魔法
……俺達は街の中心部に向かって歩いている。
眠い!!!毎度ながら、抱きついてくるローズと酷い寝相のアレス…昨日は、まともに寝れなかった。俺専用のベットは購入しないと体がもたない。
まあ、それはおいといて…
エイト
「ローズは何か欲しいものはあるか?」
ローズ
「魔導書が欲しいです。…魔力を少しでも上げる勉強をしたいのですが…よろしいですか?」
魔法か……俺には関係ないものだな。
たしかに魅力的なものだが、習得するには魔硝石が必要だし…そのために、ハーフエルフを犠牲にするなんて考えられないしな。
エイト
「1つ聞いていいか?魔法ってのは人間以外なら、誰でも使えるものなのか?」
ローズ
「え?……そう…ですね。私達の種族は使えます。亜人間の方達も一部ですが使用出来ます…ご存知では無かったのですか?」
エイト
「あ…ああ…俺のいた村は…とんでもない田舎でさ。魔法なんてのは、この街に来て初めて見たんだ。少し教えて貰えると助かる」
…外の世界では、魔法は当たり前のものだったな。……やれやれ…この先、一緒に旅をするとなると、俺の過去を2人に話した方がよさそうだな。
ローズ
「そうなんですか……では、説明させて頂きます。魔法とは世界に存在する精霊達に呼びかけて使用する事が出来ます。…風・大地・火・水・闇・光の精霊ですね。魔法を使うには、彼ら無くして使用は出来ません。…ですが、彼らに呼びかけるには魔力が必要になります」
エイト
「人間には魔力が無いから精霊達に呼びかける事は出来ない」
ローズ
「はい…出来なくもないですが。魔硝石が必要になります。人工的に魔硝石を人間に移植する事によって、人間にも魔力を持たせる事は可能です。ただ…魔硝石を持つハーフエルフの個体数が少ないので、今は魔硝石を複製したものが出回ってます。…それでも一般人には手が出せない値段はしますが」
複製…今はハーフエルフを狩らなくても複製する技術があるのか。
俺の村を襲ったのは、純粋な魔硝石が欲しかったからなのか。
ローズ
「私の住んでいた家も、ボルゾイ様から頂いた複製の魔硝石の力を使っています。と言っても浴槽でしか使用出来ない微力なものですが…」
…なるほど…あの便利な浴槽は、複製した魔硝石の力なのか。
ローズ
「亜人間の方達ですが…そうですね。ホークさんの種族、ウィングマンだと風の精霊達に呼びかけて(飛翔の呪文)を使う事が出来ます。あとは獣人族ですね…彼らは大地の精霊達に呼びかけて、自分達の体を活性化させる(活力の呪文)を使えます」
獣人族か…酒場で乱闘した時には、いなかったな。いたらヤバかったかもしれない…
ローズ
「あとは…私は噂でしか聞いた事がないのですが。魔導人形…と言うものがあるそうです。魔硝石を、鉱石等の物質に埋め込んで生命を吹き込むらしいのですが…」
…途方もない話だな。人間が魔硝石を使って命を造り出すなんてな…こりゃあ神様が見たら、さぞかし嘆く事だろうぜ。
ローズ
「エルフ達との戦争の切り札になるとか…でも…そんな物が本当に出来るのか…あ…エイトさん。あのお店に魔導書が売ってます」
ローズが指をさす方向には、何とも怪しい店があった。
店の中から紫色の煙が出ていて、店先には得体の知れない物が並んでいる。
店内は暗く、外からは店の中を確認出来ない
エイト
「ああ…では1000クロム渡しておこう。俺は装備を買いにいく。待ち合わせは…この広場でな」
正直、あの店に入りたくない。
ローズと別れて、俺達は(コカトリスの盾)を買った店に向かった。
「いよぅ!!英雄さんが来てくれたぜ!お前さんがドラゴンを倒してくれたんで、店の売り上げが右肩上がりよ!あの英雄が盾を買った店と宣伝させてもらってるけどよ」
…商売繁盛なによりです。
エイト
「何か良い品物はあるか?」
「あるぜ~。あのドラゴンが東の街との街道を、ふさいでたんだが…アンタが倒したんで取引が再開したんだ。」
エイト
「あのドラゴンは随分迷惑な奴だったんだなぁ~」
アレスの方にワザと向かって笑いながら話すと、俺の足を蹴っ飛ばしてきた。
「全くだ……お?これだ!」
店主は、うっすらと紫色に輝く鎧を取り出してきた。
「クロムダイト鋼の鎧だ。クロムダイト鋼自体は、そんなに希少な鉱石じゃねぇが…加工するのが難しいんだ。この街では加工は出来ねぇ。東の街のドワーフが加工しているって話しだ」
…クロムダイトか。鎧と言っても胸からヘソの位置までの長さしかない。しかし、持ってみると驚くほど軽い。皮鎧とほぼ同じ位の重さしかない。…これで鉱石を使っている鎧とは。
「クロムダイトは軽いが、クロム鋼より頑丈だ。剣も切れ味と耐久性は保証できるぜ」
こいつはいい!軽くて丈夫なんて最高じゃないか。さっそく買おう!
あとは…アレスの装備だが。
(おい…お前は何がいいんだ?)
(…何って?)
(お前の武器だよ。ドラゴンの時と違って、人間の子供になってるんだから、武器が無くちゃ戦えないだろ)
(……アレ)
アレスが指をさした武器は、俺の身長ほどの大剣だった。
(馬鹿言うな。あんなの振れるはずがないだろ!俺でも振るのが大変そうな剣だぞ)
(僕の今の身長なら、あれ位の物じゃないと戦えないだろ)
(……たしかに言われてみればそうだな。振れるのか?)
(…やってみる)
「……どうした?変な言葉で小僧と話しているが…何語だ?そりゃあ」
店主は首を傾げて俺達を見ている。
…変な言葉?コイツと話した時に、俺は変な言葉を喋っていたのか?
エイト
「あぁ…何でもない。それより、この剣を見ても構わないかな?」
「別に構わないが…そいつは重いぜ?甲冑ごと叩き潰す為の剣だ」
店に立てかけられていた剣を持つ。……こいつは確かに重いな。俺が持っているクロム鋼の剣とは、比較にならない重さだ。
たしかに剣で斬ると言うよりは、叩き潰すと言う感じだな。……はたしてコイツを振れるのか?
アレス
「……うん。なかなかいい感じだ。これがいい」
アレスは、両手で持つと苦もなく振ってみせた。
な?……いとも簡単に。これが竜の力なのか
これでまだ覚醒していないのだからな…モニカが言った竜戦士の力…嘘じゃない様な気がする。
店主はアレスが大剣を振ったのを見て、口を開けて呆然としている。
店主に見えない様に振らせるべきだったか…
もう遅いが…




