猫は王都に向かう。03
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
「今日はここでの野営とします」
本日は野営となった。皆んな何故か嬉しそうな顔をする。
グーデルンを出発して数日が経つ。
途中の村や街での宿泊より、俺のマジック袋に入れた家の方が快適だった事もあり、食料などの補給以外は街を使用しなくなってしまった。
「明日はベルナドルの街での宿泊か。仕方ない」
領主様が残念そうに呟く。
王都への道のりの丁度半分進んだ場所にある大きな街のようだ。
「ベルナドルの街には中三日程のお時間をいただきます」
執事さんの言葉に一層浮かれない顔をする領主様。
「なんか有るのか?その街は」
気になって尋ねてみる。
「何かと我が家というか、儂と張り合う奴の領地だから、余り関わりたく無いだけだ。しかし、ここを通らないと王都到着までに時間を費やしてしまう。ハ〜、仕方ないな」
街を通過するとしても、挨拶で顔を出すのが常識であり、やむを得ない事情がない限り他領で宿泊する場合は、貴族達はそこの領主様のお屋敷にお泊まりになる事となっている。
どうやら、さっさと通過したいのだが、食料の補充と馬車の点検やら、馬さん達の休息の為も有る様だ。
他の街と比べても規模が大きい街には何かと物資が揃っている為、必要な通過地点の街でもある。
他の王都行きコースは森や山を迂回する道もあるようだが、モンスターの危険性がある為、安全な王都までのコースとしてはこの道しか選択は無いようだ。
「キャット商会のご飯持ってきたぞ」
毎晩俺が戻っているなら街で売られてる食事をついでに買って来てくれと、レフルドとテラザ達にせがまれたので、ベルダに頼んみ毎回、人数分の食事を用意してもらっている。
味気ない保存食では無いので皆んな大喜びだ。
だってキッチンがあっても、領主様のお付きの料理人以外は、まともなご飯は作れない事が判明したからだ。
温かいスープ系はキャット商会の特別な調味料と評して、コンソメの素や鶏ガラスープの素を料理人さんに渡し、みんなの分も作ってもらっている。
「素晴らしいキッチンを使わせて頂いてますから、それぐらいはお任せ下さい」
と言って作ってくれる。ありがたい。
「今までの野営では、料理人も食事の準備には手間が掛かる為、スープ以外は保存食が多かったが。この家のおかげで快適な食事が取れる」
「ええ、寝室もですわよ。それに毎日のように湯浴みが出来るなど思ってもいませんでしたわ」
と領主様や婦人にも大満足いただいてるご様子だ。
お付きの騎士達も、俺が持ってくるキャト商会のご飯を期待している。
お馬さんも期待して俺を見つめる。
たまたま、世界樹の葉っぱを間違えて取り出した時、近くで見ていたお馬さんが凄い勢いで集まってきて、くれくれとせがまれた。
ギルド長や領主様達に見つかると、お叱り案件だから内緒で1枚ずつあげている。
お馬さん達も人間に見られるとマズいと理解してなのか、人間から見えないように自然な振りをして俺を隠すように、しれっと囲む。
其方達も悪よのう。
「最近こいつら、やたら元気何だが、何かしたか?」
「いや何も?俺の相棒もやたらと元気な上、毛並みに艶が出て来たな」
騎士達全員が「?」だが、悪い事では無いのでスルーした。
道中は、やたらと領主様ご家族に呼ばれるので、たまにしかギルド長達の馬車に同乗してない。
ギルド長達の馬車に乗った時に、ウチの商会の話が出た。
「キャト商会のメニューは既に国中で話題になってるんですよ」
商業ギルド長のグレンドルが教えてくれた。
「好評なのは聞いているが、そんなに有名なのか?」
商会長だから、関連情報は出来るだけ聞いておく。
「ええ、昼以外でも同様のメニューが食べられる店も多いので、旅の商人達はこぞって提携している店をチェックしてるんですよ。よく尋ねられますが、夜の営業はされないのですか?」
薬師ギルド長のトイトルから質問された。
「ウチの商会は子ども達だけだからな、安全を考えての事だ。それに夜の営業を始めたら、ウチの猫さん達が入り浸ってしまう。そんな事したら、他の店に客が行かなくなって恨まれるだろう」
確実に『俺の奢りだ!』メンバーはウチの店に入り浸る。
今は、神出鬼没で飲み屋を回っているから、いろんな所で金を落としている。
しかし、猫さん達はウチのメニューがお好みの様で、キャット商会のメニューが出されている店をメインに回っているようだ。
なので、夜の店を出せばウチだけに来て、街にお金を落とさなくなくなってしまう。
そして従業員は、嬉々として夜も働いて休まなくなる。会長として断固反対だ!
