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婚約破棄された地味な結界調整士ですが、追放先の辺境で静かに暮らしたらなぜか感謝され続けています  作者: 篠宮しずく


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第47話 異常なしの報告

 翌朝の会議室は、張りつめた空気に満ちていた。


 結界強度は上昇。

 魔力消費も上昇。

 揺らぎは抑制範囲内。


 数字だけを並べれば、問題はない。


「市民からの不安の声が増えています」


 文官が報告する。


「眠れない、落ち着かない、夜が重い――抽象的な意見ですが」


「慣れの問題だ」


 ルークは即答する。


「強度が上がれば圧迫感は出る。だが安全性は向上している」


 論理は正しい。


 異論は出ない。


 会議の終盤、書類の束の中から一枚が抜き出された。


「こちら、地方巡察報告です」


 提出者の名は、サイラス・エルディン。


 ルークは視線だけで続きを促す。


「辺境村一件。結界強度は平均以下。層は薄い。魔力消費も少量」


「参考外だな」


 ルークは即座に切り捨てる。


 だが文官は続けた。


「接近頻度は基準値以下。揺らぎなし。総評――」


 紙を読み上げる。


「異常なし」


 短い沈黙が落ちる。


 ルークは眉を寄せた。


「強度が低いだけだ」


「はい。ただ……」


 サイラスが口を開いた。


 この場で発言する立場ではない。

 だが、静かに言う。


「異常はありませんでした」


 誰もすぐに反応しない。


「夜は、静かでした」


 会議室の空気が、わずかに変わる。


 ルークは視線を向ける。


「感想は不要だ」


「事実です」


 サイラスは淡々と答える。


「数値では測れませんでしたが、生活は整っていました」


 ルークは書類を閉じる。


「王都は王都の構造がある」


 声は冷静だ。


「辺境の例は当てはまらない」


 理屈は正しい。


 だが、誰も完全には頷かない。


 会議が終わり、人が散っていく。


 サイラスは静かに書類を抱え直した。


 ルークは一人残り、報告書を再び開く。


 強度:低。

 層:薄い。

 消費:少。

 異常なし。


 簡潔すぎる。


(なぜ、崩れない)


 疑問が、わずかに残る。


 だが、すぐに閉じる。


「層を追加する」


 次の指示は、迷いなく出された。


 王都は、さらに強くなる。


 だがその夜も、完全な静けさは訪れなかった。

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