てくれて」
ホーク
「なに…いいってことよ。あとはお前さん次第だ。頑張ってこいよ…じゃあな!」
ホークは飛翔の呪文を唱えると、街に飛びさって行った。
モニカは無理をするなと言っていたが、やはり原因を排除したくなってきた。
ホークの友情のために頑張ってみるとしよう




