街で乱闘
ローズ
「……おはようございます。エイトさん」
……おおぅ!ローズは俺に馬乗りになって顔がくっつきそうな距離で話してきた。
……この子はワザとやっているのだろうか?天然だとしたら…それはそれで凄い事だが。
ローズ
「朝食出来てますから…1階に来て下さい」
ローズはそういうと階段で降りて行った。
……セラも毎日同じ事言ってたなぁ。アイツはもっとキツい言い方するけど。
俺とローズは朝食をすませ2人で後片付けをした。……なんか夫婦みたいだな。
……違うぞ!セラ!断じて違うからな!
ローズは領主の所に行かなければならないので日中は俺1人だ。ドラゴン狩りは明日だし…街で情報でも集めるか。
…ローズの家から男が出てきたなんて事が領主に知れたらマズいからな。家を出るのは慎重にせねば。
ローズが家を出た後にコソコソと俺も外に出る。向かうのは酒場だ……とりあえず情報が入りそうだからな。
……相も変わらず酒場は賑わっていた。ただ前と違う点は酒場の人間が俺を見てヒソヒソ話している事だ。……感じ悪いな。そして1番近くに座って酒を飲んでいた中年の人間が俺に話してきた。
「おい!小僧!…ギルダスの次はドラゴンに喧嘩売るらしいな。命知らずも程々にしねぇと命がいくつあっても足らねぇぜ?もっとも俺はオメェがドラゴンのクソになる方に50クロム賭けてんだからな。死んでくれる事を祈るよ」
周りの酔っ払い共がいっせいに笑い始めた。
「ドラゴンに泣きついても許してくれねぇぞ?小僧!今のうちに母ちゃんに甘えとけ」
……聞くに耐えないな。
エイト
「へっ……昼間っから酒飲んでるロクデナシから言われちゃー俺もお仕舞いだな。まっ…せいぜい他人の悪口言う位しか能がないみたいだけどな。口ばっかし君?」
「んだと小僧ぉ?生意気な口ききやがってブチのめしてやろうか!あぁ?」
テーブルを叩きながら数人の男達が立ち上がった。……単純な連中だ。
エイト
「そんなに賭けが好きなら1つ賭けをしようぜ?お前達が俺をブチのめすか…俺がお前達をブチのめすか…どうだ?」
……ギルダスを倒した力が本物かどうか試すチャンスだ。本当なら情報を集めようとしたのだが…ブチのめした後で無理やり聞くか。
俺が話終わった瞬間、奥にいた男が椅子を投げてきた。……これなら余裕で避けれる。
手前の中年も殴りかかってきたが……ギルダスより遅い。殴ってきた右手を払い鼻に一撃を入れる…鼻を押さえて崩れおちた首に蹴りを打ち込み中年は動かなくなった。
ギルダス戦はマグレじゃないようだ。それに俺も同じだが、人間とはかくも打たれ弱いのだな。
今度は先程の中年より若い人間が襲いかかってきた。体術に心得があるのだろうか…半身で構えて素早く拳を繰り出してきたが、俺は身をよじり皮一枚で避ける。
ギルダスより早いな……俺の反撃の拳も男に払われる。……ここで俺はワザとヨロけたフリをした。ここぞとばかりに大振りになった男の蹴りをいなし腹に重い一撃をくわえる。
男は胃液を吐きながらのたうち回っていた。
一連の立ち回りを見て酒場の男達は後ずさっていた。……ここしかない!セラから学んだ事だ。数が多くても恐怖が伝染したものなら数に入らない。
……さすがにハイエルフのセラ程上手くいかなかったが1人…また1人と倒していけた。
数が半分になった所で男達は財布から金を取り出して俺に渡してくる。
……まいどあり~
エイト
「ま…これくらいで許してやるよ。勝てない喧嘩はしない事だね」
総額幾らになったのだろう。クロムの単位がわからないから後で店に行って調べよう。
……兵士が来る前に俺は酒場を去った。
……やっぱり俺は盗賊向きなのかなぁ




