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実家を逃げた社畜貴族、神話級【孫悟空】スキルで最強の料理人になる〜如意棒で敵を粉砕し、村のヒロイン達の胃袋を無双する〜  作者: 月神世一


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ヤラセ勇者の襲来と、料理人の逆鱗〜神様とチート勇者が、絶対に燃やしてはいけない『畑』に火を放つ〜

ヤラセ勇者の襲来と、料理人の逆鱗〜神様とチート勇者が、絶対に燃やしてはいけない『畑』に火を放つ〜

 神界、大宇宙管理局のモニタールーム。

 急ごしらえで修理されたモニター群を前に、炎上神ワイズは苛立ちのあまり親指の爪をガリガリと噛みちぎっていた。

『クソッ……! クソッ、クソッ、クソがァッ!!』

 ワイズの目の前に表示されている、ゴッドチューブのランキング画面。

 そこには『ポポロ村の極上エビフライ&サウナ飯配信』が、ぶっちぎりの1位に君臨していた。

 ワイズが放った死蟲機(ネクロバグ)によるパニック映像は、謎の金髪料理人によって完全に極上の飯テロ番組へとすり替えられてしまった。視聴者である神々は「あの料理人は誰だ」「次の配信枠はいつだ」と熱狂し、ワイズの元に落ちるはずだったPV(視聴率)の収益は、見事にゼロを叩き出している。

『どこの馬の骨とも知らん料理人風情が……神である俺のシナリオをぶっ壊しやがって! こうなったら力技だ。あの村を物理的に火の海にして、俺の息のかかった【勇者】に助けさせる。悲劇からのカタルシス……古典的だが一番PVが稼げる炎上(ヤラセ)企画だ』

 ワイズはエンジェルすまーとふぉんを操作し、地上で契約を結んでいる一人の男へ通信を繋いだ。

『おい、ゼロス。出番だ』

   * * *

 ポポロ村から数キロ離れた平原。

 純白の聖なる鎧に身を包み、ミスリル製のマントを羽織った男――勇者ゼロス・ディバインは、手鏡を見ながら前髪のセットを入念に整えていた。

「ポポロ村を火の海に? 了解しましたよ、ワイズ様。お任せあれ」

 ゼロスは爽やかな(美容整形で整えられた)笑顔で通信を切り、ふんっ、と鼻で笑った。

 そして、周囲に誰もいないことを確認すると、隠し持っていたポポロシガー(葉巻)に火をつけ、紫煙を深く吸い込む。

「けっ。田舎の村を焼いて助ける自作自演なんて、三流のやることだぜ。だがまぁ、神様からの直々の依頼(クエスト)だ。PVとスパチャのためなら、泥を被ってやろうじゃないか」

 ゼロスは葉巻をポイ捨てし、携帯用の口臭スプレーを念入りに口内に噴射した。

 彼は本物の勇者ではない。彼が持っているユニークスキルは【マネー】。

 神のシステムに『課金』すればするほど、一時的に自身のステータスが跳ね上がり、強力な魔法や装備を『購入』できるという、資本主義のバグのような能力である。

「スキル発動。神界ショップ・一千万G(ゴールド)課金。ステータスを全カンスト状態に引き上げ……よし」

 ゼロスの身体が、不自然なほどの魔力光に包まれる。

 金で買った一時的な最強ステータス。だが、映像越しに見る視聴者(神々)には、それが『勇者の奇跡』として映るのだ。

「さらに追加課金で、広域殲滅魔法『ヘル・フレア』の使い捨てスクロールを購入、と。……さぁて、カメラの準備はいいか? 全世界が泣く、感動の救出劇の始まりだぜ!」

 ゼロスは上空で光学迷彩を展開しているワイズのカメラドローンに向かって、完璧な角度でウインクを決めると、ポポロ村へ向けて歩みを進めた。

   * * *

 その頃、ポポロ村の広大な畑。

 俺――クウゴ・タイセイは、首にタオルを巻き、エプロン姿で土にまみれながら農作業に精を出していた。

「よしよし。今年の『太陽芋』は良い育ち具合だ。でんぷん質が豊富で、コロッケにしたら最高にホクホクになりそうだぞ」

 鍬を下ろし、土の中から丸々と太った太陽芋を掘り出す。

 俺の周りには、キャルルやマンミア、それに村の農家のおっちゃんたちが、楽しそうに収穫を手伝ってくれていた。

『ギャーッ! 優しく掘ってよ! 隣の奥さんが旦那のへそくりで高級ホストクラブに通ってるって秘密、教えてあげるからァッ!』

「はいはい、分かったから静かにしろ。お前は夕飯のロールキャベツの刑な」

 やかましい『ネタキャベツ』を籠に放り込みながら、俺は汗を拭う。

 ポポロ村の土壌と、村人たちが手塩にかけて育てた食材たち。どれも個性的で、厄介で、だけど愛嬌があって、何より最高に美味い。

 前世で、無機質なデスクで書類ばかり見ていた俺にとって、こうして自分の手で土に触れ、食材の声を聞き、明日作るメシのメニューを考える時間は、何にも代えがたい宝物だった。

