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婚約破棄された地味な結界調整士ですが、追放先の辺境で静かに暮らしたらなぜか感謝され続けています  作者: 篠宮しずく


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第45話 異常なし

 王都へ戻る馬車の中で、サイラスは報告書を開いた。


 書くべき項目は、決まっている。


 結界強度。

 層構造。

 魔力消費。

 魔物接近頻度。

 異常の有無。


 数値は、すでに記してある。


 強度――平均以下。

 層――薄い。

 消費――低。

 接近――基準値よりやや低。


 理論上は、突出した点はない。


 サイラスは、筆を止めた。


 あの夜の静けさ。

 自然と小さくなる灯り。

 無理をしない選択。


 それらを書き込む欄は、どこにもない。


 しばらく考え、最後の項目へと筆を進める。


 総評――


 ――異常なし。


 それだけを書き、筆を置いた。


 再現性についての欄は、空白のままにする。

 記せば誤解を生むと分かっているからだ。


「持ち帰れない、か」


 小さく呟き、報告書を閉じる。


 王都の城壁が見えてくる。


 評価も、指示も、何も生まれないだろう。


 だが、それでいい。


 あの村は、異常がなかった。


 ただ、それだけだ。


 ――――――


 その頃、村ではいつも通りの夜が訪れていた。


 焚き火は小さく、声は低い。

 外からの圧はなく、揺らぎもない。


 アリアは結界点に手を当てる。


 変化はない。


 リーナが隣に立つ。


「何も、起きませんね」


「はい」


 それ以上の言葉はない。


 報告書のことも、

 王都のことも、

 誰も知らない。


 結界は今日も、薄く村を包んでいる。


 評価も、記録もなく、

 ただ、戻れる場所として。


本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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