買い物
酒場をそそくさと出た俺は中央通りにきた。
……あ。しまった!アイツ等から情報を聞き出す事を忘れた。
……まぁいいか。あの場に長くいたら街の兵士が来ただろうし。ギルダスの一件から俺は兵士に睨まれているかもしれないしな。
兎にも角にも買い物だ!明日に向けて色々仕入れないと。
「よう兄ちゃん!ドラゴン退治に行くんだって?ウチで買い物してきなよ」
いきなり店の人間から声をかけられた。俺って街の中じゃ有名人になってしまったのか?
…どうやら武器や防具等を扱っている店らしいな。入ってみるか…
店内は所狭しと商品が並んでいる。なんかゴチャゴチャしてるな……ん?なんだコレ。
鉱石を板状にしたものが置いてある…こんなの何に使うんだ?
「あぁ…そいつはクロム鋼を板状にしたもんだ。皮鎧の強度を上げる為に使うもんだよ。重い鎧を嫌う弓使いとかが使うもんだ。アンタも皮鎧だが使ってみたらどうだい
」
…なるほど。強度を上げる素材か…俺はどちらかと言うと軽装の方が合ってるからな。
これはいいかもしれん。
…あとは小盾だな。ドラゴンの火をまともに受けるわけにはいかない…身を守る盾は必要だ。もっともドラゴン自体の攻撃を防ぐ気は無い。質量が違いすぎて盾なんか意味すらないだろう。
エイト
「……耐熱性がある盾が欲しい。なるべく軽くて動きやすいのがいいが」
「おぉ…いいのがあるぜ。昨日仕入れたばかりだ。火山に住むコカトリスの羽を使った盾だ。こいつならちょっとやそっとの火なら通さねぇぜ」
主人はそういうと革袋から手頃な大きさの盾を出した。盾の表面には赤い羽がぎっしり張り巡らされている。……羽は燃えるんじゃないのか?
「嘘だと思ってるだろ?へへ…ちょっと待ってくれよ」
主人は店の奥に行き、火を灯した松明を持って戻ってきた。そして盾に松明を押し付け始めた。
……バチっ!!!
松明の火は音と共に消え去った。
「な?本物だろ。コカトリスは火山に住んでいるから羽が火を弾くんだ。ただしこの盾は火には強いが耐久性がねぇ。せいぜい剣での攻撃に耐える位だ。ドラゴンの攻撃なんか受けたら粉々になるだろな」
……まさにもってこいの盾だ。羽で出来てるから軽いはずだしな。こいつを貰おう。
エイト
「じゃあ…その盾とクロム鋼の板と投擲用の革袋をくれ。それと皮鎧にクロム鋼を使って強度を上げるのも頼めるか?」
「あいよ。お安い御用だ……皮鎧にクロム鋼をつける工費はサービスしとくよ。アンタがドラゴンを退治してくれれば、こちとら商売がやりやすくなるからな」
…全部含めて500クロムだった。酒場から巻き上げた金は600クロムだったから危なかったな。あと100クロムは有効に使おう。
俺は店の主人に皮鎧をわたした。明日の朝には出来あがるらしい…昼に出発だから間に合うな。盾と革袋を受け取り店を出た。
あとは……香辛料を買わなきゃな。
丁度店を出た真ん前にそれらしい店があった。一番キツい香辛料を頼むと店のオバサンは首を傾げていたが……これが後で役に立つはずだ。
……こんなとこか。日もそろそろ暮れ始めてきたな。いよいよ明日か…ローズの為にも必ず討伐せねば。
「……ふん!てめぇか」
…聞き覚えがある声の方向に俺は振り向いた




