決意
ホーク
「悪いな…こんな湿っぽい話になっちまってよ。……でも何だろうな…お前ならソニアの仇をとってくれそうな気がしたんだ」
ローズ
「ホークさん。エイトさんなら必ずソニア様の仇をとってくれます!ドラゴンを倒した人ですから!」
お…おい…あんまり期待させるなよ。
「へー…ドラゴンを倒したんだーすごいなー」
お前は黙れ!小僧!
ホーク
「頼むぜ相棒!……そうだ!これを持っていってくれ」
馬車の荷台からボウガンを取り出して俺に渡してきた。これはホークが使っていたものだ
ホーク
「使い方はわかるか?俺のボウガンは滑車がついてないから、足を使って引っ張らないと弦は引けないぜ。クロム鋼の甲冑なら貫く威力はある。…ドラゴンの皮膚は貫けなかったがな」
……弦を引き金近くまで引っ張らないと駄目なのか。あとは矢を置いて引き金を引くだけ…か。
エイト
「ありがとう。……でもいいのか?」
ホーク
「俺が出来るのは、これくらいしかないからよ…………もう日が暮れてきたな。それじゃあ帰るか」
……もう夕方になったのか。なんだか長い1日だったな。ドラゴンとの戦い…モニカの空間でドラゴン少年との出会い…領主とホークの過去…。そして今度は死者との戦いが始まるのか。
……なんか本来の目的から外れ始めてる感じがするんだが。…いや…とりあえずだが竜戦士は仲間になった。セラを助けるには仲間が必要だし俺自身も経験をつまなくては。
ホーク
「じゃあな!今日はゆっくり休めよ相棒!」
翼を広げてホークは飛び去っていった。
「おい!お腹が減ったぞ!肉を食わせろ。」
ホークを見ていた俺の服を、少年はグイグイ引っ張って食べ物をねだってきた。……お前さっきの話を聞いて、よく肉が食いたいと思うな。
ローズ
「あの…エイトさん。この子は誰ですか?」
そういえばローズは初対面だったな。
どう説明しようか……いきなり竜戦士とか言っても理解出来ないしな。迷子の孤児にしておこうか
エイト
「ああ…ドラゴンを倒した場所で倒れていたのを見つけたんだ。どうやら両親が食われてしまったらしい。名前は……アレスだ。一緒に暮らす事になったが構わないか?」
ローズ
「はい!エイトさん…やっぱり優しいんですね。よろしくね。アレス君」
アレス
「あ…う…うん……」
下を向いて答えている…な~に恥ずかしがってるんだか。
(おい…なんだよ!アレスって名前は)
(うるせー!お前が竜戦士なんて、いきなり言ってもわからないだろうが。迷子の孤児って事にしとけ)
(僕にはちゃんと名前があるんだぞ!○△○×△……)
(何だそれ!発音が難しすぎるんだよ!アレスだ!お前は今日からアレス!)
(人間に名前を決められるなんてヤダ!)
(あ~そう…じゃあ今夜は肉あげないかんな。俺に逆らうと飯抜きだぞ?ん?)
(ず…ずるいぞ!それじゃあ僕が選べないじゃないか!)
ローズ
「あ…あの~……どうかなされたのですか?」
エイト
「え?……あ……はは。こいつが今日の献立をしつこく聞いてきたからさ。そうとう腹減ってたんだな。早く帰って飯にしようか。な?」
アレスの頭を撫でながら、俺は半笑いになっていた。ローズは首を傾げながら2人を見ている。
エイト
「じ…じゃあ行こう。すまないが馬車にある荷物を持ってきてくれないか?左腕が動かないんだ。」
……ローズは頷くと荷物を持ってくれた。
家の帰りの途中で夕食の食材と傷薬を買った。……アレスのおかげで夕食は肉尽くしになりそうだな。買った肉をアレスはジーーっと無言で見ている……おい!生では食わんぞ。
ようやく家に着き、ローズは俺の左腕に傷薬を塗ると呪文を唱え始めた。
ローズ
「全ての命を見守る聖霊達よ。この者の傷を癒やしたまえ…ヒールブレス!」
ローズの手から光が出ると、俺の左腕に光が移り、痛みがひいていく。……魔法を使えるのか。
エイト
「す…凄いな!痛みが消えていったよ。ローズは魔導士なのか?」
ローズ
「いえ…私は魔力が足りないので傷薬を一緒に使わないと効果が現れません。傷薬の効果を倍増させる位です」
…魔法を使えない俺には、それでも凄いと思えるのだが。
ローズは俺の治療が終わると、夕食の準備を始めた。先に湯浴みを進められたのでアレスと一緒に入る。
アレス
「なんでお湯の中に入るんだ?よくわからないよ」
エイト
「いいから…入れ」
背中を押して浴槽にアレスを沈める。
アレスはビックリしていたが、すぐに浴槽の淵に顔を乗せて目をつぶり気持ちよさそうにしている。
俺も浴槽に入り天井を見上げた。
ふ~~疲れた~~。
…しかしコイツとは、今日の昼は殺し合いをしていたんだよな。今は仲良く湯浴みをしているなんて…何か変な絵だな。
浴槽で寝ていたアレスを起こして夕食に向かう。ローズは食事の支度を済ませ、俺達を待っていた。
注文通りに肉が中心の料理のようだ。
アレスは目を輝かせて肉を見ている。元がドラゴンだからな…食事には目がないんだろう
ローズ
「エイトさん。少しお話が…」
食事中にローズは真剣な顔をして俺に話かけてきた。アレスは食事に夢中で聞いていない
エイト
「なんだ?そんな顔して」
ローズ
「私のこれからなんですが……この先…エイトさんの旅について行っていいですか?」
ななな何ですと?……ちょっとまて
エイト
「おいおい……俺について行くって事は危険な目にもあうんだぜ。ボルゾイさんの話を聞いただろ?次は死者を退治するんだ。…生きて帰れるかも分からないんだぞ」
ローズ
「大丈夫です。私…こうみえて強いんですよ。それにエイトさんと一緒なら…お願いします!迷惑はかけません」
俺の近くまで来て、頭を深々と下げローズは一直線に俺を見てくる。
エイト
「……わかった。明日は一緒にモリス村へ向かう為の装備の買い出しに行こう」
ローズ
「ありがとうございます!私、頑張ります!」
大喜びで俺に抱きついてきた。……胸が…息が苦しい…。
それを見ていたアレスが溜め息をもらした。