「なるほど、そう言った理由ですか」
「大人と言っても成人したてな奴らだ。もう少し、いろんな経験をさせてやりたい」
そして今でも凄い売り上げを上げているのに、『俺の奢りだ!』メンバーの売り上げが加われば、確実に金銭感覚がおかしくなる。
金銭感覚がおかしいのはウチの猫さんだけで充分だ。
「多分、そういったキャット商会の噂を聞いたからでしょうね。最近では仕事を求めて孤児院出身者など、職に在り付けない子ども達が大勢が職を求めてグーデルンに来てるんですよ」
商業ギルド長のグレンドルから街の情報を聞かされる。
「今は人手が欲しい仕事場があり、働く場所があるので表立っての影響はございませんが、逆に噂通りで仕事にありつけると、余計にグーデルンに来ようとする子ども達が増えている様です」
衝撃的な事を聞かされた。
まさか、そんな事になってるなんて知らなかった。
出来れば人間社会の問題は人間達で解決して欲しいのだが、原因を作ってしまってる分、何か対策しなければいけないのかも。
仕事の拡大すれば、雇用が増える。だが、今の店での提供の品は俺の異世界の調味料で作る食事有りきだ。
出来ればこれ以上は拡大したく無いのだが……
「確かに、職を求める子ども達だけならまだしも、タチの悪い連中も流れて来てるからな」
冒険者ギルド長のレフルドまで困った現状を説明し出す。
「街にやってくる子ども達の仕事については少し考えがあるが、今回の王都次第だな」
車内にいる全員が俺をみる。
「安全な事だろうな」
「失礼な!いつも俺は安全第一に考えているぞ。実現すればの話だが、今回の王様へのご挨拶の結果だな」
レフルドの発言に異議を唱えるぞ!
「まあまあ、王家へのお願いとなりますと、それなりの根回しが必要となるますが」
「考えはあるが…まあ、出たとこ勝負だけどな」
成功すれば仕事場が出来き、子ども達の受け入れ場所と俺の買い出し部隊長の出動回数が減るんだが…
その為に更に俺の活動が増える事になるとは…
「ハ〜、会長辞めたいな」
「お前は、まだ辞めようとしてたのか!?」
俺の呟きに、呆れたようにレフルドに言われた。
「お前が辞めても現状は変わらないぞ。逆に酷くなる可能性の方が大きい」
「え〜、何で?」
「「「後ろ盾が無くなるから」」」
ぐぬぬぬぬ、王室の後ろ盾か!確かに俺が商会から抜けると、俺関係での繋がりでの後ろ盾だ。商会の立場が微妙になってしまうのはわかってるが…。
辞めれんじゃん!会長職。
買い出し部隊長の仕事が増える決裁ばかりで、俺、辛いです。
引き続き、お付き合いくださいませ。
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【更新スケジュール】
火曜日・木曜日・土曜日 21時
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★同日 17時30分に更新★
『只今、異世界潜伏中です。〜脱獄したら、王様にジョブチェンジ?!〜』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。
こちらの作品は猫さんより1ヶ月先輩の初作品です。




