女将の話ー宇宙海賊 7
「アロウ、こいつの両手を縛っておけ」ブレイドの命令でアロウはポケットから細引きを取り出すとレミのだらんとした両腕を背中に回してから両手首をきつく縛り上げた
レミは何をされているのは分かったが、感覚が全くなかった。
「お嬢さん、これから尋問しなければならないのだが、薬が効いていては口もきけないだろうし、さりとて解毒剤を与えて逃げられては困るのできつく拘束してもらったよ」ブレイドは、ポケットから小さい金属のケースと銀色のスプレー缶を取り出した。
ブレイドはスプレー缶をアロウに渡すと金属ケースの蓋をあけて中から細いシガレットのような大きさで透明な管状のものを取り出した。中には液体がゆらゆらとゆらめいていた。ブレイドはその管状の真ん中をダーツの様に持つとその先端をレミの首筋に押し付けたシュッという音がかすかにもれた。
レミは、感覚がじわりと戻ってきたのを感じた。手首が痛い、痣になるほど締め付けられているみたいだった。
「ねぇ痛いわ、もうすこしゆるくできないの?」レミはやっと声を出せることにほっとした。
「なに、すぐに痛みは消えてハイな気分になる」ブレイドはスプレー缶のノズルを彼女に向けると無色無臭のエアロゾルを吹きかけた。
「なによ!」レミは怒鳴った。激しい怒りが込み上げてきた。どいつもこいつもぶちのめしたい。おかしい、レミは頭のどこかでそう思いながらも感情が湧き出すのを抑えらなかった。
「お前は何者だ」ブレイドは、平静な声を出した。
「お前らをぶちのめしに来た正義の味方さ」レミは、ケラケラと笑った。自分でもおかしくで背をエビぞりにしながら笑った。そしてふと笑いを止めてから「ぶっ殺す」と低い声でブレイドを睨んだ
「ほう、俺たちを知っている?」
「有名じゃないか、スカルスパイダーの極悪人さんだろ、くそ縄をほどけ!」
「知っているのか…お前はSWATか?」
「まさかぁ」レミは、意味も分からぬ怒りが理性の壁を崩しているのを抑えられなかった。よりによってSWATだ?法に縛られた腰抜けどもと一緒にしやがって。「あんな奴らと一緒にするな、わたしはなぁ…」その瞬間激しい頭痛が走った。意識が失いかけるほどのひどい頭痛だ。激しくのけぞり、息を荒げた。
「意識制御系のウェットウェアが脳に仕込まれているな。自分に関することは白状できそうにないのでは、ゴミと同じだ。しかし、それなりに鍛えてありそうだから体で奉仕してもらおうか」
「お前の汚いペニスなんか咥えてやるもんかよ」レミはやっと頭痛から解放されたが、のたうち回っている間に出て来た唾が口の脇からこぼれ出た
「俺もお前の汚い口はごめんだな」ブレイドはしゃがみこむとレミの両頬を片手で掴んだ。レミの中の怒りは沸騰し、殺意が噴出しつづけていた。しかし口が効けない、ありとあらゆる罵詈雑言が圧縮され続ける。
「殺していいぞ」ブレイトはレミに言い聞かせた。「船の中にいる奴らは全員海賊だ、悪人だ…殺せ。」
「殺してやるさ、皆殺しだ。お前も含めてな!誰一人ここから生かして返さないぞ」
「いい返事だ。」ブレイドはにやりと笑った。
「その前に教えてくれ」
「まだ、正気が残っているのか…なんだ?」
「この素人だけらの海賊劇はなんだ?」
「ああ、あいにくとここでやるショウは人集め用でな、本当のショウは惑星の反対側さ、さぁお嬢ちゃん、ドアの向こうで殺しを楽しんできな、」ブレイドは彼女にスプレーを再度ふきかけた「これはおまけだ」
「ゾンビーめ…怪物め…」レミには二人の男が人間に見えなかった。怪物にしか見えない、そして殺意と共に戦う意思が高まってきた。
「さぁ、アロウ、こいつをドアの向こうに放りだしてしまいな、ナイフと一緒にな」
アロウは、彼女の傍に近づき手を伸ばして襟首をつかもうと手を伸ばした。その時レミは後ろでに縛られた両手の親指の上に人差し指を這わせた。爪には万が一の暗器が隠されていた。親指の爪をそっと送り出すようにすると爪が伸びた。這わせる人差し指から血が流れた。キレ味が劣っていないことにレミは安心した。爪で両手の戒めを断ち切るとすくっと立ち上がりアロウの伸ばされた腕に爪をすばやく這わせた。深手ではないが、噴出した血に思わず二人の男がたじろいだ。そしてアロウの腰に装着されていたナイフを奪った。「なんだこいつ」アロウは腕をかばいながら、下がった。
「キチガイに刃物とはな」ブレイドは銃を取り出した。「お嬢ちゃんは主演取り消しだ。シナリオ通りに海賊全員に殺人者になってもらおう。」そしてもう一方の手をポケットに入れるとスイッチを押した。
「殺し合いの始まりだ」
空調装置から、エアロゾルが噴出していた。
「さて、こいつが居るってことは、こっちに警官が集まっていそうだな。惑星の反対側の首尾はどうかな?」




