猫は御用商人となる。
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今回の物語も楽しんで頂けましたら幸いです。
「ロイ殿。他国から使者が参られて、是非ご挨拶されたいとの申し出が来ているのだが…」
先日の『世界樹の実』があっという間に世界中に知れ渡り、『獣人国専用窓口』に問い合わせが殺到しているらしい。
一部では『グーデルン家とメルーベン王家がグルン獣人国を支配しようとしている』などと言う噂までが流れており、各国の方々と顔合わせする事になったのだが、
「またか!今回で27件目だ」
毎回、顔合わせばかりしている。正直飽きた。
「だろうな、なので今後は事前に日程連絡をして、月1回の懇親会と言う形で顔合わせを開こうと考えている」
なるほど、嫌なことを全部まとめて1回ですますのか!
「そうしてくれ!料理のメニューや材料で相談があったら言ってくれ、こっちも一部だが用意する」
「ロイ殿の店の品か!あれは既にメルーベン王国では有名になっているからな」
俺の店では無いが、キャット商会が有名になるのは良い事だ。だが、ベルダが注文してくる量がえげつない。
タカシには、月収を50万円にアップして、俺の買い付け仕事を増やしてもらった。
既に俺との大量買いが、週に1回だけじゃ追いつかなくなって来た。
なので今では週に2回、かなり遠方まで怪しまれないように買い出しエリアを拡大している。
「最近、急に若い時みたいに疲れが残らなくなったから、それぐらい平気だよ。大家さんからも最近急に若返ったみたいで、肌艶がよくなったって言われてるしね。何か老眼鏡が必要無くなったし、いつの間にか白髪もなくったてて驚いたよ」
仕事と収入が安定したからだと、大家さんに話したようだ。
タカシに(ナイショで)世界樹の実を食べさせて良かった。
鉱石関係の問い合わせも凄いが、世界樹関係の方がもっと凄い。
特に『世界樹の実』は実った時に卸す事になっているが、それでも催促がエグい。と、各ギルド長と領主様がぼやいてた。
世界樹の葉っぱは、世界樹に「葉っぱ貰える?」と問いかけると、一回で5〜6枚ヒラヒラと落ちてくる。
ウチの国にある世界樹さんはこちらの話が理解できるようだ。さすがはファンタジーっぽい世界だ。
その事をギルド長達に話すと驚かれていた。
世界樹について、そんな記述は残ってないそうだ。ウチの子だけが特殊?
その事も原因なのか、最近また聖王国が五月蝿い。
「キャットハウスとレオハウスの周りが騒がしくなっているな」
先日、冒険者ギルド長のレフルドが俺に問いかけた。
「あぁ、グランダス聖王国の奴らが、世界樹の確保と鉱石の在処を聞き出す為に、俺を捕まえようとしているかなら」
レフルドが暮らしているレオハウスと、キャットハウス前には芋虫になるぞの注意書きを建ててある上、キャットハウスは、サイズが小さいから成人男性が押し入る事を躊躇うサイズだ。
他にも飲屋街近くのキャットハウスⅡでは、サナギ状態のおっさん猫が数匹そのままの状態で誘拐されていると報告があった。
まぁ、こっちはいつもの事なので全く問題無い。
いつも通りちゃっかり酒を貰って、死霊系ダンジョンで魔石を確保しながら『黒いぐるぐる穴』を通って帰ってきている上、ギルドで魔石を現金にして『俺の奢りだ!』の軍資金にしている。
そんなこんなで、猫さん達はマイペースに行動しているので、今では王都より珍しい品が手に入る街に変貌している。
そんな猫さん達をチームに入れたがっている冒険者さん達が大勢いるが、お断りしているらく、理由は「ご飯美味しくないし、ずっと帰って来れないから嫌だ!」だそうな。
そして、分け前を人数で分けるとなると『俺の奢りだ!』活動が出来ない金額だと理解したらしく。
お試しでのチーム参加だけで終了となる事が多いようだ。
勿論、中には『俺の奢りだ!』で知り合ったチーム達と一緒に、小旅行を楽しんでる猫さんもいる。
