睡眠
…やっとの事で家に着いた。疲れた…広場で騒ぎを起こさなければ良かった、と深く反省している。
エイト
「疲れている所で悪いが、ローズは夕飯を作ってくれるか?」
ハイ!と答えて、買ってきた食材を台所に運ぶローズ…やはりイイ子だ。
あとは…コイツか。
(お前は、さっきから何にもしてないんだから明日の荷造りをしとけよ!)
(なにおぅ!偉そうに指図するな!)
(テメーのクソ重い剣を、ここまで持ってきたのは誰だと思ってんだ!口答えすんな)
(……お前が勝手に持ったんじゃないか)
(子供が、あんな大剣を持ってたら怪しむだろうが!考えろよ…まったく!)
ローズ
「……あの~…以前も話していましたが、それは何語なんですか?」
食材を片手に不思議そうに見てくる。
コイツと2人で話すと、皆に解らない言葉で
話しているようだな。何でだ?
……まさか竜言語?そういえばコイツが、ドラゴンだった時にそんな事を言っていたような気がする。
エイト
「…夕飯を食べ終わったら話すよ。俺は2階でベットを作っているから、夕飯が出来たら教えてくれ」
わかりました…と言ってはくれたものの、首は傾げていた。
今夜話そうとしていたんだ。その時でいいだろう。
そんな事より、ベットだ。こいつを寝る前に作らなくてはいけない。
…ちなみに大工仕事は、トール教の奉仕で十分経験している。
………よし………これはまた………いや…
……む?……何だ…これをこうして……
……よし!できた!
フフ…我ながらいいできだ。しかも思ったより早く完成した!
(最初の人間の力)がこんな形で役に立つとはな。……大工仕事ならまかせておけ
ローズ
「わぁ!凄いです!このベットは、アレスちゃんの為に作ったのですか?」
エイト
「…え?…いや…そうじゃなくて…はは」
夕飯が出来たらしい、ローズは2階にいた俺を呼びに来た。
ローズ
「フフ…やっぱりエイトさんは優しいんですね。アレスちゃんも喜びますよ」
…ち…違う!俺の寝床なんだ!アイツの為じゃない!勘違いをしないでくれ!
…む?…まてよ。このベットに、アレスとローズを寝かせればいいんだ。そうだ!それがいい!
エイト
「あぁ…今夜は、アレスとローズがグッスリ眠れる様にベットを作ったんだ。3人だと1つのベットは窮屈だからな」
ローズは喜んでくれている…よし!この手でいこう。
夕飯を食べる為に1階に降りると、アレスは明日の準備をしていた。…やれば出来る子じゃないか。
そして、3人で夕飯を食べた…相変わらずローズの作った料理は美味しい!
エイト
「さて…と。…今日は話がある。信じられないかも知れないが…全て事実だ」
夕飯を堪能した直後に、話を切り出した。
…俺の過去…モニカから貰った生き返りの力…最初の人間…アレスの正体…これからの目的。
ローズは、黙って聞いていたが信じてもらえたかな?
ローズ
「……凄い話です。エイトさんは聖騎士マルク様と同じ力を持って、幼なじみのセラさんを助けに行くなんて…まるで英雄伝みたいですね。…でもアレスちゃんが、ドラゴンだったなんて…チョット信じられないです」
……まあ、普通の反応だな。
アレス
「…それで?セラ…だっけ?ハイエルフを助けに行くのはいいけどさ…どこに連れていかれたのか知ってるの?」
エイト
「…知らん!…だから街に来て情報を集めようとしているんだ。…まあ、俺の力を鍛えるのも含めてだが。」
アレスは溜め息まじりに話してくる。
アレス
「多分…もうお前じゃ助けるのは無理だよ。ハイエルフはエルフの長になる器の存在だからね。ダークエルフに捕まったんじゃ、いずれ起こる戦争に使われるに決まってる」
エイト
「だから?…助ければいい話じゃないか」
アレス
「馬鹿だなぁ…戦争に使われるんだったら、国を治める城とかに閉じ込められるのが普通だろ?国と戦う事になるぞ」
…言われてみればそうか。
アレス
「向こうは何百人の兵士、こっちは3人…
どうするつもりなんだ?」
ローズ
「…アレスちゃん!エイトさんは、それくらい分かってます。ね?」
…わかっていませんでした。すいません。
エイト
「まあ…な。まともにやって、助け出せるはずはないからな。…まかせておけ」
ローズは信じてくれたが、アレスは疑っている。
正直、何も策は無い。……連れ去ったダークエルフを倒せば、何とかなると俺は楽観的な考えをしていた。
いや…まずは死者退治だ。今、やるべき事をすれば、いつか必ず助けられる……はずだ。
エイト
「話は変わるが…ローズに聞きたい。魔法を使って死者を蘇らせる事は出来るのか?」
ローズ
「いえ…私が知る限り、死んだものを不完全とはいえ、生き返らせる事は魔法でも不可能だと思います。それこそ、エイトさんみたいに不死の力を持っていないと。」
裏で魔導士が操っているのは考えにくいか。
アレス
「同じ死者じゃないのか?」
エイト
「ホークが言っていた、死者が生者を襲って仲間を増やす事か?そうじゃなくて…死者を蘇らせる原因だよ」
アレス
「だから………いや…なんでもない。勘違いかもしれないし」
……なんだ?変な奴だな
それから夕飯の後片付けを終えた俺達は、湯浴みをして寝床に入った。ローズは魔法の勉強をすると言って1階に残り、アレスと俺は2階の寝室に入る。
自分で作ったベットを、アレスに使われるのは少し悔しいが…快適な睡眠をとれるなら文句は無い。
…あぁ。最高の気分だ…1人で寝るとは、かくもこんなに素晴らしいものだったか。
これなら…よく…ねむれ……
……
……なんか手に柔らかいものが。なんだ?
エイト
「おわ!ローズ!な…なんでコッチのベットにいるんだ?寝るのは向こうのベットだろ」
柔らかいものはローズの胸だった。俺の手を持って自分の胸を触らせていたのだ。
「やーねぇ~。私よ。分からないかしら?」
ローズは、魔法の勉強をしすぎて変になったのか?
「久しぶりの下界だわ。ちょっと、この子の体を借りてるけど…悪くない身体ね。どう?触った感想は?気持ちよかったかしら…フフ」
エイト
「ま……まさか。お前は……モニカ?」
モニカ
「やっと気づいたのね。まあ、身体はローズちゃんだから無理もないけど」
……なんて事だ。せっかく寝れたのに、厄介な奴が来てしまった。あぁ…頭が痛い。




