猫は買い物をします。
「『黒いぐるぐる穴』の外には、こっちの世界から連れ去られた仲間達の生き残りがいたよ」
報告を受けた猫さん達がパニック状態だ。
「皆んな『黒いぐるぐる穴』から入ったのか?」
「違うよ。他の方法で連れてかれた」
不安に感じてかざわつく。
「向こうで人間みたいに立って手を使う事が出来てた。『美味しくなる箱』は人形さんなくても使える」
驚きと尊敬でざわつく。
「試しに向こうから『黒いぐるぐる穴』を通ってこっちに来れるか試してみる」
皆んなに報告をし終え、俺も棲家に帰ることにした。
「おかえり〜、に〜たん」
ミミが出迎えてくれた。
『黒いぐるぐる穴』の外には、前に『美味しいものあるよ』って言われて、連れ去られた仲間達の生き残りがいたのと、俺たちの兄弟も居たことも話した。
「良かったね〜」
かなりご機嫌でゴロゴロ鳴いている。
近いうちに会いに行こうと話し、一緒に丸まって就寝。翌日は、飼い主さん達に動いてる姿を見せておく。
たまに見せないと、気にして様子を見たり、突かれてる内にダミーだとバレるやも知れない。
「あっ、今日はロイ起きてる!」
「珍しいわね」
「ほら、パパの言った通りだろう。ロイは病気じゃないって、猫は夜に動いて昼間は寝てるんだよ」
「そうなんだ〜、分かった!」
パパさん残念、ロイは昼間も活発に活動してますよ。
今日はママさんが家にいる様子なので、今日も俺一人で出掛ける。
『黒いぐるぐる穴』を通って、村に行くと皆んな凄い興奮状態だった。
何が起こったかと尋ねたら、
「いつも襲ってくるより大きいおっきな怖い奴が来たけど、壁が壊れないかった」と大喜びしているらしい。
「今日は『黒いぐるぐる穴』が通れるか試すから、誰か一緒について来て」
俺の弟とあと3匹ほど付いてきた。
その中の一匹はこっちの世界で生まれ育った猫だ。元の世界をのぞいてみたいらしい。
「擬人化は使っちゃダメだよ。向こうでは絶対内緒だから」
「「「「分かった」」」」
ダンジョンに入り進んで行き『黒いぐるぐる穴』に到達。
移動の石に登録をしておき。早速、元の世界に出れるか試してみたら問題なく出れた。
ただ、外では沢山の猫達が様子を見にやって来てたので、注目を浴びて緊張していたが俺は通過できた事にほっとした。
今度は、逆に向こうの村を見学するメンバーを募り向かう。
移動の石はダンジョンの外では使えなかったのは残念だ。
俺自身は一度でも行ったことがある場所なら登録すれば移動は可能だが、俺に触れてないとダメで、ねこ鍋、いや猫鏡餅のように引っ付いて重なっても最高8匹が限界だった。
「『黒いぐるぐる穴』がいつまで繋がっているか分からないが、向こうでも生活できるようにしたいと思う」
俺はそう伝えて、向こうでのレベルアップとこっちでのレベルアップを繰り返す。
どちらにも【神聖魔法】で『光玉』を出す設定にして置く。
俺が選択するまでは【ポイントを貯めておく】を選択しておくようにした。
ダンジョンの下層を目指し『買い物ボード』のコインを稼ぐためモンスターを倒していく。
おかげでコインもかなり貯まって行った。
今では1体のモンスターを倒すと10000以上もらえるのでどんどん倒す。
現在16階層ここら辺になると魔石であろうキラキラ石が、俺の頭ほどの大きさになるのでカラスの交換用には使用できない。
宝箱にもキラキラがいっぱい入っているが、全て宝石の類と思われる。
だってちっちゃな小石程度のキラキラを【買取機能】で選択したら『宝石 状態:高品質 買取金額:38000ミューレ』って表示されたからだ。大きいのは猫だけど、金額が怖くて買取機能でも金額がまだ見れない。
カラス達に渡しても良いが、何かの拍子で人間達に見つかって騒ぎになると大変だから、売るなら【買取機能】にしておく。
カラス達からの新しい情報では、他の大陸には存在すると渡り鳥さんからの情報だったが、未だに周辺では発見はされていない。
俺も探してはいるが、突発的に現れるが数日後には消えている事が多く、ココのみたいに数年も繋がってる場所は見つかってはいない。
下層を目指す理由はコイン以外にも理由がある。
ある日気が付いた。下層階で開いた『買い物ボード』には上層階では表示されなかった、便利なスキルや新しいアイテムが追加で記載されていた事を。
その中の一つ『擬人化』が有った。取得してみると、靴の時とは違い人の言葉が喋れる様になっており、連れ去りメンバー同様に僅かだが体も大きくなっている。
試しに、偽装魔法で見た目子供の姿になってコンビニで猫缶を購入してみたが、怪しまれずに購入できた。
先に言っておくが、お金は盗んだわけでは無い、道に落ちていた物を猫達で集めただけだ。
意外と小銭は落ちている。
特に衣類のごみ回収時にたま〜に、いただくと稀に混ざっていたりする。
そんな事をしていたら、更にすごい事に気づいた。
向こうで取れた宝石類をこちらの世界で【買取機能】を使用すると、買取金額が円になっていたのだ。
また、ゴミに出された衣類で試すと、こっちでは0円だが向こうではかなりの高額になる。
逆に向こうで魔石を【買取機能】すれば、それなりの金額になるモノを、こちらで使うと買取不可になっていた。
おかげで非常食用でキャットフードを大量に購入できた。
夏は食材が痛みやすいのでこれからの季節は大助かりだ。
怪しまれなかったかって?
「すぐにお父さんが迎えに来るから大丈夫」と言ってカートに積んで貰えば意外と問題なし。
1箇所ではなく、いろんな店で行えば以外と気が付かれない。お使いをしている偉い子扱いだ。
ただし、暇な時間だと、一緒に待っててくれようとする店員さんのおばちゃんが現れるので、比較的ちょっと混み合う時間帯を狙って行動している。
「最近、子供のお使いが流行ってるみたいね」
「そうそう、隣の街も1人で買い物する子が居るって言ってたわ。かなり大きなものを買ってるみたいだけど、運ぶのは親が店の外でしてるみたいだけどね」
「うちの子にも買い物の練習、させようかしらね」
おかげで、俺が紛れ込て買い物していても問題ない状態になった。ちびっ子達ありがとう。




