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猫は依頼を受ける。その2

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励みになります。


今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。

 下水道の入り口に到着する。これといった事は無い小屋に鍵がかけられている。

「悪用されないように、どこの下水道の入り口は鍵を掛けているんです」

 そう言って、小屋の扉を開くと地下に続く階段が現れる。


「下に降りて左手側が王都で、右手側が排出され川になります。排水用の水は上流の別の川から引き入れてますが、ここ数年は水量が足りなく、うまく流れていないようです」


 一昔前は、下水を利用できるエリアは少なかった事もあり水量は足りていたが、ここ数年の間に利用できるエリアを計画無しにどんどん拡大して行った結果、流す水量が確保出来なくなり、街の至る所に天然の肥溜めが出来てしまってる。

 そこに、定期的にスライムを投入することで、何とか解消しているとの話だ。

 スライム様サマだな。


 王都以外は、どこもトイレはボットンになっており、スライムや人間によって汚物は回収されている。

「その昔、勇者様が水洗トイレの設置を悲願した事で、どこの国でも王都は同じようになっているんです」

 昔の勇者は現代の地球人、いや日本人なのかもしれない。

 それにしても詳しい下水の仕組みを提供しないでの要望するとは、全くもって迷惑な話だ。



 階段を降りると、地底湖ならぬ汚水湖に一面にスライムが浮かんでいる。

「ここまで流れ着くまでの途中にも幾つか同じような場所があり、粗方スライムによって汚物や汚水は除去されます。で、ここが最終地点になり、川に流す前に再度スライムによって除去される場所でもありますが、街の汚泥層から流されて来たスライムやヘドロスライム達が多く生息しており、悪臭の一番の原因の場所になります」


 そう言われてよく見ると、汚水湖の縁には人が通れるように足場があるが、至る所にスライムが鎮座してる。

 おまけに黒く汚れてヌルついており、気を付けないと滑り落ちそうになると教えてくれた。

 討伐対象であるヘドロスライムだが、壁にへばりついたモノ以外は体が重い為、水の底にへばりついて汚泥処理をしているようだ。

 教会はいつも、入り口付近から数回全体に『浄化』するだけで終了していた。


 

「まずは、壁にへばりついているヘドロスライムからだな」

 久しぶりに【3Dマッピング】と【狙撃】セットで、壁にへばりついた汚れと一緒に【浄化魔法】を撃ち放つ事にする。

 その結果。どんだけ汚れてたんだ!と言うほどに真っ黒だった壁や天井が元々のレンガの色が現れ綺麗になっていく。

「流石ですね!今までの教会の『浄化』では、ここまで綺麗になりませんでしたよ」

 案内人のおっさんも驚きながらも喜んでいる。


 ここで問題が発生する。

「スライム自体体が小さい上にめちゃくちゃ数が多い。だからと言ってまとめて浄化すると、全部のスライムが居なくなってしまうから、今度は補充が間に合わなくなってしまうと意味が無い」

「そうですね、ここにいる数を一から集めるとなるとかなりの時間が掛かります。ですが、壁についたヘドロスライムだけでも浄化してくだされば、悪臭は軽減すると思います」


 方針が決まった。

 壁にへばりついたヘドロスライムの討伐をメインで行う事にした。


 今度は【3Dマッピング】と【遠距離攻撃】のセットで、通路と壁にへばりついた汚れと一緒に【浄化魔法】を撃ち放つ事にする。

 数撃ちゃ当たる作戦で、どんどん通路奥まで【3Dマッピング】で設定した範囲に【浄化魔法】を打ち込んでいく。

 数回繰り返し行うと、悪臭が収まると同時にやたらめったらぶっ放した【浄化魔法】によって、奥から流れて来た水もかなり綺麗になっていた。

「素晴らしい!私には分かりませんが、かなり臭いが軽減したかもしれません」

 おっさん大興奮!