「クウゴさん、冷たい陽薬草のお茶を淹れましたよ。少し休憩にしましょう?」

「お、サンキュー、キャルル。マンミアもこっち来い。麦茶代わりに一杯やろうぜ」

「は、はいっ! ただいま!」

 木陰に座り、ヒロインたちが淹れてくれた冷たい茶で喉を潤す。

 平和だ。

 この村の平穏と、最高の食材。これさえあれば、俺の逃亡スローライフは完璧に――。

 ――ズドォォォォォォォォォォンッ!!!

 突如。

 村の入り口方面から、鼓膜を破るような爆発音が轟いた。

 同時に、熱風が畑を吹き抜け、村の防衛フィールドの魔導障壁が、ガラスが割れるような音を立てて粉々に砕け散る。

「な、なんだ!?」

「敵襲!? 自警団、構えッ!!」

 マンミアが即座にクロスボウを構え、キャルルもトンファーを引き抜く。

 立ち上る黒煙の中から、悠然と歩み出てきたのは、白銀の鎧をまとった一人の男だった。

「嘆け、そして絶望せよ、辺境の民たちよ!」

 男――勇者ゼロスは、周囲を飛ぶ不可視のカメラドローンに一番格好良く映る角度を計算しながら、芝居がかった大声を張り上げた。

「恐るべき魔の炎が、今、貴様らの生活を焼き尽くす! だが安心しろ、この私――勇者ゼロスが、間一髪でその炎から君たちを救い出してみせよう!」

 ゼロスの言葉の意味を理解するより早く。

 彼が掲げた高価な魔導スクロールから、地獄の業火『ヘル・フレア』が解き放たれた。

 轟々と燃え盛る紅蓮の炎が、巨大な津波となってポポロ村の家屋へ、そして――俺たちが今まさに収穫しようとしていた『畑』へと襲いかかる。

「きゃぁぁぁっ!?」

「くそっ、防げない! 炎の規模が大きすぎる!」

 マンミアたちが絶望的な声を上げる。

 炎は容赦なく、豊かな土壌を、大切に育てられた太陽芋の葉を、月見大根の畑を黒く焦がしていく。

『あ、あちぃぃぃぃぃっ! 燃える、燃えちゃうわよォォォッ!』

 籠の中のネタキャベツが、ゴシップではなく本気の悲鳴を上げた。

「…………」

 俺は、無言で立ち上がった。

 手に持っていた陽薬草のお茶のカップを、静かに、音を立てずに地面に置く。

『フッ、ハハハ! いいぞ、燃えろ! 絶望の顔をカメラに向けろ! さぁ、ここから俺が颯爽と魔法を相殺して――』

 自己陶酔に浸り、高笑いを上げるゼロス。

 その彼の視界を。

 エプロン姿の男――俺の背中が、ゆっくりと遮った。

「……おい」

 俺の口からこぼれた声は、自分でも驚くほど冷たく、低く、そして一切の感情が抜け落ちていた。

「ひっ……!?」

 ゼロスの笑い声が、ピタリと止まった。

 燃え盛る炎の熱波の中にあって。

 俺から発せられる空気だけが、まるで絶対零度の吹雪のように、周囲の温度を急激に奪い去っていく。

「村を焼いて目立ちたいなら、勝手にやれ。俺は正義の味方じゃない」

 俺は、右耳に指を当てた。

「だがな。俺の厨房(テリトリー)を荒らし、明日使うはずだった最高の『食材』を黒焦げにしようとする害虫は――」

 黄金の瞳。

 【火眼金睛】がカッ、と見開かれ、ゼロスとその周囲を飛ぶドローンを、文字通り『射抜く』。

「――料理人として、完膚なきまでに駆除する」

 俺の指先から、金色の細い針が引き抜かれた。

 その瞬間、ポポロ村の空気が、いや、世界の次元そのものが、これから顕現する『神話の化け物』のプレッシャーに耐えきれず、ミシミシと悲鳴を上げ始めた。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

「クウゴがマジギレした……!!」

「食材を燃やすのは料理人にとって最大のタブー!」

「ヤラセ勇者の運命やいかに!?」

と、次回の展開が気になった方、少しでもスカッとする予感を感じていただけた方は、

ぜひページ下部にある**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**にして応援していただけると、クウゴの如意棒の威力と作者の執筆スピードが限界突破します!

皆様からの『ブックマーク登録』と『星評価(評価ポイント)』が、本当に一番の励みになります!

チート勇者に下される最強料理人の鉄槌を、どうかお見逃しなく!

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