対決
ドラゴンは爪を地面にめり込ませながら凄まじい勢いで突進してきた。
すかさず横に飛んで避けたが……間一髪だ。
……まともに食らったら俺の体はバラバラに散らばる事だろう。
ドラゴンは壁にぶつかる事も無く避けた俺に向かって唸っている。あの爪は突進後に止まる役割もあるらしい……ゴツゴツとした尻尾を地面に叩きつけた。
「人間にしては動きがいい……並の人間なら今の我の一撃で死んでいるはずだが…ならばこれはどうだ?」
ドラゴンは口を開けて息を吸い始めた。口の周りが赤く光っている……まずい炎だ!
俺は片膝を地面につけて(コカトリスの盾)を両手で構えた。
……凄まじい爆発音と共にドラゴンの口から火球が放たれる。両手で構えた盾に火球は当たるとバチバチと火花を出して後方に弾け飛んでいった。……弾いているはずだが凄まじい熱量だ。
「……厄介な物を持っていたか」
ドラゴンはまた突進してくる気だ…それなら同じ様に避けてみせる。突進は避けて炎は盾で防ぐ…後はホークが狙撃するまで耐えるだけだ。……いけるぞ
ドラゴンの突進を避けた俺の目の前にドラゴンの尻尾が迫ってきた。
エイト
「し……しまっ……た……ぐは」
とっさに後ろに飛んで避けようとしたが腹に食らってしまった。補強した皮鎧でなかったら口から内臓が出ていてもおかしくない衝撃だ。
…こ……呼吸が
ドラゴンは俺が避けるのをわかって突進し避けた方向に尻尾を振ってきたんだ……やられた…クソ!
ドラゴンは火球のために息を吸い始めた。
……この状態で弾けるか?
盾を持つ両手がブルブル震えている…耐えられない!火球は弾いたが盾が吹っ飛んでしまった。
エイト
「やるな…2回目の突進が妙に避けやすかったのは速度を落として、俺がどっちに避けるかを見ていたのか」
「……その通りだ。だがとっさに後ろに飛んで我が一撃の衝撃を逃がすとはな。その後の我の火球を弾いたのも見事だ。……だがもう何も出来まい」
ドラゴンはゆっくりと俺に近づいてくる。
……最後は喰い殺す気だな。俺は腰にぶら下げた投擲用の革袋を握りしめた。
これが俺の最後の策だ…しくじれば終わり…この一瞬でホークが決めてくれれば。
四つん這いになった俺を丸飲みにしようとドラゴンの口が近づいてくる。
エイト
「ホーーーーク!!!いまだーー」
俺はドラゴンの口に革袋を投げ込んだ。
ドラゴンは革袋を飲み込むと叫び声を上げて首をくねらせて苦しがっている。
エイト
「とっておきの香辛料だぜ…よーく味わいな」
俺が天井にいるホークに目をやると同時にドラゴンの首の後ろに矢が刺さる…やったか?
ドラゴンは叫び声をあげているが倒れる気配が無い…失敗したのか?
その時、ホークが叫びながら天井から降りてきた。
ホーク
「駄目だ!完全に急所に矢が刺さってねぇ!…直接トドメをさすしかねぇぞ」
……クソ!たがドラゴンはまだホークの矢と俺の香辛料入り革袋で苦しんでいる。
今を逃したらもう俺達に勝ち目は無いだろう
エイト
「ホーク……俺を抱えて飛べるか?奴の首の後ろまで運んでくれ。俺が矢の場所に剣をぶち込んで倒す」
ホーク
「出来ないことはないが…大丈夫か?エイト…さっきの尻尾の一撃が効いているんだろ?無理をするな…俺が殺る」
飛び立とうとするホークの腕を掴んで俺は首をふる……何故か知らないが奴は俺が倒さないといけない気がする。
ホーク
「……わかった。…死ぬんじゃないぜ…相棒」
ホークは俺を抱きかかえてドラゴンの上まで飛んだ……まだもがいている…ホークに合図を送り俺はドラゴンの体へ飛び乗った。
激しく暴れているドラゴンに振り落とされそうになりながら、ホークの放った矢にどうにか捕まる事が出来た。
矢を掴むと激痛が走ったのか、ドラゴンは更に暴れ始めた。……クソ!大人しくしろ!
刺さった矢を更に奥に押し込もうとすると、矢が折れてしまった。やはり剣でトドメをささねば…ドラゴンは手で俺を捕らえようとしてきた。
ドラゴンの手に捕まらないように屈みながら矢が刺さった場所に剣を突き刺した。ドラゴンの皮膚から真っ赤な鮮血が吹き出し、剣が半分以上入った所でドラゴンは俺を掴み壁に投げ捨てた。
壁に叩きつけられた俺は受け身もとれずに地面に落ちていく。
……もう体が動かない。壁に叩きつけられた時に左腕の骨が折れたか……これで駄目ならもう……終わりだな。
目の前の視界がぼやけていくなか、ドラゴンが叫びゆっくりと倒れるのを見た……