 再度、鼻炎を治療しようか?と尋ねるが、全て終わってからでお願いしたいと丁寧に断られた。



 他の下水道も回ってみるも、何処も同じような状態だったが、攻略方法が決まっているから問題無い。サクサクと仕事をして行く。

 4箇所の作業が終わった時点で、本日の作業は終了となる。

「明日も作業するからよろしくな」

「はい。ではギルドへの報告は私の方からしておきます。明日も冒険者ギルドの方へお越しください」

 俺はギルドに立ち寄らず、そのまま帰る事にした。


 ギルドの報告は意外と時間が掛かる事は予想できる。

 今回は同行したギルド職員のおっさんが報告してくれるそうなので助かる。

 気が付かない内に面倒な事になっているから、気が付いた面倒な事には近づかない主義だ。




 翌日の朝、冒険者ギルドに向かうが、王都は朝から賑わっているが、ギルドではまばらだった。

「猫さんもお仕事するの?」

 カウンターに向かう途中で、幼児に質問されたので立ち止まる。

「ああ、依頼の仕事をする」

「どんなお仕事するの?」

 新たな幼児が現れ、質問してくる。

「下水道の仕事だ。とても臭い」

「それって、スライム集めの仕事?」

 また新たな幼児が現れて聞いてくる。

「スライムを集める仕事では無い。下水道の中の仕事だ」

「触って良い?」

 またまた新たな幼児が現れ、既に幼児達に囲まれる。

「尻尾以外なら良いぞ」

 俺は幼児には優しい猫さんだ。



「すみません。ウチの子ども達がご迷惑かけまして」

 しばらくするとシスターと思われる人間が現れて、もみくちゃ状態の俺を見て謝った。

「大丈夫だ。気にしてない」

 

 どうやら空いているこの時期に、冒険者ギルドに登録しにやって来た孤児院の子ども達の様だ。

 冒険者ギルドの登録料は一人50ミューレで、年齢制限は無い。

 王都では『星1』の仕事は以外にも多く、孤児院の子ども達も年上の指示に従い仕事を熟(こな)す。


「あっ!ロイさんここに居たんですね。気がつきませんでしたよ」

 案内人の鼻炎のおっさんだ。幼児達が俺から離れたので発見できたみたいだ。

「お仕事の前に、一度ギルド長がお会いしたいそうですが」

「明日じゃダメか?明日はグーデルンのギルド長に会いにココに来るが」

「でしたら、今、レフルドさんもいらっしゃってますから丁度良いでしょう」

 レフルドも一緒なのか、だったらついでだからと予定変更で、ギルド長に会う事にし、案内されながらギルド長室に向かう。



「ロイです。猫です。敬語は話せません」

 いつもの挨拶をする。

 目の前には冬季限定で現れ、泥棒か?と疑われても仕方ない方法で家の中に侵入し、プレゼントを置いていく謎のお爺ちゃんか?と思われるような立派な白い髭を豊に生やしたお爺ちゃん、王都冒険者ギルド長が座っていた。


「昨日はご苦労だったのう。討伐してもらったエリアでは既に臭いが無くなったと、話題となっておったぞ」

 真っ白い立派な髭をさすりながらニコニコで語るお爺ちゃんギルド長さん。

 名前はフェラルド。なんとレフルドの本当の爺ちゃんだった。


「ロイ殿には冒険者ギルドだけでは無く、孫が色々と世話になってるのう」

「頑張って世話してるぞ」

 俺の苦労がわかってくれたようで何よりだ。

「おい!俺の方が世話してやってるだろうが!」

 レフルドが異論を唱えるが、番犬の異論は認めない。

「ふぉほほほ、仲がええのう」

 ツッコミを入れるレフルドと笑うフェラルド爺ちゃんと猫1匹。


 …で、何の用事だ?

引き続き、お付き合いくださいませ。

★★★★★★★★★★★★★★★★

 【更新スケジュール】 

 2026年12月までは土曜日 21時

★★★★★★★★★★★★★★★★

無断転載、無断使用は固くお断りいたします。


★同日 17時30分に更新★

『只今、異世界潜伏中です。〜脱獄したら、王様にジョブチェンジ?!〜』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。

こちらの作品は猫さんより1ヶ月先輩の初作品です。

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