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女将の話ー宇宙海賊?2

 久しぶりの頭痛で私は目を覚ました。しかし朝ではなく、息は白く塊り、足元が暖かい以外は寒気に覆われていた。深夜の時間帯だ。喉が渇いて仕方ない、いくら例の薬を飲んだとて、一日中飲む様な事をすれば、二日酔いの地獄からは免れないってことか、これは肝に銘じておく必要がありそうだ。ベッドから出て傍らにあるサイドテーブルに置いてあるポットを持ったが、異様に軽い。ボタンを開にしてひっくりかえしてみたが案の定、数滴の水が出てきただけだった。


 だからと言ってこの渇きを我慢したまま朝まで迎えるのは困難だ。私は、ポットを持って体を震わせながら部屋を出た。静かな廊下に私の足音だけが響いた。階下に降りると一つのテーブルだけが、暗闇の中でぽつんと明かりの中に浮かんでいた。

「よう」と女将が声をかけた。「もう起きたのかい?」

「喉が渇いて…」と私はポットを掲げてみせた。

「悪い、忘れていた。テーブルの上にあるポットを持っていきな」女将は、静かに飲んでいた。

私は女将の言う通りに空のポットを一つのテーブルの上に置いて代わりに水が沢山入ったポットを手にした。

「どうだい一杯やるか?」女将は、ボトルにチンとグラスを当てた

「今飲んだら、ぶっ倒れますよ」私は、首を振った。「薬さえ効かないほどのんじまいましたからね」

「ああ、朝からあれだけ飲んでればダメだな。まぁゆっくりと寝ることだ」

「まさか、早く寝てしまって目は冴えているうえ、頭痛で眠れませんよ。」

「ウチの旦那なら、それでも飲むがね」

「まぁ、安静にしていますよ」私は階段に向かった。これ以上立ち話をするにしても寒すぎた。いや寒気というべきか

「後で行くよ」階段に片足をかけたところで後ろから女将が言った。

「え?」

「旦那が居なくて寒いのさ。抱いてくれなくてもいい」

「え…」暖かいのは嬉しいが、こんな風に体の調子が悪い夜は一人にして欲しかった。しかし出てきた言葉は「はい」だった。



 ベッドでじっとしていると、女将がするりと入ってきた。頬がくっつき酒臭い息がかかる。「起きているんだろ」と女将が言った。

私は腕を女将の頭の下に回してごわごわした髪を指で梳いた。「あったかい」と眠そうな声が聞こえた。


 暫くして、「ギャラクシーⅡの話はしてないよね」と未だ眠そうな声がした

「ああ、明日にでも聞くよ。あんたは寝ていなよ」しかし、答えは無く寝息だけが耳に入ってきた。


 寝付けないと思いながらも気が付いたら朝を迎えていた。隣に女将は居なかったが、腕がしびれて仕方なかった。感覚を取り戻すために、腕を振ったり、もんだりしてみたが、なかなかしぶとい痺れだった。


 階下に降りるとモルティメ夫妻が出てゆくところだった。何も持っていないところをみれば、チェックアウトではなく特に名所もないこのステーションをぐるぐる回るつもりのようだ。


 テーブルについて、朝食を頼むと別のテーブルで旦那が、酒も飲まずにじっと両掌を見ていた。その掌がぶるぶると震えていた。女将はぶすっとして私の前にトーストとコーヒーを置いて去って行った。


 私がまだ辛い状態の胃に食物を放り込んでいると、旦那がひとりくそったれ!と言いながら左手で何度も右手を叩きつづけ、挙句の果てに畜生、畜生と呟きながら出て行った。


 食事を終えて、さて今日はどうしたものかと考えていると、女将が食器を下げにやってきた。そして私のテーブルの上のものを全部持ち去ってから、コーヒーカップを二つ持って私の前に座った。

「ギャラクシーⅡの話と素面の旦那の話どっちが聴きたい?」

「お好きな方をどうぞ」私は前に置かれたブラックコーヒーを飲んだ。酒の一滴も入っていない真っ当なコーヒーだ。

「そうかい、いずれにしろあんたには時間があるものな」女将は羨ましそうに私を見た

「そうだね、あれは幾つの時だったかなぁ、男をモノにする手練手管を覚えた頃さ。その頃に避妊手術も受けたなあ」



私が連絡を受けたのは、まさにセクサロイドを相手にしてたときさ、ベッドの上で身も心もとろけるって感じでさ、査定の上ではハニートラップの任務をさせると、のめりこんで駄目だろうって烙印を押されていたわ。