基本、人間から見たら行動がおかしいだけで、猫さん達はそこそこの戦力だ。
よく行くのは鶏肉ダンジョンだけで、グーデルン周辺のダンジョンではランクが低過ぎるようだ。
そんな猫さん達の間では、最近グルンのダンジョン26階層で釣りが流行っている。
モンスターを海底から餌で誘き寄せて、皆んなで集中攻撃でヤっつけている。
ちなみに、餌は猫だ。
元手はかからないが、ワイルドな釣りをしている。
その所為で浜辺でお昼寝を楽しんでいた猫さん達から、海面が騒がしいと苦情が入り、ボロ家の出入り口近くの海上では『猫が餌の釣り禁止』となった。
他にも、別の島でも海賊船が出没するようで、夜な夜な飛び回っている猫さん達が数匹いる。
そこまでする理由は、
「ギルドで海賊船のお宝と、魚のモンスターのモノを渡したら驚いてたから」だと言う。
猫さん達は自分達が獲ったモンスターを見せて、人間達を驚かしたり、褒められたいのだろう。
そういう習性だから仕方ない。
「今回初めてとなるが、懇親会では特に問題は出なかったな」
懇親会とは、例の『獣人国専用窓口』の俺との顔合わせ会の事だ。
個別の顔合わせはお断りしたので、月1回まとめて行う事にし、昨日は第一回目だった。
「問題あるぞ!同時に話しかけられて何言ってんだか分からんかった」
今日は、懇親会の翌日に報告を兼ねた連絡会議なので、俺と領主様、各ギルド長が集まっている。
「理解しなくても良い。自分の国や領地で取引を希望する内容か、おべっかだ」
そうか、なら気にしないでおこう。
「しかし、直接ロイの口から『毎度毎度の会うは嫌だ!俺は忙しい。猫が人間の顔を見てどうするんだ?!』とハッキリ言ってもらえたから、『獣人国専用窓口』への非難はかなり減るでしょうね」
「確かに、『獣人国専用窓口』がなければ、月1回であっても無くなる可能が有りますからね」
と、皆んな笑いながら話す。
だって会っても、くだらない内容を長話をした後、最終的に『ウチの方が良いよ』と細かい金額の交渉の話をし出すから面倒くさい。
「それにしても、『お好きなモノは?お嫌いなモノは?』の問い掛けに対して『お好きなモノは昼寝が一番。お嫌いなモノはグランダス聖王国』って答えた時の周辺国の使者の引き攣った顔が…クックック失礼。未だに笑ってしまいますよ」
薬師ギルド長のトイトルのツボにハマったようで、思い出して笑っている。
「取引が有る国も幾つかありますからね。知られてはマズいと思ったのでしょう。ですが、『獣人国専用窓口』取引に対して煩く言ってきた国だったので、当分は静かになって助かります」
「グランダス聖王国の仲間はグルンの敵だ!」
短い前足を思いっきり上げて猫は宣言する!
「分かった分かった。興奮するな!少なくともグルンの商品は、グランダス聖王国とつるんでいる国には直接卸さないから安心しろ」
確かに、周り回ってだと流石に管理出来ない。仕方ないが、直接でなければ良しとする。
「王妃様方も世界樹の実の献上には大変喜んでいらっしゃった様だから、後ろ盾はバッチリだな」
「国王陛下や宰相殿も儂の変わりようを見て驚きを隠せなかったぞ」
愉快そうにふさふさヘアーを掻き上げる領主様。
良かった良かった。これでお話は終わ………
「でだ、ロイ殿の商会を王家と我がグーデルン家の御用商人として扱う事になった。王家が後ろ盾になる話だ」
………らなかった。
てか御用商人って?どう言う事?!
引き続き、お付き合いくださいませ。
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【更新スケジュール】
火曜日・木曜日・土曜日 21時
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★同日 17時30分に更新★
『只今、異世界潜伏中です。〜脱獄したら、王様にジョブチェンジ?!〜』(おっさん多め)も宜しければお楽しみくださいませ。
こちらの作品は猫さんより1ヶ月先輩の初作品です。




