査定
「な…なんだ…その子は?獣人族なのか?しかし人間のように見えるが…」
店主は驚きの目でアレスを見ている。
振らせるんじゃなかった…
エイト
「…ちょっと珍しい獣人族なんだ。見た目は人間と変わらないだろ?そんな事より、あの大剣とクロムダイト鋼の剣と鎧…あとは矢を貰えるか?」
「あ…ああ…。えーと…全部で1700クロムになるな」
エイト
「意外に安いな。もっと高いかと思ったんだが」
「あんたには儲けさせてもらったからな。少し安くしといたよ」
…この店主とは、長く付き合っていきたいものだ。とはいえ、俺が装備を買いにきたんだから、何かあると思って安くした感はあるがな。それでまた儲けようと企んでいるのかも……
アレス
「何をブツブツ言ってるんだ。買い物が終わったら店を出るんだろ。…はやくしろよ」
……生意気な台詞が板についてきたじゃないか。
店を出て、ローズとの待ち合わせ場所へと向かった。たしか…中央の広場だったよな。
ローズは広場で俺達を待っていた。手に本を持っているから、魔導書は買ったみたいだな。
俺達を見つけると、嬉しそうな顔をして走ってきた。
ローズ
「エイトさん!ありがとうございます!この本で勉強して、必ずエイトさんのお役に立てるように頑張ります!」
魔導書は2冊買ったようだな。ローズは釣りを渡してきた…600クロムか…2冊でコカトリスの盾と同じ400クロム。
…う~ん…高いのかな?
そんな事より何か忘れているような……あ!
エイト
「しまった!ローズの装備を買っていなかった。……すまん!今から買いに戻ろう」
ローズ
「私は大丈夫です。ボルゾイ様から頂いた装備がありますから」
え?……あの時、館から出た時に袋は持ってはいたけど……袋の大きさからして武器とは考えにくいが。
エイト
「ちなみに…その装備ってのは?」
ローズ
「えっと…手甲と脛当てです。私、体術が得意なんですよ」
…聞き間違いかな?ローズは体術で戦うと。……そんなわけないよな。
エイト
「さあ…行こう。日が暮れる前に帰らなくちゃな」
ローズ
「エイトさん!ひどいです!」
どうやら聞き間違いでは無いようだ…
そんな事言ってもな…女の子で体術使いなんて…ハイエルフならまだしも。ローズはダークエルフとはいえ、普通の可愛い女の子だ。
ローズ
「もしかして…疑っています?」
エイト
「………うん。」
アレスを見ると俺に頷いている。
ローズ
「……わかりました。エイトさんの目で、お確かめ下さい。アレスちゃん…荷物を見ていてね。」
荷物をアレスに預けると、ローズは呼吸を整えて構えてきた。
ローズ
「全力で行きます!」
……どうやらマジらしいな。
こんな広場でやるのは、どうかと思うが
俺もアレスに荷物を預けて構えた。
「お?何だ何だ…喧嘩か」
「お…おい!アイツはドラゴン殺しのエイトだぜ!」
「相手はギルダスの使用人のダークエルフじゃないか?」
周りにいた住人が、俺達を囲んで歓声をあげている。……まったくお祭りが好きな奴らだな。…止めろよ
ローズ
「……いきます!」
半身で構えていたローズは、真っ直ぐに突っ込んできた。
思ったより鋭い……が…右拳か。
(最初の人間の力)を持っている俺には見切れる速度だ…右拳をいなして終わりだな。
右拳をいなそうと左手を合わせた瞬間、ローズは右拳を引いた。
……なに!
ローズ
「ハッ!!!」
左拳で俺の右脇腹を狙ってきた。
こっちが本命か…咄嗟に右手で防いだ。危なかった…重さは無いが、当たりどころが悪ければヤバかったかもしれない。
左拳を防がれたローズは、右回し蹴りで頭を狙いに来るが、俺は上体を仰け反らせて避ける。
が……避ける事を想定していたのか、体を回転させ左後ろ回し蹴りで、腹を狙いにきた。
俺は両手で受け、足を掴む。
ローズ
「……これで!」
左足を掴んだ俺の両手に体重をかけて、右足で蹴り上げてくる。右足は俺の顎をかすめ、掴んだ足を離してしまった。ローズは宙返りをして地面に着地した。
見物客からは歓声があがる。
「おぉーー!!!やるな姉ちゃん!」
「すげぇ!さすがはドラゴン殺しだぜ!あの連携を避けるなんてよ」
「いや…あのダークエルフも凄いぜ」
まったくだ。ローズの体術が、これほど凄いとは予想もしなかったな。
……だが、今の一連の動きで何となくわかったような気がする。
ローズ
「…続いていきます!」
左拳…右拳…右後ろ回し蹴り…ここだ!
ローズが後ろ回し蹴りを放つ前に、間合いをつめて軸足を刈る。
倒れて起き上がろうとするローズの顔に、寸止めをして勝負はついた。
ローズ
「…私の負けです」
見物客からは拍手と歓声が上がった。
いつの間にやら兵士も見ている…おい!止めろよ!感心してる場合じゃないだろ!
ローズ
「やっぱり…足手まといですね。…ボルゾイ様の奴隷の中では、魔力を除くと1番強かったのですが」
エイト
「いや…俺が悪かった。ローズが、これほどまで強かったとは想像もしてなかったよ。これからも頼む」
倒れた体に手を伸ばすと、ローズは抱きついてきた。
ローズ
「はい!頑張ります!」
広場の見物客はピューピューと冷やかしてくる。……死ぬほど恥ずかしいのだが。
まあ、結果的にはローズの実力もわかった事だし…よしとしよう。
後はベットの素材を買わなきゃいけない。
取り囲んでくる見物客達を、追い払いながら次の店に急いだ。
疲れる1日だ…寝不足なのに。