 まったくセクサロイドときたら私の感じるツボを心得ていてさ、いくら理性を失うなって言われても全然無理なんだもの。そして腰が痙攣みたいにガクガクとなりそうになったときに、チョコがじゃましてね。任務よーなんていうし、セクサロイドもあっさり行為を中断するわで、快楽の頂から不機嫌地獄のどん底に落ちたわよ。そんなものだからブリーフィングルームにわざと遅れてやったら、どやされてさ、あのときは本当にむかついてたわ。



「レミ・タートル…ブリーフィングに遅れた理由を述べよ」指揮官は、古臭い棒でデスクをバシっとたたいた。

「セクサロイドが途中でやめちゃったんでオナニーしてました」レミはにやりと不敵な笑みを浮かべて数人しか居ないブルーフィングルームの空いている椅子に向かった。くすくすと笑い声が静かな部屋にもれた。

「ばか者!休暇5日を削除する。」その声に、瞬時に部屋が静まりかえった。

「えー!そんな!」

「反抗すれば10日にするぞ」最低だ、と思いながらレミは椅子に座った。

「申し訳ありません、以後注意します」また、笑い声が漏れた。

「よし、これより事件の経緯を説明する」指揮官の言葉に反応するかの様にレミ達の正面のディスプレイに一隻の宇宙船が表示された

あまりにも有名なその船の形を見てレミは思わず目をみはった。

「今から6時間前にギャラクシーⅡの乗船客の一部が人質にとられた、全員資産家で要求は1000億だ。支払い期限は3日。それまでに口座に振り込まなければ、みせしめに一人づつ殺すそうだ。現在の船内の様子は不明だ。水の惑星-レガース-の軍は動いていないというか,事態について未だ知らされていない、一部のSWATのみが、隠密に行動をしている。レミは単独で潜入をして中の状況を調査してSWATに知らせろ。潜入には、ラットがステルス機で近づき。レミがハッチから進入する。」そして、指揮官はそこで口を閉じてほとんどがらがらのブリーフィングルームを見渡した

「あの」とレミが重そうな沈黙を破った

「なんだ?」

「それで、お仕舞いですか?ほかになにか?」

「ああ、これだけだ。」指揮官は、棒でバシっと小さい机を叩いた

「えーと、もしハッチが中からロックされていたらとか…」

「普通されるだろうな」

「船の情報とかありませんので?」

「そんなの自分でチョコに訊け」

「えーと、えーと・・・」

「ミッションは今すぐだ。ラットとレミはポートに向かえ」


「なんでよー、シャワーも浴びてないのに」レミは通路を急ぎ足でラットと並んで歩いていた

「俺も同じだ。オナっていたところを邪魔された」

「へぇ、船の中でフェラしてあげよか」

「移動中に中にそんなことしてたら、文字通り昇天しちまう!!」

「ふーん、まだ素人か…」

「もう50回以上飛んでいるわい!」

「慣れた人って、ナビゲートしながらファックできるんだって」

「そりゃ、命知らずなだけだ」

「そーなんだぁ」未だ眠りについたままのシドはこんな私をなんて思うだろなと思いながらレミは、さらにラットをからかうネタを考えた。


 ラットは操縦席に着きレミは後ろに並んだシートのひとつに座った。壁のあちこちには壁飾りのように武器が陳列してあった。レミはそれを見渡しなが、知らない武器が無いものかと探したが、そういうものは見当たらなかった。レミはそれらのその使い方を記憶に叩き込まれているし、実施訓練まで受けていたので、使おうと思えばどれでも使えた。ただ、もし目新しいものがあればそれを使って見たかった。

「なんか古いものばっかりねぇ」レミは、退屈そうに言った。

「そんなぽんぽん新しいものが出来るものかよ」ラットはスイッチをひとつずつ確認しながら入れていった。

「それよりシートベルトをさっさと装着しろ」

「でも、こうも代わり映えしないのもね」レミはシートベルトを自分の前に回した

「だいたいから今回のミッションで武器なんか要るのかよ」

「一応護身用にちっちゃいものが欲しいじゃない」

「きちんと後ろでじっとしていやがれ」

「はいはい」といいながらレミは、しばらくきょろきょろしたのちシートの横にあった小さい箱を手に取るとそっとポケットに突っ込んだ

「出るぞ。到着まで時間がある、少しは寝ていろ」ラットは、そういうとT字型のレバーを掴み手前に倒した。加速がレミの体をシートに押し付けた。

「そうね、運転は静かに頼むわ」


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